「月球儀」の愉しみ方

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  • 月球儀KAGUYA1タテ穴を探すもよし、月の裏側を眺めるもよし。
    「マリウス丘の穴」だけでなく、「静かの海の穴」、「賢者の海の穴」の位置もわかる。賢者の海は、地球からは見えない裏側にある。
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渡辺教具製作所

月球儀KAGUYA

サイズ直径30.5cm(1140万分の1)
重さ約670g
材質ボール紙
付属品アクリル製台座
製造国日本
2013年時点データ
色分けで高度までわかる世界唯一の月球儀。

 「かぐや」のデータだから、地形が詳細。月の地名はもちろん、色分けで高低差までわかる。望遠鏡では見られない裏側がクレーターだらけなのもよくわかる。
 実は、月は表側だけでなく、裏側の一部も地球に見せている。本品には、この裏側の一部「秤動(ひょうどう)ゾーン」まで表記されている。『手持ち型地球儀』より大きい直径30.5センチタイプ。

「手に取ったら、まず見てほしいのは『かぐや』が見つけた“マリウス丘の穴”」

渡部潤一さん(国立天文台・副台長)

月の基地建設への扉を開く大発見。

 この月球儀は、2007年に打ち上げられた「かぐや」のデータでつくられているんですよね。「かぐや」は、それまでNASAの探査衛星が測量していた月の地形データを一桁以上精密にした画期的な月周回衛星です。
 われわれ国立天文台は、数センチ単位で測量できるレーザー高度計のプロジェクトを担当していました。レーザー高度計だと、日光が当たっていないクレーターの中まで測量できます。
 これらのデータをもとにして、2009年、日本は月の探査史に残るであろう発見をしています。それが、ここ、「嵐の大洋」の真ん中にあるタテ穴“マリウス丘の穴”です。
 ふつうのクレーターよりも暗いなとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が詳細を調べたら、直径、深さともに50メートル以上ある。もっと調べたら、隕石がぶつかってできたクレーターではなかった。
 じゃあ何かというと、溶岩が流れたときにできる溶岩トンネルです。溶岩トンネルなら、空洞が横にも広がっているはずで、実際に17年、JAXAがマリウス丘の穴から横に約50キロメートルも広がる空洞の存在を確認しました。もちろん、これも「かぐや」のデータを解析した成果です。
 マリウス丘の穴を発見したことで、月の基地建設への扉は大きく開いたと言っていいでしょう。というのも、月の地下は基地の有望な候補地だからです。
 大気がほとんどない月には、宇宙放射線と微小な隕石が降りそそぎます。温度差は激しくて、赤道付近だと昼は110度、夜はマイナス170度。基地をつくるには、地表は過酷な環境なのです。その点、地下なら放射線も隕石も防げて、温度差も小さい。人類が長期、月に滞在するのに適しています。
 その後、「かぐや」のデータから「静かの海」と「賢者の海」にもタテ穴が発見されましたが、どちらも直径、深さともに数十〜百メートル。これまでに見つかっているタテ穴は全部で10個程度ありますが、その中でも「かぐや」が発見した3つは最大級です。

わたなべ・じゅんいち●国立天文台副台長のほか、国際天文学連合の副会長も務める。『最新・月の科学』(編著、NHK出版)など著書多数。

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