歳をとれば誰でも出てくる!? 加齢臭の原因と対策

あれ?
脱いだ服から…
寝起きの寝具からも…
嫌な臭い。
それ「加齢臭」かもしれません。
体の臭いを研究している
関根嘉香先生に
加齢臭の原因と
対策を教えていただきました。

関根嘉香先生

教えてくれる人関根嘉香先生

せきね・よしか●東海大学理学部化学科教授。体のにおいの原因となる「皮膚ガス」の存在を明らかにした研究者。独自に開発した採取キットを使って皮膚ガスを測定してヘルスケアに活用する臨床研究にも取り組んでいる。著書に『皮膚ガスのはなし』(朝倉書店)ほか。

なぜ年齢を重ねると
臭いが出てくるのか?

加齢臭とは、年齢を重ねることで体から発生する特有の臭いのことを言い、女性の場合は「おばさん臭」などと言われます。この加齢臭を引き起こす主な原因はノネナールという物質です。

ノネナールは皮脂中のパルミトレイン酸と、皮脂が酸化してできる過酸化脂質が結びついて発生します。

このノネナールは20代まではほとんど体から出てくることはありません。ところが男性は35歳ころから女性は40代から、ノネナールが増え始めます。皮膚に含まれるパルミトレイン酸が増え始め、さらに過酸化脂質を作る体内の活性酸素も増えるので、ますますノネナール、つまり加齢臭が出やすくなるのです。

ノネナール発生イメージイラスト 年齢ごとのノネナール量グラフ

加齢臭は特に頭部、胸や背中の部分から発生することが多く、ツンと鼻をつくというより、モワッと広がるカビ臭さや脂っぽい臭いが特徴です。古本の臭い、カメムシの臭いや湿った畳の臭いに例えられることもあります。本人が加齢臭に気付いていないことも少なくありません。

気づきにくい加齢臭の
確認方法

まず、自分の寝具や下着、シャツをビニール袋に入れて密封します。その後、外の空気を嗅いで自分の鼻をリセットした上で、ビニール袋の中の臭いを嗅ぐと、自分の体臭を確認することができます。

自分の体臭は嗅ぎ慣れているため、あまり嫌な気持ちにはなりにくいですが、加齢臭以外に明らかにふだんと違うと感じる場合は、肝臓病やガンなど何か病気が隠れている可能性もあります。毎日行う必要はありませんが、ときどき自分の臭いを気にするのもよいでしょう。

加齢臭の対策と予防法

抗酸化作用のある食べ物を摂る

カシス、梅干し、ブルーベリーのイラスト

習慣的に、抗酸化作用のある食べ物をしっかり摂りましょう。たとえばカシス、梅干し、ブルーベリーなどです。とくに、カシスは抗酸化作用がある「アントシアニン」を多く含んでいて、加齢臭の原因となる体内での過酸化脂質の生成を抑える効果があります。カシスが手に入りづらい場合は、同じくアントシアニンが多く含まれるブルーベリーや梅干しでも効果が期待できます。
ただし、梅干し1個では量が足りないので、梅の成分を濃縮したジュースやゼリーなどがお勧めです。

汗をかく習慣をつける

適度な運動は新陳代謝を促進し、体内の老廃物を排出するのに役立ちます。たとえば、通勤の際に一駅分歩いたり、エレベーターを使わずに階段を利用するなど、日常生活に運動を取り入れることがおすすめです。また、毎日30分から1時間の散歩も効果的です。
湯船に浸かって汗をかくことも体臭対策になります。汗をかくことで汗腺が活性化し、水分の多いサラサラのよい汗に変わって汗臭を抑えることができます。

運動して汗をかく女性イラスト

体をやさしく洗う

毎日の入浴やシャワーで、皮脂や汗を洗い流しましょう。とくに、背中や首筋、耳の後ろなど、皮脂がたまりやすい部位を洗うことが大切です。ただし、硬めのナイロンタオルなどで強くゴシゴシと洗うと皮脂が取れすぎて、かえって皮脂の過剰分泌を招くことがあるので要注意です。皮脂は石鹸を泡立てて、優しく手でマッサージするように洗えば落とせます。

体をやさしく洗う女性イラスト

紫外線対策をする

実は、紫外線も加齢臭の一因です。皮脂は紫外線の影響でも酸化して、過酸化脂質を増やす原因になります。日差しの強い日には日傘を使うなどUV対策をしましょう。

最後に

加齢臭は、年齢を重ねれば誰でも例外なく出てくるものですが、毎日のちょっとした習慣で抑えることができます。あまり神経質になるとかえってストレスになってしまうので、ほどほどの対策を心がけましょう。