ご当地餃子の元祖の味を食べつくす。

パラダイス山元さん(マンボミュージシャン)
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角田光代さん(作家)

マンボミュージシャンのパラダイス山元さんは、餃子を愛するあまり、みずから会員制餃子レストラン「蔓餃苑」を主宰している「餃子の王様」。餃子への偏愛を隠そうとしない角田光代さんとご当地餃子の元祖店の味を、食べ比べていただきます。

歴史あり、特色ありこだわりありの5種類の餃子を食べ比べ。

山元
今日は、餃子ラバー仲間の角田光代さんと一緒に食べられるということで楽しみにやって参りました。よろしくお願い致します。
角田
はい。私も楽しみです。餃子は、取り寄せもときどきしますし、近所の餃子チェーン店に、お昼ご飯を食べにも行きますね。もちろん、自分でも作ります。30年前くらいに中国でお正月に餃子を食べると聞いて、それ以来、大みそかに焼き餃子を作って食べています。
山元
手作りのときは何を入れていますか?
角田
豚挽き肉、生姜、ニラ、白菜と、具材はいたってオーソドックスです。
山元
キャベツ派と白菜派に分かれますが、角田さんは白菜派なんですね。私はキャベツ派です。白菜の漬物を刻んで入れる地方もあります。栃木県はそうですね。
角田
へえ! おいしそう。

山元
では、トップバッターはキャベツ入り、浜松「石松餃子」の円形焼き餃子です。浜松餃子の元祖と言われるお店です。浜松餃子の特長であるゆでもやしをつけましたので、一緒に召し上がってください。(編集部注:商品にもやしはつきません)

角田
「石松餃子」ではありませんが、以前、もやしがのっている浜松餃子というものを食べてみたくて、食べに行ったことがあります。
山元
では早速いただきましょうか。うん、フワフワしておいしい。
角田
とてもさっぱりしていますね。いくつでも食べられちゃいそう。フワフワしているのは野菜が多いからでしょうか?
山元
キャベツたっぷりだからですね。素材の味が伝わってきて、それがすごくいい。お肉は控えめでヘルシーな味わいです。初めて餃子にもやしを添えて提供したのも「石松餃子」です。角田さん、もやしも一緒に食べてみてください。
角田
もやしのシャキシャキ感が残っていておいしい。
山元
キャベツが多く、あっさり味でシンプルな餃子ですよね。「石松餃子」さんは、昭和28年創業で現在3代目。長年にわたって、この味が支持されているのもうなずけます。
角田
そうですね。食べ続けていても飽きない味です。
山元
じつは餃子好きの方に、私からぜひ提案したいことがありまして。餃子のタレって醤油+お酢+ラー油の組合せが通常運転ですよね。もちろんお店では、その餃子に合うタレを考えて作っていると思いますので、まずはそのタレで楽しんでいただきたいのですが、自分で焼いて食べるときはトッピングレシピで味変も楽しんでみるといいと思います。
角田
私も「醤油、お酢、ラー油」の組合せか、「お酢、胡椒」で食べていました。
山元
たとえばアボカドとフライドオニオンとオリーブオイル、レモンやライム、柚子胡椒、ウニとバジル、しらすとわさび漬け、なめ茸&オリーブオイルとかね。なめ茸は餃子のために生れてきた調味料だと思います。それぐらい合います。それから意外ですけれど、マーマレードも餃子と相性がいい。ラズベリージャムやイチゴジャムはダメなんですが、マーマレードはいけます。この浜松の餃子であれば、餃子自体がさっぱりして食べやすいので、なめ茸&オリーブオイルを試してみてください。ライムと柚子胡椒も合うと思います。柚子胡椒をのせて、上からライムをぎゅっと絞って食べる。
角田
なめ茸&オリーブオイルは濃厚さが加わって、ひと味変りますね。ライムと柚子胡椒は、味に奥行が生れます。
浜松「石松餃子」円形焼き餃子120個

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牛肉がたっぷり詰まった「宝雲亭」の一口餃子。

山元
続いて博多「宝雲亭」の一口餃子が焼き上がりました。「宝雲亭」は昭和24年創業の老舗の餃子専門店です。
角田
このサイズがかわいいですね。九州は一口餃子が多いんですよね。長崎の一口餃子を食べたことがあります。
山元
赤い柚子胡椒は唐辛子が混ざったものですね。これをつけると、辛みのパンチが効いて、肉々しくて、九州の餃子を食べているぞ! と実感します。
角田
お肉がしっかり入っていておいしい。この大きさから想像がつかないぐらい、お肉感があります。
山元
うん、小さいけれどお肉感があっておいしいですね。一口餃子は大阪にもありますが、こちらのほうが食べごたえはあります。野菜は玉ねぎがメインで、あとはニラ、それから牛挽き肉も少し入っています。
角田
牛肉は珍しいですね。
山元
だから肉の味がしっかり感じられる。
角田
これなら私、20個ぐらいはいけそう。
山元
このサイズを一つずつ作るのは、大変な手間です。食べるときは一口で、飲み込むまで5秒かからないのに、その一個を作るのに、どれだけの時間と手間がかかっていることか。
 そもそも餃子自体、手作りは大変です。まず小麦粉をこねて、寝かして、伸ばして皮を作る。餡は肉も野菜も刻んで、下味をつけて混ぜて寝かして、そこから包んで調理するわけでしょう?
 それを考えたら、冷凍餃子はやっぱりすごい(笑)。
角田
そう言えば今日はおいしい焼き方も教えていただけるとうかがって、ぜひマスターして帰りたいなと思って来ました。
博多「宝雲亭」一口餃子150個

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青ねぎとのバランスが絶妙な「龍」の青ねぎ餃子。

山元
3番手は広島「龍」の青ねぎ餃子です。最近、こうした青ねぎどっさり系が広島餃子として広まりつつあるそうです。お店では広島産の観音ねぎを使用しているそうですが、九条ねぎ系であれば、どんな青ねぎでも合います。(編集部注:商品に青ねぎはつきません)
角田
バランスがよくて、すごくおいしいですね。
山元
トッピングとしてのねぎと餃子本体の味のバランスがとてもいい。ねぎをのせないとどうなんだろう。ちょっと中身を分解していいですか? こうやって、お店でも中身が気になってすぐ分解しちゃうんで、お店の人がいつも青い顔して「何かありましたかっ!?」と飛んで来るんですよね……野菜も肉も多めで両者の割合がちょうどいいですね。ねぎがなくてもおいしく食べられると思います。
角田
キャベツの食感と甘みがしっかり残っていて、さすがお好み焼きで有名な広島という感じ。冷凍餃子で、ここまで食感が残せるのはすごいですよね。
山元
そうですね。冷凍すると野菜ってシナシナになりやすいですから。この餃子はマスタード&レモンが合いそうです。マスタードたっぷり、ねぎをのせて、レモンもたっぷりかけて食べてみてください。
角田
あら、いきなり洋風の味になりました。餃子なのに、なんだかおしゃれ(笑)。
広島「龍」餃子120個

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神戸といえばみそだれの「元祖ぎょうざ苑」。

山元
続いて4品目は、神戸「元祖ぎょうざ苑」のみそだれ餃子です。「ぎょうざ苑」さんは、神戸元町の中華街にあるお店です。お店のみそだれは閉店後に、毎日店主がひとりで手作りしているんですよ。まずは何もつけないで食べてみましょう。

角田
甘みがありますね。
山元
うん、今までの中ではいちばん甘い。ここの餃子はキャベツと白菜の両方を使っています。焼いたときの皮のサクサク感というか、クロワッサン的な食感もおいしいと思う。
角田
みそだれで食べるのって初めて。これはおいしいですね。甘さがあるから、みそだれをつけると甘じょっぱい味になって、それがまたいい感じです。それにしても、どうしてみそで食べるんですか?
山元
昭和初期に初代店主が中国に渡り、満州で餃子と出会った際、無類のみそ好きだったこともあって、みそのたれで餃子を食べていたそうです。帰国後、みそだれ餃子のお店を神戸にオープンし、この食べ方を広められたということです。これこそマーマレードがいい。味変はマーマレードとみそだれの組合せでいってみてください。
角田
うーん、これは食べたことのない味! おいしい!
山元
マーマレードって、これまで使い切れなくて残してしまうことが多かったんですが、餃子と合せるようになってから、なくてはならない食品のひとつになっています。
角田
そういえば、山元さんがオーナーをされている「蔓餃苑」には、会員の方に連れて行ってもらったことがあります。数ある食べ物の中で、なぜ餃子を専門にされたのですか?
山元
話せば長いのですが、餃子は彫刻的というか、デザインし甲斐があるというか。ラーメンの場合、芸術的なラーメンを作っても、出した瞬間グチャグチャにかき混ぜられて、鑑賞する間もなくズズズっとやられてしまう。ラーメンがおいしいことは私も認めますが、そのロジックがどうも感性と合わなくて。自分を表現できる食べ物なら、やっぱり餃子となりました。

神戸「元祖ぎょうざ苑」みそだれ餃子100個

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タレなしでもおいしい「おけ以」の東京焼き餃子。

山元
では、最後の5品目になります。飯田橋「おけ以」の東京焼き餃子です。おけ以は昭和29年、いまで言う町中華の店として創業しました。餃子はもちろん中華料理をおいしく食べられるお店です。
角田
タレはついていないんですね。
山元
「おけ以」は、タレをつけなくてもおいしく食べられるように味付けをして作っていらっしゃるそうです。
角田
本当だ。味がついていて、何もつけなくてもそのまま食べられますね。皮のモチモチ感がおいしい。
山元
皮が厚めでしっかりしていて、ずっしりした食べごたえですね。タレなしでもおいしいんですがあえて、トッピングをつけるとしたら、刻んだエシャロットとライムが合いそうです。
角田
レモンじゃなくてライムなんですね。エシャロットをのせてと……これはびっくり!
山元
「おけ以」の餃子には、最高の組合せだと思います。
飯田橋「おけ以」東京焼き餃子100個

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角田
これだけの数の餃子を食べ比べたのは初めてでしたけれど、改めて餃子っておいしいと思いました。
山元
餃子を食べるのってスポーツです。一度に何個もの数を食べる食べ物は、そうそうありません。あと思いつくのは、わんこそばくらい(笑)。
角田
ああ、なるほど(笑)。
山元
ところで、近所の餃子屋さんにはよく行かれますか?
角田
結構行きます。
山元
では今度、私もご一緒させてください。餃子ラバーズを常に募集しているんです。
角田
もちろん! 喜んでお付き合いさせていただきます。今はお腹いっぱいですけど(笑)、不思議と餃子っていくらでも食べられちゃう気がしますね。今日はごちそうさまでした。


パラダイス山元(マンボミュージシャン)●北海道生まれ。会員制餃子レストラン「蔓餃苑」苑主。『広がれ! 餃子キングダム』(NHK出版)、『うまい餃子』(宝島社)など餃子関連の著書多数。
角田光代(作家)●神奈川県生まれ。『対岸の彼女』で直木賞受賞。最新小説『タラント』(中央公論新社)。餃子ラバーとしても知られる。

パラダイス山元流 名人のコツ。

コツ その❶

焼きながらフライパンを小刻みに揺らし続けると、焦げずに均一の焼き目がつく。

コツ その❷

細口の油差しで餃子の間に微量の油を差して焼くと、餃子同士がくっつかない。

細口油差しは100円ショップなどで入手できます。


メーカーの2年保証つきフライパン。

ビアンカ・マジコ

フッ素加工のフライパンは、使い続けているうちにフッ素がはがれてこびりつきやすくなるのが玉にキズ。本品はフライパン表面(アルミ)に細かい溝をつけてから樹脂を流して2回、焼き固めているので餃子を焼いてもこびりつきにくい。

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