通販生活の読み物

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 「明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか?」 日本中国友好協会会長、元中国大使

 「明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか?」 日本中国友好協会会長、元中国大使

お友だちに悩みを相談されて、答えに困ったことはありませんか。
新聞やラジオなどの「人生相談」を担当している
6人の達人に回答哲学をうかがいながら、同じ質問をぶつけてみました。

朝日新聞土曜版『be』で「悩みのるつぼ」を担当 上野千鶴子さん 下ネタ系の相談に強い熟女として、「回答芸」に磨きをかけています。

『スカートの下の劇場』(河出文庫)という下ネタ系の著作で世間に知られるようになった私は、「負け犬」おひとりさまで、世間では「はずれ値」。身の上相談の回答者としては、ずれ方の程度が大きいことも自覚しています。けれど「悩みのるつぼ」は、タイトルからしていいかげん。掲載されているのもA面ではなく「be」面です。ここでなら、パフォーマンス的な回答も受け入れられるだろうと思い、回答者を引き受けました。

 私にとって回答とは、読者に楽しんでもらうための芸なのです。相談者を傷つけないようにという最低限のルールを守りながら、「回答芸」を磨き続けて9年目。これまでに100件以上の相談に回答してきました。

 ある時、こんな相談が寄せられました。「性欲が強すぎて、受験勉強に集中できない。このままでは女性を襲ってしまいそうだ」。15歳の男子中学生からの相談です。

 私の回答は、次の通り。「知らないことは知っているひとに教えてもらうに限ります。経験豊富な熟女に、土下座してでもよいから、やらせてください、とお願いしてみてください。断られてもめげないこと。わたしの友人はこれで10回に1回はOKだったと言っています」(一部抜粋)。

 こういう相談に全国紙で回答できるなんて、いい時代になったものです。ところがこの回答をきっかけに、某自治体の講演会が中止されてしまいました。どうやら主催者から「性的に不謹慎な言動をする人物」と判断されたようです。まあこんな具合に、思わぬ形の反響もありますが、悪いことばかりでもありません。「『悩みのるつぼ』のファンです」と声をかけていただくことも多いから。痩せても枯れても625万部の全国紙。その影響力はあなどれません。『おひとりさまの老後』(文春文庫)の出版後は、老いや介護についての相談も増えました。同じ「身の下」相談でも、ついにシモの世話の話までするようになりました。下ネタ系に強い熟女の回答者としての地位は、いよいよ盤石になったようです。

 今は、「どんな球が来ても、必ずヒットを打ってやるぞ」という気持ち。予想外の相談に切り返すことこそ、回答芸の腕の見せどころだと思っています。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A「死」に明るいも暗いもありません。生きるのが大変なように、死ぬのもなかなか大変。だけど、みんながやっていることですから、あなたにもできるでしょう。死に方をあれこれ考えるより、自分が納得のいく生き方を追求した方がよっぽどましです。私たちにあるのは「死なれる経験」ばかりで「死ぬ経験」は味わえません。それでも、人はみんな死ぬのです。

うえの・ちずこ
1948年、富山県生まれ。社会学者。認定NPO法人WAN理事長。近著に『また 身の下相談にお答えします』(朝日文庫)、『世代の痛み』(雨宮処凛さんとの共著、中公新書ラクレ)がある。

毎日新聞で「人生相談」を担当 立川談四楼さん 落語には、人生相談の回答に役立つ失敗談がわんさとあります。

 落語家は、揉め事やトラブルが大好き。「大変なんだって?」と心配そうな顔で話しかけながら、心の中では「ネタを拾っちゃったよ」とホクホクしてしまう性分ですから。だから、人生相談の回答者の依頼が来た時はたまげましたよ。でも、師匠・談志の教え「囃(はや)されたら踊れ」に従い、お引き受けしたんです。

 相談を受けてみると、これがなかなかやりがいがある。思わず大笑いしたのは、高齢のご両親を介護している独身女性からの相談。「『私はこのまま親の介護だけやって、独りぼっちで老いていくのね』と両親に言うと、いつもはヨボヨボの父がサッと仏壇に駆け寄って『ああご先祖様、申し訳ありません。小生は鬼の子を育ててしまいました。あああ』と言った」というのです。まるで落語のよう。この時は、「人生の前半は親によって、後半は子によって台無しにされる」という格言を引きながら、ご自身の人生を大切にしてくださいと回答しました。

 若い女性からの「ノリが悪く、カラオケに行ってもはしゃげない」という相談には、勇気を出して、一番はじめに元気よく歌ってみたら? と勧めました。トップバッターは場を明るくするのが役目なので、歌は下手で構わない。むしろ上手に歌ってはいけません。1曲歌えばノルマは達成。後はみんなの歌を聞いていればいいのです。

 私の兄弟子にご祝儀をもらうくらい音痴の人がいて、宴会の人気者でした。でも、本人は笑われるのが面白くなかったようで、カラオケ教室に通ってド下手から普通の下手になっちゃった。仲間内みんなでガッカリしましたよ。何事も上手なことだけが大事じゃない。

 落語の世界で失敗ばかりしている熊さんや八っつぁんを見守るご隠居さんのように、私もみなさんの相談に回答しようと思っています。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A 人は年を重ね、周りの人の死をいくつか経験するうちに、死とは何かを自然と学び、死を恐れなくなるものです。年をとるほど、時が経つのが早く感じるようになりますから、それこそ死を恐れる間もなく極楽往生できるでしょう。明るい葬儀をご希望なら、落語家を招くのも手です。私も、落語ファンだった方の葬儀に招かれて、ご遺体の前で一席やったことがありますから。

たてかわ・だんしろう
1951年、群馬県生まれ。落語家、作家。83年に立川流落語会第一期真打ちとなる。『シャレのち曇り』(PHP文芸文庫)、『談志が死んだ』(新潮文庫)など著書多数。

週刊SPA!で「佐藤優のインテリジェンス人生相談」を担当 佐藤優さん 毎回、必ず1冊、悩みを解決する糸口になる本を紹介しています。

 月平均80本の連載を抱えていますが、「インテリジェンス人生相談」は読者と直接やりとりできるほとんど唯一の窓。はじめた時は、冷やかしのような相談しか来ないのではと思っていましたが、それぞれに深刻なものばかり寄せられます。

 私の人生相談の特徴は、必ず1冊、悩みを解決する糸口となるような書籍を紹介すること。読書案内としても読めるしかけになっています。悩みに答えるのですから、ふつうに選ぶとどうしても精神科医が書いた本に偏ってしまう。それではつまらないので、小説、自然科学、政治、動物など、できるだけいろいろなジャンルから紹介しようと努力しています。1つの相談に答えるのに時間がかかって大変ですが、やりがいもありますね。

 最近気になるのは、貧困にまつわる相談が多いことです。とくに、特定の職に就いておらず、結婚もしていない中高年男性の状況は深刻です。10年前なら親にパラサイト(寄生)できましたが、今は同居できても親の年金額は削られている。「生活が安定しないので老後の設計も立てられないまま年を重ね、生きる張り合いを見出せずに日々を過ごしている」との相談が多く寄せられています。

 忘れられないのは、「母子家庭の僕は、大学へ通う資格がないのですか」と相談してきた青年です。私は相談文から、彼が貧困と絶望により、命を絶ってもおかしくないほど追い詰められていると感じ、直接コンタクトをとってフォローしました。

佐藤優さん

 また、「北朝鮮との関係が心配」といった、社会情勢を憂える相談も増えています。市民が政治意識を高めるのは良いことですが、ここ数年は少し程度が行き過ぎている。暮しが穏やかであれば政治に無関心な人が増えるけど、今はみんなが日本の行く末を心配している。職業政治家がきちんと務めを果たしていないことの裏返しでしょう。

 人生相談を読んでいると、手紙を書いた段階で悩みの9割方は答えが出ていると分かるものが多い。あとは最後の一押しを私がしてあげればいいわけです。悩みを書き出すことで頭が整理されるのでしょう。だから、悩みを抱えている人は誰かに相談するつもりで問題を書き出してみるといい。第一に取り組むべきは何か、具体的に把握できると思います。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A 自分が死ぬ時に隣にいてくれる人との関係を築いておくことです。そこに金銭が媒介しない限り、家族であれ友人であれ、どんな関係性でもよいのです。1人で死んでいくのは、少し寂しい。たった1人でいいから、最期を看取ってくれる人がいることが、人生において大切なことだと思います。

さとう・まさる
1960年、東京都生まれ。作家。02年、外務省在籍時に背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。その経験を基に書いた『国家の罠』(新潮社)で作家デビュー。以降、論壇で活躍。

西日本新聞で「比呂美の万事OK」を担当 伊藤比呂美さん 相談者が少しでもラクな気持ちになれるよう、絶対に叱りません。

 自分らしく生きることが、一生の課題です。人生相談でも「自分は自分。そのことを大事に」と回答し続けてきたような気がします。

 回答者が何人かいる全国紙なら、「この相談はあの人に」と適任者に回すこともあるでしょうが、「万事OK」の回答者は私1人。全国紙がイタリアン、中華などの専門店とすれば、私は町の食堂です。カツ丼でも麻婆豆腐でも、注文があれば何でも作る。地方紙の人生相談に駆け込むのって、最後のような気がするんです。他の誰にも相談できない、ギリギリの状態なんじゃないかと。だから、私は絶対に叱りません。否定しない。相談者の側に立って、その人が少しでもラクな気持ちになれるように回答しています。隣に座って語りかける感じ。

伊藤比呂美さん

 寄せられる相談のほとんどは、愛する人と別れる苦しみ「愛別離苦(あいべつりく)」と、憎んでいる人と会わなければならない「怨憎会苦(おんぞうえく)」のどちらか。これは、仏教における苦の分類「四苦八苦」のなかの2つです。名前がついているくらい昔からこの問題には多くの人が悩んできたのだと、お経の一部を引いて回答するだけでも救われるんじゃないかと思うんです。

 DV(家庭内暴力)を受けているとか、ギャンブルにはまってしまっているとか、その場で解決できない相談もある。その時は協力してくれる専門家に相談して、サポート体制が整っている団体につなぐこともあります。

 回答に窮するのは、たとえば「不妊」の悩み。産む、育てるについて語ってきた私ですからね。相談者の苦しみに直面して身もだえしながら答えています。「職場の人間関係」も苦手。私はまともに就職したことがないし、鈍感で人間関係に悩まないんですよ。 人生相談をやった収穫は、自分の経験以外に人の経験も感じられること。これはものすごい経験で、本業の作品作りにも影響を受けています。

 新聞の人生相談で感触をつかめたので、その後、私が暮しているアメリカ西海岸の生活情報誌で現地在住の日本人を対象に人生相談をはじめたし、日本に帰国した時は会場から相談を募るライブの人生相談も積極的に行なっています。ライブで人生相談をやっているのは、尊敬する瀬戸内寂聴先生と私くらいじゃないかしら。今や人生相談は、私のライフワークになりました。寂聴先生を目指し、精進の日々です。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A 元気なうちから、体が動かなくなったらどうするかをシミュレーションしておくとよいでしょう。ただし、それは身の周りのこと。死そのものに備える術はないのではないかと思います。生体は生体である限り生きたいと望む。いつか死ぬまで生きる、それだけだと、親を見送ってみて感じます。

いとう・ひろみ
1955年、東京都生まれ。詩人。78年、現代詩手帖賞受賞。97年以降は、アメリカ・カリフォルニア州と熊本を拠点に活動。『女の一生』(岩波新書)、『閉経記』(中公文庫)など著書多数。

南海放送「室井佑月のニュースな課外授業」で「人生相談」を担当 室井佑月さん どんな相談にもはっきり答えます。若い男性には辛口になっちゃうけど。

 デビュー以来、いろんな媒体で人生相談を担当してきました。回答をするうえで気になるのは、相談者から寄せられる相談文の書き方や細かいニュアンス。大抵の場合、相談文を読めば、相談者の本心が分かります。だから「あなた、2人の女の間で揺れ動いて困っているというけれど、本当はどちらのことも好きじゃないんでしょ!」などと、ズバッと回答しちゃうんです。

 文面から、相談者が心の病かもと感じた時は、カウンセリングを勧めます。「私も精神科に通ってラクになった経験があるよ」と言えるのは、回答者として大きな強み。私の場合は「こんなに辛いのに、高い治療費まで払わなきゃいけないなんて!」と悔しくなって、カウンセリング以外で息抜きする方法を習得していったんですけど。

 どんな相談にもはっきりと回答する方ですが、若い男性には、とくに辛口になっちゃいます。

 実生活でも男友だちの愚痴を聞いてあげることがあるけど、「俺は悪くない」と主張するばかりで、イライラさせられちゃう。「つまらない話で私の時間を奪わないでよ」と一蹴することもしばしばです。

 でも、最後には「あなたは大丈夫だよ」と言ってあげるんです。弱くてダメなところがあるからこそ、男の人って可愛いなと思うから。生きづらさを抱えながら、精一杯生きている可愛い男性からの相談なら、いくらでも聞いてあげたい。もちろん、どんな環境にもめげず、タフに生きていこうとする女性からの相談も大歓迎です。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A 年をとってから思い返したくなるような楽しい思い出を、たくさんつくっておいたらいいと思います。何なら、自分に都合の良いように記憶を改ざんしちゃってもいい。人生の最後に「あの時こうしてたら、もしかして……」と妄想に浸るのも、ぜいたくな時間ですよね。後は、「自分は抗がん剤治療はしない」とか、やりたくないことをはっきりさせておくのもいいかも。

むろい・ゆづき
1970年、青森県生まれ。作家。雑誌モデル、ホステスなどを経て、97年に作家デビュー。息子の中学受験について綴った『息子ってヤツは』(毎日新聞出版)など著書多数。

ニッポン放送「テレフォン人生相談」を担当 柴田理恵さん 専門家が助言できるよう相談内容を聞き出すのが私の役目。

「テレフォン人生相談」での私の役目は、相談者の悩みを聞き出し、弁護士や医師などの専門家につなげること。私も専門家も収録時の電話で初めて相談者の悩みを知るので、橋渡し役の責任は重大。なるべく自分の感情を抑え、順序立てて話を聞くように心がけています。

 でも話を聞くうち「あなたが腹を立てるのも当然よぉ」と、ヒートアップすることもしょっちゅう。同情せずにはいられない相談には、ついオバちゃんモードが全開になっちゃうんです。

柴田理恵さん

 お見事なのは、専門家の方々。冷静に話を聞き、客観的に事実を整理して回答します。時には厳しい答えもありますが、専門家の話は相談者も納得しやすいし、気持ちがほぐれるみたい。専門家の一言って、よく効くんです。

 微笑ましい相談もありますよ。ご主人の浮気に気づいた奥さんが「仕返ししてやりたい」と電話してきました。ご主人は「もうしない」と反省しているんだけど、浮気相手への思いを断ち切れず、手帳にポエムを書いていたというのです。申し訳ないけど、思わず大笑い。おじさんがポエムを書くなんて、可愛いじゃないですか。奥さんにとっては笑いごとじゃないでしょうけど、「老後には、しつこいほどポエムの話をしていじめてやんなさいよ」と私が言ったら、奥さんも笑っていました。

Q 明るい最期を迎えるにはどうしたらいいですか。

A う~ん。身の周りにある全てのものに感謝の気持ちを持って生きることが大事かな。「あーしんどい。もうちょっと寝ていたい」という朝も、「私を取り巻く全てのおかげで、今日も楽しく1日を過ごせるんだ」と、頑張って起きるんです。そういう習慣をつけていくことで、死ぬ時も周りに感謝して、よい死に方ができる……ような気がします。

しばた・りえ
1959年、富山県生まれ。女優。WAHAHA本舗創立メンバー。2018年2月6日~11日、佐藤正宏さんとの2人芝居「ラブストーリー」を東京・中野の劇場MOMOで上演。詳細はWAHAHA本舗HPで。

構成/片山幸子 撮影/大倉琢夫・坂本禎久・関幸貴 イラスト/伊野孝行

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