ネコの作家

フェルト作家 猫ラボさん

フェルト作家 猫ラボさん

頭と背中にもっとも難しいキジトラ模様が混ざった作品。(2016年)

頭と背中にもっとも難しいキジトラ模様が混ざった作品。(2016年)

2012年から手のひらサイズのフェルトキャットを制作。ギャラリー展示やイベント参加を中心に、ウェブのCM製作や映画の宣伝協力など幅広く活動。作品集『FELT CATS』(私家版。本体1300円+税。Amazonで購入可)

2012年から手のひらサイズのフェルトキャットを制作。ギャラリー展示やイベント参加を中心に、ウェブのCM製作や映画の宣伝協力など幅広く活動。作品集『FELT CATS』(私家版。本体1300円+税。Amazonで購入可)

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再現が難しいサビ模様。顔の真ん中で柄が違うのはサビネコの特徴。(2015年)

再現が難しいサビ模様。顔の真ん中で柄が違うのはサビネコの特徴。(2015年)

「ちょび髭」ネコに興味津々の猫ラボさんちのネコ・南天(3歳、メス)。(2017年)

「ちょび髭」ネコに興味津々の猫ラボさんちのネコ・南天(3歳、メス)。(2017年)

 手芸が好きで、通販生活で買った山﨑ミシンでソファカバーをつくったりしています。大巻の糸を2本連続で使っても止まらない、すばらしいミシンですね(笑)。

 フェルトでネコをつくりはじめたのは6年前。飼っていたネコが20歳を過ぎて介護が必要になり、長時間家を空けられないけど、暇な時間もけっこうあるという毎日でした。手芸用品店でフェルトの人形をつくるキットを見つけてやってみたら、かんたんに形がつくれるのが面白くてはまってしまったんです。最初はいろいろな動物をつくりましたが、次第に身近にいるネコばかりになりました。

 人によってつくり方はいろいろあるようですが、私は羊毛やアクリルで芯をつくり、そこに手でほぐして綿状になった羊毛をニードル(針)で刺して貼り付けていきます。頭、胴体、手足をバラバラにつくって、バランスを見ながら合体。最初にできた顔を見て、この表情ならこういうポーズと決めることも多いです。

 フェルトネコは目が大事なんですが、市販品では思い通りの表情が手に入らないので、透明の半球ガラス玉を買ってきて自分で描いています。平面部に瞳孔の大きい目や細い目を、いろいろな色で塗って使い分けます。作品ができあがってわかったのですが、ガラス玉を使うと作品を見る角度によってネコの視線が変わる。正面に向けて目を埋めていても、上から見ると見上げているように見えるし、横からだと横目のように見えるんですよ。

外を眺めるネコは、窓枠に手をのせることで自立する。(2013年)

外を眺めるネコは、窓枠に手をのせることで自立する。(2013年)

上:8mmの半球ガラス玉。平らな面にネコの目を描いて埋め込む。下:羊毛の色を混ぜるハンドカーダー(写真右)と羊毛、ニードル(針)。1体つくるのに50gほどの羊毛を使う。

上:8mmの半球ガラス玉。平らな面にネコの目を描いて埋め込む。下:羊毛の色を混ぜるハンドカーダー(写真右)と羊毛、ニードル(針)。1体つくるのに50gほどの羊毛を使う。

最新作5体は東京で行なわれた『猪熊弦一郎展 猫たち』に合わせて作成された。(2018年)

最新作5体は東京で行なわれた『猪熊弦一郎展 猫たち』に合わせて作成された。(2018年)

髭は市販の刷毛をカットして使っている。折れやすいので梱包に気を遣う。

髭は市販の刷毛をカットして使っている。折れやすいので梱包に気を遣う。

髭は市販の刷毛をカットして使っている。折れやすいので梱包に気を遣う。

髭は市販の刷毛をカットして使っている。折れやすいので梱包に気を遣う。

「ガラス玉の目はまっすぐに埋めているんですが、見る角度で視線が変わるのが面白い」

 作品の大きさは目で決まるので、私がよく使う8mm玉だと缶ジュースくらいの大きさのネコができます。最近、あまりつくりませんが、実物大なら本物のネコの目と同じ大きさのガラス玉を使うわけです。

 羊毛は色も種類もたくさんあります。なかには染色してくれるお店もあるので、うちで飼っているネコの毛を送ってグレーに染めてもらったこともあります。同じグレーでもさまざまだし、束で見たときと作品に重ねたときでは色が違ってくるのが難しいところ。白や黒の1色ならいいんですが、他の色のネコなら数色の羊毛を混ぜるハンドカーダーという道具を使ってつくらないといけません。複雑に色が混じったサビや縞模様のキジトラは、とくにハイレベル。だから、かんたんな白ネコがどうしても多くなってしまうんです。

 羊毛を重ねて貼っていく表面がつるっとした作品に慣れてきたので、今年は長毛の作品を増やそうと思っています。長毛は羊毛を束にして少しずつ植毛していく、気が遠くなるような作業なので、つるっとした作品の倍の時間、2週間はかかりますね。

 いつも作品が仕上がる最後の5%くらいまで「これ、かわいくなるのかな?」と思いながらニードルを刺しています。この工程の退屈さに耐えられれば、誰にでもできると思いますよ。

 ちょっと不細工な、特徴のあるネコに比べると、顔の整ったきれいなネコはつくりにくいですね。どうしても「本物のかわいらしさにはかなわない」って思ってしまう。つくっていて顔が決まらないなと思ったとき「ちょび髭」を付けると、とたんにネコらしくなるのでつい付けちゃいます。うちで飼っている蘭丸というネコにもちょび髭があるんですが、「困ったときの蘭丸」で、もう何体つくったかわかりません(笑)。

赤ちゃんネコの目は瞳孔が大きく黒目がち。(2014年)

赤ちゃんネコの目は瞳孔が大きく黒目がち。(2014年)

ネコには頭をスリスリできるお気に入りの「角」がある。(2015年)

ネコには頭をスリスリできるお気に入りの「角」がある。(2015年)

頬もスリスリして匂いを付ける。こんな顔になっちゃう。(2014年)

頬もスリスリして匂いを付ける。こんな顔になっちゃう。(2014年)

のぞき込むネコ。別アングルをお見せできないのが残念。(2014年)

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ネコの大好物、箱に入る。なぜそんな狭いところが好きなのか。(2014年)

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気が遠くなるような作業の末に完成した長毛のネコ。(2017年)

気が遠くなるような作業の末に完成した長毛のネコ。(2017年)

箱と並んで大好物の袋に入るネコ。横目でこっちを見ている。(2017年)

箱と並んで大好物の袋に入るネコ。横目でこっちを見ている。(2017年)

2018年夏と冬に東京・表参道にあるセレクトショップ「ARTS&SCIENCE」で猫ラボさんの作品を展示予定。詳細は猫ラボさんのHPでご確認ください。https://www.neko-labo.com/

写真:猫ラボ/吉崎貴幸

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