これからの時代の「自衛隊の役割」を考える。

衆参両院の憲法審査会議員の皆様へ 憲法改正国民投票法を修正してくださいませんか。
国民投票法第56条で定められた投票用紙。国会が発議した「憲法改正案」について賛成または反対の欄にマルをつける。

憲法改正国民投票は、「改正案」に賛成するか、反対するかを投票することになっています。したがって、

①3分の2以上の衆参両院議員が発議する唯一の「改正案」に賛成する。
②「現行条文」に賛成なので「改正案」に反対する。

しかし、あなたがこの二択のどちらにも同意できない場合は、どうしたらいいのでしょう。

③棄権する。
④とりあえず「改正案」に反対して現状を維持し、次の国民投票の機会を待つ。

 むろん、「改正案」に反対したからといって投票結果次第ですから、必ず現状維持が保証されるわけではありませんが。

「憲法九条の頭の上に日米安保条約が乗っかっているかぎり、九条に自衛隊の存在を明文化してしまったら、それこそアメリカの好きなように自衛隊を使われてしまう」

 そんな懸念から、戦争体験のある議員や支持者が沢山いた昔の自民党には、戦争絶対反対の立場から「九条に自衛隊を明文化しない」に賛成する人が沢山いました。これらの人たちはハト派とよばれてきました。冷戦の時代、わが国の防衛と外交に関してはアメリカ側が強い支配力を発揮していましたから、「九条に自衛隊を明文化しない」は戦後の平和を守る保守の知恵でした。もし、ベトナム戦争の時に自衛隊の存在が九条に明文化されていたら、韓国同様、日本も自衛隊をベトナムへ出兵させられていたかもしれません。 時代は移り、敗戦から72年も過ぎましたが、沖縄の米軍基地ひとつとってもわかるように、相変らず、わが国の防衛と外交に関してはアメリカ側が強い支配力を発揮しています。

 そんな状況が続く中で、もし、自民党が自衛隊の存在だけを九条に明文化する改正案を出してきたら、どうなるのでしょう。アメリカの都合に合せて米軍との一体化が深化していく解釈が増えていくことはないのでしょうか。

 九条に自衛隊を明記する時は、その存在だけでなく、その役割もきちんと明記することで、独立国としての国防のあり方を示すべき時だと本誌は考えます。いくらアメリカでも、国民投票という国民の総意で決定した自衛隊の「役割」については、さすがにひっくり返すことはできませんでしょうから。そこで、『自衛隊を活かす会』(下コラム参照)のお3人に、これからの自衛隊の役割についてお聞きしました。(編集部)

「自衛隊を活かす会」設立趣意書より(正式名称・自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会)

現在、尖閣諸島の問題に端を発して、日本と中国との間の緊張が高まり、多くの国民が不安を感じています。(略)この現状をどう打開して、日本の主権を守り、アジアと世界の安定を確固としたものにしていくのか。そのための模索と探究が、いまほど求められているときはありません。(略)
その際、カギとなるのは、防衛の中核となる自衛隊のあり方の方向性です。それは、長い経験の蓄積のなかで国民に支持されてきた自衛隊の存在を改めて否定する方向ではないでしょう。さらにそれは、自衛隊から一足飛びに「国防軍」となり、集団的自衛権行使に進む方向でもないと考えます。自国の軍隊を持ち、自衛の「お仲間」をつくることは国家として極めて本能的な願望であることを認めつつも、はたして「安全」と「平和」は武力のみによって達成されるものなのか、かえって不信をあおり、力の対決の連鎖を招くことにならないのか、そのバランスを同時に考えていかなければなりません。(略)
私たちは、現行憲法のもとで誕生し、国民に支持されてきた自衛隊のさらなる可能性を探り、活かす方向にこそ、国民と国際社会に受け入れられ、時代にふさわしい防衛のあり方があると考えます。(略)
2014年6月7日

伊勢﨑賢治 東京外国語大学大学院教授(平和構築論)
加藤 朗 桜美林大学教授(平和論・紛争論)
柳澤協二 国際地政学研究所理事長、元防衛庁防衛研究所所長

私はこう考える

柳澤 協二さん(国際地政学研究所理事長、元防衛庁防衛研究所所長)

伊勢﨑 賢治さん(東京外国語大学大学院教授 平和構築論)

加藤 朗さん(桜美林大学教授 平和論・紛争論)

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