週刊通販生活トップページ  >  今週の原発:原発事故子ども・被災者支援法

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福島第一原発の爆発事故から数えて1年3ヵ月後の12年6月21日、「国は福島の子どもを守る」と宣言する基本法(原発事故子ども・被災者支援法)が衆議院本会議で可決しました(全会一致)。

「いの一番にいそがねばならないのは国が本気で福島の子どもたちの健康を守ることだ」と考えてきた私たちにとってはうれしいニュースです。この『支援法』の発議や制定にかかわってきた議員の皆さん、ご苦労さまでした。しかし、この支援法はあくまでも基本法(理念法)で、具体的な政策(実践法)はこれからつくることになります。これからが本番です。

●この「基本法案」を発議した参議院議員(敬称略)民主党:金子恵美、谷岡郁子(法案設立時、現・みどりの風)、徳永エリ、増子輝彦/自由民主党:佐藤正久、森まさこ/たちあがれ日本:藤井孝男/公明党:加藤修一、谷合正明/みんなの党:川田龍平/日本共産党:紙智子/社会民主党:吉田忠智/新党改革:荒井広幸

 まず政治家が法律を立案し、これを衆参法制局や担当省庁の官僚たちが関係する省庁や自治体と調整したりして政策化していくのが、法律のつくり方。  この政策形成化の過程で、官僚の思う通りに政策がつくられていくことを「官僚主導型」といい、官僚のつくった政策案を叩き台にして政治家が思う通りにつくっていくことを「政治主導型」といいます。  官僚はおカネのかかる政策、国の責任 になる政策、省の不利益になる政策については少しでもそのおカネや責任や不利益を減らそうとする傾向があります。これを「骨抜き化」とよびます。  今回の基本法は衆参両院ともに全員一致で可決されましたが、それは基本法だからでした。具体的な政策をつくる段階になると、官僚に同調して少しでも省の不利益を減らそうと考える政治家(族議員)も出てくることでしょう。官僚主導型には、官僚の考え方を支持する政治家の考え方も含まれているということです。  被災者にとってはなによりも大切なこの法律が骨抜き法律にならないよう、これからの政策形成についてしっかり目を光らせていきましょう。

【ここが画期的】放射線量の高い地域にいた人は生涯にわたって健康診断を受けられる。

 今回の基本理念は次の条文によく現われています。 「被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故に係る放射線による外部被ばく及び内部被ばくに伴う被災者の健康上の不安が早期に解消されるよう、最大限の努力がなされるものでなければならない」(第二条の3)  福島県民に限らず、放射線の被ばくを受けた他県の被災者も対象に入るということです。これでやっと国が「被ばくした被災者」に責任を持つと表明されたわけです。次の条文に国の責任が明言されています。 「国は、被災者の定期的な健康診断の実施その他東京電力原子力事故に係る放射線による健康への影響に関する調査について、必要な施策を講ずるものとする。この場合において、少なくとも、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者及びこれに準ずる者に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置が講ぜられるものとする」(第十三条の2)  わかりにくい悪文の見本みたいな文章ですが、なんとか、解読してください。  これまではこの条文で謳われていることを福島県立医科大学に丸投げしていましたから、この条文が可決されたことで、福島の子どもたちの甲状腺検査についても、今後は国が責任を持つことになりました。  これで県立医科大の先生方も少しは肩の荷が軽くなるはずです。甲状腺検査の診断結果について画像や口頭でお母さんに説明できるゆとりができるといいですね。もし、旧態依然だったら、国は「必要な措置を講」じていないことになるので堂々と文句をつけられます。

【ここが画期的】この基本法は「被災者の意見を反映させて法律をつくる」と謳っている。

 さらに今回の基本法には、官僚による骨抜きへの防止策が織り込まれています。 「政府は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」(第五条の3) 「国は、第八条から前条までの施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする」(第十四条)  つまり、「官僚が勝手に決めることは許されない、被災者の意見をきちんと聞いて、それが反映される法律をつくりなさい」ということです。  これは画期的ですね。この基本法案の発議者の一人、川田龍平参議院議員(みんなの党)は、「この法律にいのちを吹きこむのは被災者一人一人です」と強調しています。  意見の届け先はこの基本法にかかわった議員たちのブログの他に、『原発事故子ども・被災者支援法ネットワーク』(事務局・日本弁護士連合会)で受け付けています(下コラム)。  くり返しますが、この支援法で守られるのは福島県在住者に限りません。他県に移動した子、他県で被ばくした子も対象ですから、遠慮なく国に対する要望を発信していきましょう。

  • 森まさこ(参議院議員・自民党・福島県選出)
  • 森まさこ(参議院議員・自民党・福島県選出)
  • 川田龍平(参議院議員・みんなの党・東京都選出)
  • 谷岡郁子(参議院議員・みどりの風・愛知県選出)
  • 金子恵美(参議院議員・民主党・福島県選出)