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「基本法」に託した私の思い:国が責任を持って健康診断を実施することを明記しました。森まさこ(参議院議員・自民党・福島県選出)

「原発事故子ども・被災者支援法」(以下、支援法)は、福島で行なわれている「県民健康管理調査」にも大きな影響を及ぼす法律です。  私は、現在の県民健康管理調査は「遅い」「足りない」「わからない」の3点に尽きると思います。  まず「遅い」については、とくに国の対応が挙げられます。県民健康管理調査に関して明記した法律「福島復興再生特別措置法」ができたのは、震災から1年以上も経った今年の3月30日。しかも、同法の条文には健康診断に関して国が主体となるとは一言も書かれていない。現状は条文のとおりで、国は福島県に丸投げしています。 「足りない」は、県民健康管理調査の体制と内容についてです。甲状腺検査の対象となる子どもは36万人もいるのに、県内の医療機関だけで済まそうとするから医師が足りず、2年半もかかってしまう。全国の医療機関を利用すればもっと早く済ませられるはずです。また、甲状腺だけでなく血液検査などほかの検査もすべきでしょう。  そして、最後の「わからない」ですが、これは情報公開が不十分だということ。お母さんたちは甲状腺検査の結果の画像を見られないし、医師の所見も聞けない。紙1枚で「大丈夫」と言われても安心できるわけがありません。子どもの検査結果について、お母さんたちがいつでも気軽に医師に相談できるような場所を各市町村に一つ以上作るべきなのです。  いずれの問題も、国が責任をもって予算と人を投入すれば解決できることです。原発は国策として進めてきたのですから、その事故で被害を受けた人の救済に国が主体となって取り組むのは当たり前のこと。「支援法」では、第13条2項で、被災者の健康診断について国が一生涯にわたって責任をもって実施することを明記しました。  私はいたずらに不安を煽るつもりはありません。きめ細かい健康診断を行ない、万が一異常が発見されたら最先端の治療を施す。その費用は国が持つ。そういうセーフティネットを用意することが必要であり、そのための法律が「支援法」と言えるのです。

「基本法」に託した私の思い:原発事故と病気の因果関係の立証責任は国にあります。川田龍平(参議院議員・みんなの党・東京都選出)

 私が、原発事故の被害を受けた子どもや妊婦を支援するための法律制定に取り組むきっかけとなったのは、東京大学の児玉龍彦教授の発言でした。昨年7月、衆議院厚生労働委員会で、被災者支援をなかなか進めない国に対して「国会は何をやっているんですか!」と怒りの言葉を発した、あの言葉に触発されて、私はまず党内で勉強会を開き、それから各党にも呼びかけました。社民党の阿部知子衆院議員がいち早く反応してくださり、その後は阿部さんと共に与野党の衆参議員の方々と会い、法案作りを進めました。結果的には、与野党すべての政党が一致して「支援法」を作ることができました。 「支援法」では、被災者の医療費の減免を明記していますが、私が特にこだわったのは、補償対象となる病気やケガについて、それが原発事故の影響かどうかを立証するのは国だという点です。  私は薬害エイズの裁判で国を相手に闘いましたが、原発事故も薬害問題も、国民が正しい情報を知らされずに健康被害を受けるという点ではまったく一緒。これまでの薬害や公害に関する裁判では、事件と病気との因果関係を被害者側が立証しなくてはなりませんでしたが、「支援法」では、立証責任を国側に負わせています。被災者が罹った病気が原発事故と無関係だということを国が証明できなければ、医療費が減免されるのです。  今回成立した法律は「基本法」、いわば骨格であって、今後政府(復興庁)がより具体的な「基本方針」を作ります。この「基本方針」を策定するときには、被災者の意見を反映させることが「基本法」第5条3項に明記されています。だからこそ、ぜひ市民の皆さんからの声がほしいのです。たとえば、いつ、どこの病院に行って、甲状腺検査を申し込んだら、どういう理由で断られたとか、具体的な事実を届けてほしい。  私たち国会議員は法律を具体化する作業を政府や官僚に任せっぱなしにするつもりはありません。「支援法」の提案者が中心となり、超党派の議員連盟を作るなどして、常に中身をチェックしていきます。

「基本法」に託した私の思い:年間1ミリシーベルト以上の地域を支援対象とすべきです。谷岡郁子(参議院議員・みどりの風・愛知県選出)

「支援法」の大きな特徴の一つは、避難するかどうかを決める権利が被災者にあるとしている点です。被災者一人ひとりが居住、移動、帰還について自らの意思で選択することを支援する、つまり「自己決定権」を支えるための法律とも言えます。  実はこのことは、チェルノブイリ原発事故(86年)の被害を受けたウクライナやベラルーシで作られた「チェルノブイリ法」を参考にしています。  この法律はチェルノブイリ原発事故から5年後にできたのですが、放射線量が年間1ミリシーベルトを超える地域は「避難権利区域」となり、その地に残るか、あるいは移住するかの決定権を住民に与えたのです。そして「移住する人、留まる人のどちらも支援する」ことが法律に書かれています。  移住について「自己決定」した結果を、「自己責任」として個人に押しつけるのではないのです。  それに対して日本はどうでしょう。年間放射線量20ミリシーベルトを基準に、「あなた逃げる人、あなた残る人」と線引きしているだけ。共産主義のソ連と比べて、はるかに人権意識のない政治をしているのが現在の日本という国です。そして、与党議員である私自身も「国側の人間」だということに改めて気づき、何とかせねばという思いに駆られたのでした。  今回成立した「支援法」には、支援対象地域は「(放射線量が)一定の基準以上である地域」とあるだけで、年間の放射線量が何ミリシーベルト以上の地域が支援対象になるのか明記しませんでした。  ICRP(国際放射線防護委員会)は、平常時の一般市民の年間被ばく量を1ミリシーベルト以下にすべきだとし、原発事故後については1〜20ミリの間で低い方を選ぶべきだとしています。現在、日本では最も高い数値20ミリシーベルトを避難の基準としていますが、とくに子どもにとって望ましいものではありません。  私は、1ミリシーベルト以上の地域が支援対象になるよう「支援法」を動かしていかなくてはならないと思っています。

「基本法」に託した私の思い:自主避難した方の移動に関する経済的負担を軽減したい。金子恵美(参議院議員・民主党・福島県選出)

 3・11以降、私は福島県外に避難された多くの方たちとお会いし、話をうかがってきました。  避難地域に指定されて故郷を離れた方や、国の基準では避難の必要なしとされている地域から自主的に避難された方など様々です。強制的に避難させられた方はもちろん大変な思いをされていますが、自主避難された方には国からの支援がほとんどありません。この方たちに対して何かできないものかと、ずっと悩んでいました。  今年3月、「福島復興再生特別措置法」が成立しましたが、同法は産業再生を優先させた法律であって、健康を守り、生活を再建する問題についてあまり触れられていません。それに対して「支援法」は、被災者の健康を守り、生活を再建することを第一の目的とした法律と言えます。  自主避難された方たちの多くは、小さいお子さんがいる家族です。放射線への感受性が高い子どもの健康を守るために県外避難を選択したわけです。もちろん、その子たちの健康にどのような影響が出るのか、または出ないのかは現時点では分かりません。でも、分からないのであれば、分からないなかで子どもたちを守っていくための最善のことをすべきです。  自主避難されている方たちの中には母子避難という形をとり、仕事のあるお父さんは福島県内に残っていて、週末にお互いが行ったり来たりするケースが多いですね。当然のことながら移動に関する経済的負担は大きい。車で移動する際にはガソリン代や高速道路料金がばかになりません。 「支援法」には、家族と離れて暮すことになった子どもへの支援が明記されていますので、その部分をうまく活用すれば移動に関する支援ができます。 「たかが移動のこと」と思われる方がいるかもしれませんが、移動の自由を保障することで「いつでも福島に戻れる」という故郷への思いを再認識するきっかけになるのです。除染が進んで安心して戻れる地域もでてきます。いつか戻ってもらうためには故郷との絆を持ち続けてもらうことが重要です。