「推し活」って楽しい!

第1回
「推し活」って楽しい!

最近耳にすることが増えてきた「推し活」という言葉。もともとはお気に入りのアイドル(推し)を応援する活動のことですが、今では夢中になっている趣味を指すことも。日常に元気をもらえるという点では、「生きがい」と同義語かもしれません。

年齢に関係なく推しを持つことは、人生をきっと豊かにしてくれます。近藤サトさんもそんな「推し活」を楽しんでいる一人。第1回目は「キモノ推し」になったきっかけから、その魅力にハマり続ける理由まで、本音で熱く語っていただきました。

キモノ推しになったのは「悔しかった」から

着物にハマったのは仕事がきっかけでした。姿の見えない声の仕事を生業としているので、いざテレビ出演となった時に衣装となる服がないことに気づいて。

そこで「もともと着物好きで何着かは持ってるし、これなら自前で用意できる」と思ったんです。でも局側から言われたのは「着物はハレの場で着るものであって日常的ではないし、アナウンサーという職業的にも着物での出演に違和感がある」と。

ああ、そこから変えないといけないのかとショックでしたね。私はファッションとして、自己表現としてただ着物を選んでいるだけなのに。あの時、着物という文化がいかに廃れたかという現状を突きつけられました。一旦は諦めたものの、「何かちょっと悔しいぞ」と(笑)。本格的に「キモノ推し」となったのは多分それがきっかけです。

「推し活」を進めていくと抜け道が見える

「着物はお金の面で大変そう」とよく言われます。もちろん高価な着物はお手入れも含めてお金が掛かります。でも「推し活」を進めていくと、自然と手を抜くことを覚えるんです(笑)。

「ここは木綿でも浴衣でもいいんじゃない」とか「上物以外は家で洗濯できるものでいいかも」など、抜け道はいくらでもあるということが分かってくるんですね。自分の生活スタイルや予算に合った着物の「推し活」というのは、どんな人でも可能だと思います。

推し活と趣味はどう違うのかというと、私にとっては「推し活」のほうがポジティブなイメージがあるんです。より前のめりな感じというか。だからこそ「推さない推し活」というか、「そんなに気負わなくていいんですよ」と伝えたいです。

着物は自分を高めてくれる存在

着物はかつて日常着であり、今でいうファストファッションのようにお手頃なものもたくさんありました。それが現代の生活にそぐわなくなってどんどん廃れてしまった。

そんな中、淘汰されずに生き残った着物は最終形態で、日本文化の粋を集めたような本当に素晴らしいものばかり。その技術と伝統にはリスペクトしかありません。それゆえなかなか手の出ないものになってしまった面もありますが、だからこそ、着物を着るということは物凄く自分を高めてくれると感じます。

もはや風前の灯火のような、日本の美しい文化を守る担い手の一人なんだという自覚も芽生えましたね。「推し」というよりは「推させていただいている」のかも(笑)。

着物は自分を高めてくれる存在
イラスト/さとうあゆみ

パリで着物を着ていると扱われ方が変わる!?

「着物は海外で評判がいい」と言われますが、あれは本当です。私がパリの街でどれだけ賞賛の声を掛けられたか(笑)。日本文化に興味がある人が多いので、想像以上に注目されますね。

レストランのテーブルにつくと、裾模様が見えないことに気づいてからは、格にこだわらず、上半身でも映えるデザインの着物を選ぶようになりました。畳んで持ち運べるので、実は旅行向きでもあるんですよ。

キャリーケースの車輪で轢いて、足袋を汚してしまうのは失敗あるあるなのですが。着物を着ていると、国内でも何かと気遣われることが増えるので、洋装と比べてこんなに差があるのかと驚きますね。

キモノはすべてが勝負服なんです!

着物は自分に力をくれる、いわば勝負服のようなもの。すべての着物がそうなり得るところが凄いところなんです。特に50代、60代の人にお勧めしたい。

これから「推し活」をスタートしても十分間に合います。たいそうな世界に飛び込むようで怯んでしまうかもしれませんが、そう感じさせてしまう売り方をしてきたことについて、着物業界も反省しています(笑)。でも本当に変化は感じていて、洋服のコーディネイトのように自由に楽しめるようになってきたと思います。

失敗したっていいんです。そこまで他人は自分のことを見ていません(笑)。ただし、見栄を張らないことは大事。嬉しいことに人生経験を重ねた分、手頃な着物を着ていても高見えするのがこの世代。新しいことに挑戦できるだけの経験値を持っているので、恐れることは何もありません。まさに「習うより慣れろ」です。

着物はすべてサトさんの私物。右側に猫の着物を発見!

近藤サト流「キモノ推し」のススメ

今回から「ウェブ通販生活」と私のYouTubeチャンネル「サト読ム。」とのコラボ企画である「近藤サトのキモノ道」がスタートしました。

タイトルにある「道」ですが、それは前にできるのではなく、後ろにできるもの。自分が一歩進まないと道にはなりません。でもその一歩が踏み出せないことも、私はよく知っています。

もしタンスの中に着物が眠っていたら、一度取り出してみてください。それを見て、懐かしいとか、着てみたいとか、きっと気づきがあるはず。それが「推し活」の第一歩。道は自分で作るものです。カジュアルな「キモノ道」を一緒に作っていきましょう。

ウェブ通販生活のYouTubeチャンネルで、
サトさんのオリジナル動画を配信中!!

取材・構成/植田広美、撮影・編集/長久弦(Gee)、撮影協力/日本橋 丸上