第3回
近藤サト着物コレクション【小紋の巻】
YouTubeチャンネル「サト読ム。」では、近藤サトさんの着物コレクションを紹介する動画が毎回人気です。所有する数百枚以上の着物の中から、テーマに合わせてお気に入りをピックアップ。「花Saku」元編集長の大下直子さんの解説とともに、それぞれの特徴から基礎知識まで楽しく学べます。
今回取り上げる着物は「小紋」。サトさんのセンス溢れるセレクトと着こなし方をぜひ参考にしてくださいね。
着物の「格」はTPOだと考えましょう
「着物の“格”がよく分からない」と不安を感じる人は少なくありません。でも、『近藤サトのキモノ道』としては“格”=ガチガチの約束ごとやルールではなく、「着物にもTPOがある」程度に考えます。その方が楽しい気分になりませんか?
着物を身につけたいけど、「いつ・どんな時に・どんな種類」を着れば良いのか悩んでしまう。そんなあなたのために、私流の着分け方をまとめてみました。
サト流・着分け方
第一礼装 | 喪服・留袖 |
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略礼装 | 染め抜き紋の着物・訪問着 |
町着 | 小紋・紬 |
今回は、私がいくつか持っている「小紋」を紹介したいと思います。小紋とは、着分け方でいえば「町着」にあたる着物で、一反に同じ柄を繰り返し染めているのが特徴。縫い目を超えて柄が繋がる訪問着とは違い、より簡単な作業で作られる「カジュアルな着物」とされています。
一般的な「小紋」よりも格上とされるのが「江戸小紋」です。「江戸小紋」は江戸時代の武家の裃(かみしも)がルーツで、型紙を用いて遠目では無地に見えるほど細密な柄を一色で染めたもの。「江戸小紋三役」と呼ばれる柄は、一つ紋付にして略礼装にもなります。「小紋」は日常からセミフォーマルな場面まで着られる、活躍の幅が広い着物だと言えるでしょう。
小紋と江戸小紋の違い
江戸小紋・・・江戸時代の武士の裃から発展。型紙を用いた一色染の着物で、各藩で決まった柄(定め小紋)があった。中でも特に格が高いと言われるのが「江戸小紋三役」。これらの柄に一つ紋を付けることで、色無地と同格の略礼服の扱いになる。
江戸小紋三役
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鮫(さめ)紀州徳川家
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角通し(かどとおし)信濃藩戸田家
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行儀(ぎょうぎ)仙台藩伊達家
小紋・・・江戸小紋に対して「現代小紋」と呼ばれることも。明治時代に生み出された多色染の型染め着物。ワンピース感覚のものからドレス感覚のものまで、お洒落着としてカジュアルな場面で活躍する着物。
お気に入りの小紋を紹介します!
最初に紹介するのは「更紗小紋」。これは母の着物なのですが、日本風にアレンジされた「和更紗」です。少なくとも5〜6枚の型紙を使い、手間が掛かっている一着。もともと八掛の色はオレンジだったのですが、自分好みのグレーに変えて仕立て直しました。
小紋の魅力は日常で気軽に楽しめること
続いては通販生活でもお馴染みの猫づくし! この小紋は地紋も入っているし、キラキラ銀糸もあるし、なかなか凝っているデザインと思いませんか。小紋とはいえ、意外と今風で華やかな着こなしができる一枚。
一見無地に見えるピンクの小紋は大活躍!
3枚目はピンクの可愛らしい小紋です。遠目に見ると無地に見えますが、よく見ると縦横に糸目が入っていて、チェックのような模様が気に入っています。とても便利な一着で、色無地のようでありつつ、仰々しくなりすぎないので、どんな人が集まる会なのかわからず、着物選びが悩ましい時などに重宝します。シワになりにくく軽いので、海外にもよく持って行きます。
ウェブ通販生活の読者のみなさんへ
今日は私の着物コレクションの中から、カジュアルに着られる小紋を紹介しました。小紋といってもその種類は豊富。自分に合うものがきっと見つかります。着物は自由に着こなしてOKだと思っていますが、TPOがあるのも事実。大まかな着分け方を知っておくくだけで安心できます。
着物はそれぞれに物語があり、代々受け継がれたものでも、若い頃に作ったものでも、決して古く見えないのが良いところ。さあ、この秋は小紋を着て好きな場所に出掛けましょう!!
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