第4回
お出かけ時の着崩れ対処法
着物での外出時で気になること。それは「着崩れ」。特に慣れないうちは、着物が乱れていることにすら気づかないことも。そこで今回は近藤サトさんの経験から、着崩れ知らずで1日過ごせるちょっとしたコツを紹介します。これさえ知れば、着物でのお出かけがより安心に楽しめます。
着崩れポイント①「車・タクシー」
立ったまま着付ける着物は、縦横の動きで着崩れてしまいます。屈んだり座ったり、横スライドの動きのある車の乗り降りは、着崩れの大きな原因に。足や頭から乗り込まずに、必ずお尻から入り、できるだけスムーズな動きをすることが大事です。
◉乗る時のコツ
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①後向きになり、お尻から車内へ。
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②シートに座ったら、両足を揃える。
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③車内へ引き上げながら前を向く。
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④奥の席にずれる場合は、足は揃えたまま、お尻から移動させる。
▲悪い例
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足や頭から乗り込む。(車高が十分にある車の場合はOK)
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横スライドでズルズルと奥へ移動する。
裾周りの汚れにも注意!
乗り降りする際、着物の裾周りが車体と擦れて汚れることも。できるだけ足を高めに上げるよう意識しましょう。少し裾をつまんでおくと安心です。とくに雨天では裾をからげるなど、しっかり対策しましょう。
着崩れポイント②「電車やバスの車内」
「着物を着たら腕を肩から上げるな」と言われます。これは隠れている部分を見せない着物の所作でもありますが、実は着崩れを防ぐためにも大事。電車やバスの車内で吊り革を掴むと、どうしても身八つ口が引っ張られて垂れてしまうため、すぐにチェックして整えるようにしましょう。
ここが垂れたままだとだらしない印象にもなってしまいます。また、腕を上げないよう、できるだけポール部分につかまるようにするのも、着崩れ防止に効果的。
◉車内でのコツ
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できるだけポールをつかむ
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身八つ口が乱れたらすぐに整える
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車窓でチェックするのもオススメ
*身八つ口の直し方
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(右手側が垂れた場合)
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①垂れた分だけ「下前部分」を下に引っ張る
②御端折のたわんだ部分を整える
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(左手側が垂れた場合)
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①垂れた分だけ「上前部分」を下に引っ張る
②御端折のたわんだ部分を整える
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着崩れポイント③「歩き方」
着物は、立ち姿が美しく見えるよう、身体の内側に巻くように、少し裾すぼまりで着付けます。そのため、着崩れしない歩き方の基本は「内股」になります。着付けの流れのように少し内側に歩くことで、裾が乱れにくくなります。また、膝をあまり曲げずに歩くのもコツ。上半身を動かさず、腰だけで歩くイメージが大切です。たくさん歩くと分かっている日の着付けは、裾を絞り過ぎず、前幅を広く取ることも大事です。
◉歩き方のコツ
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内股で歩く
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上半身を動かさず、腰で歩く
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裾を絞り過ぎない(下前を上げ過ぎない)
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前幅を広く取る
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(良い例)
着付けに逆らわず、内向きに小股で歩く。 -
(良い例)
上半身を動かさず、腰から下を移動させるイメージで。 -
(悪い例)
洋服感覚で手を振って大股で歩く。 -
(悪い例)
外股は歩きにくいうえ、着崩れの原因に。
着崩れポイント④「トイレ」
最後は、初心者・ベテラン共に着崩れの不安を感じるのが「トイレ」です。身動きも取りづらいような空間で、汚れなど気になる点もたくさんありますが、とにかく大事なのは、思い切りです(笑)。
着物と長襦袢の前を割り、お尻の上まで思い切りたくし上げましょう。中途半端に上げるとその上に座ることとなり、シワや着崩れの原因になります。また、帯の垂れが上がったまま外に出てしまうという失敗も多いので、帯にも触れて確認し、形もしっかり整えましょう。
◉トイレでのコツ
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長襦袢と着物の前を割ってつかみ、お尻の上までたくし上げる
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長襦袢から丁寧に下ろして着付けを整え
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帯の垂れが上がったままにならないよう確認する
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着物と長襦袢の裾を割り、両手でつかみます(撮影上、着物だけで説明)。
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帯が隠れるくらい、思い切り腰の上までまくり上げます。
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座った時にお尻の下に敷かないように。
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帯の垂れが上がったままになりがちなので、しっかり下ろして整える。
通販生活WEB読者の皆さまへ
秋本番を迎え、着物が着やすい気候となりました。今回ご紹介した着崩れ対処法をぜひ活用してみてください。基本は上半身を動かさないこと。姿勢を正し、胸を面としてキープすることを意識するだけで、着崩れはぐっと減ります。
一番目につくのは、胸まわり、身八つ口の乱れなので、ここを整えることで印象も変わります。ほんのちょっとの気使いで着崩れを防げれば、1日楽しく着物ライフを楽しめます。それではお気に入りの着物を着て、安心して出かけましょう!
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