第10回
「きもの鹿鳴館パーティに潜入!」の巻

アンティーク振袖やドレスを身に纏って楽しむ大人の社交場『きもの鹿鳴館倶楽部』。着物業界も注目する人気サロンです。そのパーティが東京・千代田区の九段会館で開催され、近藤サトさんが参加しました。

主催者である須藤紀子代表理事は、150着以上のアンティーク振袖を所有していて、レンタルすることができます。その独特な魅力と参加者の皆さんの華やかな姿を紹介します。

イラスト/さとうあゆみ
鹿鳴館時代を思わせる舞踏会を体験できます。

一般社団法人『きもの鹿鳴館倶楽部』

「大人が本気で楽しめる社交場、現代の鹿鳴館を作りたかった」という主催者の須藤紀子さん。2015年からスタートして以来、毎年全国各地でイベントを開催。須藤さん私物のアンティーク着物やドレスがレンタルでき、ヘアセット付きで参加できます。当時の絢爛豪華な雰囲気が心置きなく楽しめる場として人気です。集まった収益の一部を全国の養護施設へ遊具などで寄付しています。

着ていた人に思いを馳せるのも楽しみ

振袖を着るだけでワクワクするという皆さん。
サト鹿鳴館倶楽部のパーティには初めての参加とのことですが、アンティーク振袖を着てみた感想はいかがですか?
参加者1アンティークは生地が古くてとてもデリケートなので、暴れないように気をつけています(笑)。「この着物はどんな人が誂えたのかな」と空想してみるのも楽しいです。
サトまさにアンティークの魅力。ロマンがありますよね。
参加者2実際に着てみたら、凄くテンションが上がりました。振袖を着たのは20歳の成人式以来です(笑)。
サトそのまま成人式の列に並んでも全く違和感ないです!(笑)
参加者3普段はメイクもしないのですが、ここでは着付けからヘアセットまでお任せして綺麗にしてもらえます。普段とは違う自分になれるのが嬉しいです。

日常を離れて弾けることでストレス解消!

迫力満点!華やかな黒振袖の着こなし。
サト鹿鳴館倶楽部の楽しさとはどんなところですか?
参加者4日常を離れて弾けられるというか、ストレス解消になるところでしょうか。
参加者5私は78歳になるのですが、この年齢で振袖を着られるというのがとっても幸せです。

夫婦で楽しめるのも鹿鳴館の魅力

結婚40周年の記念にご夫婦で参加。

サト鹿鳴館倶楽部にご夫婦で参加されたきっかけは?

参加者6コロナ禍の頃、須藤さんが勤務先の学校へマスクを寄付してくれました。鹿鳴館パーティもチャリティになるということで、その活動にとても共感しました。今回は主人も巻き込んで参加させていただいています。

イギリスでも着物は大人気です!

夫婦円満を願って「鶴」の着物をチョイス。

参加者7ロンドンの「チェルシー・フラワー・ショー」に出展された石原和幸さんの庭園で、アーティストをしている娘の作品が展示されたんですね。その時にこちらのアンティーク振袖を着る機会をいただきまして。娘のほか、応援団として15名ほどが黒振袖を着たのですが、現地の方からはスター扱いで、写真を撮らせてと何度も言われました。

アンティーク振袖を着られる喜び

大胆な振袖をモダンに着こなす。
ドレス感覚で洋装の小物やブーツを合わせて。

サトアンティーク着物は見ることはあっても、着る機会はなかなかないですよね。

参加者8そうなんです。「アンティークに袖を通せるなんてありえない!」と思っていました。こちらの鹿鳴館パーティではたくさん用意してくださるので、毎回喜び勇んで参加しています(笑)。

サトこちらは、一際華やかな赤い振袖ですね。

参加者8ヘッドドレスも自前で、普段からこんな着こなしで楽しんでいます。

サト帯は巻いただけで、帯締めは透明なベルト! ブーツを合わせるのもモダンで素敵です。

参加者9私もアンティーク着物が大好きなのですが、振袖は鹿鳴館パーティでしか着られないので、振袖を着たいがために参加してます。やはり、年齢的に地味な着こなしが多くなるので、こちらではフリフリしたいなと思って(笑)。

自分で和髪を結って本格的に楽しむ

「自分結い 大江戸和髪学会」の会員の皆さん。

サト皆さん、ご自身で和髪を結うのですか?

参加者10はい、約20分くらいで仕上げます。飾りも手鏡を使って自分でつけます。和髪の楽しみができた時に、紀子さんにお会いしていろんなことを教えていただきました。

サトこちらに、参加女性で最高齢の方がいらっしゃるのですが、その若々しさの秘訣は何でしょう?

参加者11今日は娘になった気持ちで楽しいです(笑)。秘訣は楽しいことをたくさんすることですね。

男性参加者の正装もお見事。貴重な宮廷服に勲章、和服など、圧倒的な存在感。

年齢にこだわらず振袖を楽しんでほしい

鹿鳴館倶楽部・代表理事の須藤紀子さん。

サト主催者として考える『鹿鳴館倶楽部』の意義は何ですか?

須藤さん今日のパーティを見ていただいて分かるように、皆さん年齢層が高いんですね(笑)。でも振袖を着て袖をフリフリして、ドレスをふわふわして、すごく楽しまれています。そんなふうに多くの人を喜ばせるのが私の使命だと思って、全国で開催しています。今後は成り行き任せで楽しいことをやり続けたいと思います。

通販生活読者の皆さんへ

「アンティークの着物が好き」という方、実は凄く多いです。以前、私のYouTubeチャンネル『サト読ム。』で、須藤さんの着物コレクションを紹介した回も大きな反響がありました。昔の技術は途絶えてしまって同じものが再現できない。そこにロマンを感じる人が多いのだと思います。

ただ、アンティークというのは基本的に見るもの。それが実際に着ることができるというのは『鹿鳴館倶楽部』の大きな魅力だと思います。アンティーク振袖は色柄が控えめで生地も軽いので、年齢に関わらず着こなせます。少なくとも私は違和感がありません(笑)。

「振袖を着るのは成人式だけ」なんてもったいない! ぜひ皆さんもどんどん着て、キモノの推し活を楽しみましょう!!

きもの鹿鳴館倶楽部のパーティの模様は
こちらの動画でご覧ください!!

企画・構成/中野充浩(ワイルドフラワーズ)、取材・文/植田広美、撮影・編集/Gee(長久弦、小林淳一)