若い女性の旦那という言葉が耳障り
このごろ耳障りと思うのは、「
(福岡県・M・T・64歳)
うちでは「ダーリン」と呼んでもらってます(うそです)。ダンナというのは、もともとサンスクリット語で「お布施」を意味し、そこから転じて檀家や目上の者もいうようになり、それが中国経由で日本に渡ってきたもののようです。
インドはカースト制度がきびしい国です。そこで使用人が、カーストが上の雇用主に対して「ご主人様」という、これが「ダンナ」です。それを考えると、たしかにあまりいい呼び方ではないようです。
このコーナーにたくさんのハガキをもらいますが、よく迷うことがあります。「うちの主人が○○で」という表現が多い(ダンナは今のところあまりありません)。これに対応するのに、僕としては「おたくのご主人は」という呼び方は避けたいのです。「ご主人」に対して、不快感を覚える女性がたくさんいるからです。たしかに夫が男だというだけで主人。なら女の人の立場はどうなるんだ、ということですね。「奥さま」「奥さん」は内閉させられている感じで、「女房」と同じく一世紀前の男尊女卑の気配がうかがえます。
いろいろ考えたのですが、どうにも今の時代にぴったりくる言葉がない。かろうじて使えるのは昔の言葉でいえば、「妻君」(細君ではなくて)「ご夫君」くらいでしょうか。
最近の言葉でいうなら、「連れ合い」という表現もなかなかよくできていると思います。とりあえず、ハガキの内容は別にして、回答する僕の側としては「ご主人」「ダンナ」「奥さま」のたぐいの言葉は極力使わないようにしています。あんまり娘さんがダンナ、ダンナというようなら、「おまえは
中島らも『明るい悩み相談室』シリーズ(朝日文庫)より転載 イラスト/死後くん
この頃からすでにらもさんは、ご夫婦の呼び名に大変気を遣っていて感激です。相談者は「主人」と言う表現に慣れている人みたいですよね。私は「主人」、イヤですねえ。妻は「お仕えする人」ってことですもん。結婚相手がヒモばっかりだったので、余計に神経を逆なでされます。セールス電話の人とかが「奥さまでいらっしゃいますか」と言ったら「違います」と言って切ることにしてます。そんな人と話すことは何もないんじゃワレと。