相談3

男性を女性の目で
見てしまう僕

 僕は恥ずかしながら少女マンガが大好きなんです。そのせいか最近男の人を女性の立場から見てしまうんです。電車の中でアベックを見ると「あんな彼といっしょだと楽しいだろうな」とか「僕だったらあんな男とは絶対つき合わない」とかいうふうに、女性よりまず男性に目がいってしまうんです。こんなことでは友だちとエッチな話になるたびに顔を赤らめてしまいます。らもさん、僕にはおかまの気があるんでしょうか。

(奈良・乙女チックな男・16歳)

らもさんの回答

「おかまの気があるんでしょうか」とたずねられると「あるんじゃないでしょうか」と答えるしかありません。

 少年雑誌の悩み相談を見ていると、よくこういう質問を見受けます。質問者のほうはだれも真剣に悩んでいるようです。回答のパターンはほぼ決まっていて「思春期の前後には性が未分化の状態のままなので、同性に対しても思いを抱くのはよくあることです。大人になるにしたがって、ちゃんと異性を愛せるようになります。くよくよ思い悩まずに、スポーツなどで妄想を吹き飛ばしましょう」といった調子がほとんどです。

 他人事ひとごとだと思ってよくこんないい加減なことを言うもんだ、と思って僕はいつも見ています。「大人になるにしたがって」なおるものなら、現実にたくさんあふれ返っている同性愛の人たちは何なのでしょうか。我々は幻覚を見ているのでしょうか。「スポーツなどで吹っ飛ぶ」ものなら、運動部に入ったために、先輩を恋して目覚めてしまった人の立場はどうなるのでしょうか。

 同性愛は不自然だとか隠花植物だとかいう差別のされ方をよくされますが、有史以前からの存在を示す古代文明の資料や、戦国時代の「衆道しゅどう」の公然ぶりなどを見ると、自然の摂理に反したものだとは思えません。都会部に多いことなどを考えると、ある程度以上の密度になると同性愛にスイッチする個体数が増えて人口の調節をはかる、そういう本能的にだれもが潜在させている機能なのかもしれません。

 無理をして自分は異性が好きなのだ、と自己暗示をかけて、あげくの果てに偽装結婚をして相手まで不幸にする必要はどこにもありません。すてきな彼をみつけてください。

中島らも『明るい悩み相談室』シリーズ(朝日文庫)より転載 イラスト/死後くん

喰始さんより

らもさんの歌に「いいんだぜ」というのがあります。テレビ、ラジオでは絶対に流さない放送禁止用語を連発して、差別問題に対して鋭く切り込んでいます。

 僕自身も、放送禁止用語を題材にした作品を作って、問題にされたことがあります。「いいんだぜ」にはLGBT問題も出てきます。自分のセクシャリティで悩んでいる人は、ぜひ聞いて下さい。悩みが吹飛びます。