天井裏の危険物の
処分法は?
私と主人は結婚以来二年、心配でたまらないことがあります。私たちの結婚式に使おうと思って買いこんだ百五十発のクラッカーが式場で使用禁止だったため、未使用のまま天井裏にしまわれているのです。式の終わったあと、とりあえず新居に持ってきたものの、あらごみに出すわけにもいかず、うさ晴らしに全部鳴らすことも団地ゆえ許されず、放置しています。主人は火薬類取締法違反で捕まるのではと心配しているのですが、どうしたらよいでしょうか。
(神戸市・ミホ・27歳)
僕にください。
と言うと話が終わってしまうので辞退させてもらいますが、何も別に困ることはないでしょう。一度に鳴らさなくても少しずつ使っていけばいいのです。
もし、ご主人が寝坊するタイプの人なら目覚ましのかわりに使います。多少心臓にはよくないでしょうが、横でパーンと鳴らせば一発で飛び起きます。
出勤のときも、昔風に火打ち石を鳴らすかわりに使って景気よく送ってあげましょう。
帰宅のときもチャイムがわりにすれば、すぐにご主人だとわかります。変なセールスマンにドアを開けなくてもすむわけです。
一番いいのは、双方ともに、オナラをするときに使うという方法です。
この欄への投書で一番多いのがオナラに関する話で、夫が、妻が、お父さんが、お母さんが、やたらに連発して困るというものです。
よく咳ばらいでごまかそうとして失敗することがありますね。
「ゴホン」という咳よりも、
出る瞬間にパーンと鳴らすわけです。もちろん、鳴らせばオナラをした証拠になってしまうわけですが、そこは「親しきなかにも礼儀あり」「気は心」です。
ただ、くれぐれも「引火」にだけは気をつけてくださいね。
中島らも『明るい悩み相談室』シリーズ(朝日文庫)より転載 イラスト/死後くん
天井裏の未使用のクラッカー。「目覚まし」「火打ち石」「チャイムがわり」と、大喜利のように次々出てきてさすがです。一番いいのは「オナラをするとき」!しかもこの欄への投書で一番多いのがオナラ絡みの相談というのに驚きです。以前、元ギャルの女性に男性と長続きするコツは「体から発する音を一切聞かせない」と聞いたことがありました。でも、クラッカーでオナラの音をかき消して笑える夫婦なら、さらに円満です。オナラを我慢するより体にも良さそうで、理にかなった名答でした。