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しんぐるまざあず・ふぉーらむ 前編

第3回 前編 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

「真冬にDVの夫から逃げ出して、
薄いニット姿でお子さんの洋服を
取りに来られるママもいます」

赤石千衣子さん
NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長(東京都千代田区)

当事者としてシングルマザーと子どもの支援活動をつづける。厚生労働省の社会保障審議会・児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会参加人。

「シングルマザーの支援が必要だと言うけど、好きで離婚したんでしょ。子どものためにガマンすればよかったのに」
――2人に1人が貧困と言われるひとり親世帯のお母さんたちを追い込んでいるのが、こういった世の中の偏見です。
無言の批判を敏感に感じ取り、誰にも頼れずにギリギリの生活をつづけ、パンク寸前になったお母さんたちのか細いSOSに手を差し伸べているのが、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」です。 理事長の赤石千衣子さんに、いま増えているシングルマザーの貧困支援についてお話しいただきました。
取材・文=丸山裕子(通販生活編集部)

1980年に当事者たちが中心となって、この「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」を立ち上げました。 お母さんたちの交流会やキャリア支援プログラム、シングル家庭の子どもたちの教育支援に力を入れてきましたが、ここ数年、「子どもに食べさせるお米がない」「家賃が払えない」といった緊急のご相談が増えてきています。

ご存知の通り、日本の子どもの貧困率は先進国でも深刻で、13.9%、およそ7人に1人ですが、ひとり親にかぎるとさらに深刻で50.8%、2人に1人にのぼります。※厚生労働省『2016年国民生活基礎調査』

ひとり親の8割は母子世帯ですから、シングルマザーが置かれている厳しい状況がおわかりいただけると思います。

一方、日本のシングルマザーの就労率は世界トップクラスで、81.8%にのぼります。※厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯調査』
「働いていても、なお貧困」という世界でも稀な状態に陥っているのは、正規の仕事になかなかつけないからです。 じつに43.8%ものお母さんたちがパートやアルバイトで、その地域の最低賃金ギリギリの時給700~900円代で働いています。 小さい子どもはしょっちゅう熱を出しますから、仕事に出られない日があるとお給料は減ってしまいます。

12~13万円にも満たない月収が2~3万円ごっそり減り、食卓からおかずが消えてごはんとお味噌汁とふりかけだけの日が続き、児童扶養手当が支給される前の月末にはお米まで底をついてしまう。 私たちのもとにSOSの電話がくるのは、そんなギリギリの状態であることが多いのです。

昨年度はフードバンクさんにご協力していただいて、食料支援の要請が増加する7月に、先んじて緊急の食料支援ボックスを200箱お送りすることにしたのですが、希望者が殺到してしまい、半分近くのご家庭にお送りすることができませんでした。

本年度は抽選でもれてしまうご家庭がないように、フードバンクさんからの提供品にカンパで購入した食品を加えて、一人でも多くお母さんたちへお送りしたいと思っています。

お菓子を一緒に詰める

緊急のお米を送るときにも、必ず子どもたちがよろこぶお菓子を一緒に詰める。

生活保護世帯のシングルマザーの7割はDVを受けた経験がある。

離婚したお母さんたちはよく「自己責任」という言葉をぶつけられますが、好き嫌いの問題だけで別れる人はめったにいません。「暴力をふるう」「精神的に虐待する」「生活費を渡さない」「酒を飲み過ぎる」、そして何より、子どもたちがそんな父親の姿を見て育ってしまうのをおそれて、離婚に踏み切るお母さんが多いのです。

それでもお母さんたちは「離婚を決めたのは自分だ」「子どもに不自由はさせられない」と、しゃにむに頑張ります。子どもの面倒を見ながらパートの仕事を2つ、3つと掛け持ちして、必死で綱渡りをしつづける。やっとのことで学費を貯めてお子さんが高校に上がる頃には、うつ病で働けなくなる方もいらっしゃいます。

とくに離婚原因が夫のDV(配偶者暴力)の場合は、新生活を始めるまでにエネルギーの大半を使い果たしてしまう人が多いのです。だいたいの方は「家からバスに乗ったのか、タクシーだったのかも覚えていない」とおっしゃるほど必死で逃げて、生活場所が定まったあとはドーッと落ち込まれます。

これが尾を引いてしまうと自力ではなかなか働けません。生活保護世帯のお母さんの7割がDVの経験があり、3割がうつ状態という統計もあります。※厚生労働省2009年発表『一般母子世帯及び非保護母子世帯の生活実態について』

私たちの元へも、「生活道具が足りなくて困っている」というご相談が月に1~2件はあります。 大慌てで家を出てこられたんでしょう、まだ1、2歳のお子さんをおんぶして、真冬だというのに風がスースー抜けるようなコットンのニット姿で「いただけるものはありませんか?」と訪ねてこられたお母さんもいました。 そのときは、たまたま事務所にお古の子ども服や洋服があったので、お好きなものを自由に選んでいただいたのですが、両手に持ちきれないほど持って帰られました。

ストックされた食料品や子供用品

事務所の棚には、SOSにすぐ対応できるよう食料品や子供服がストックされている。

「夫が逮捕されたから、この隙に子どもと逃げたい」というご相談もありますし、妊娠8ヵ月の女性から「パートナーが仕事をサボって逃げ、会社の寮を追い出されたので助けてほしい」とネットカフェから緊急のメールをもらったこともあります。

DV被害のご相談が来た時には、まずご自身とお子さんの安全をどう守るか計画を立てて、いつでも逃げられる準備をしておきましょうとお伝えしています。 逃げるためにはお金も必要ですが、実際には準備ができないまま安全を優先して逃げる方も少なくありません。 自治体のシェルターで保護してもらえるのはだいたい2週間ほどですので、シェルターを出たあとで生活に困る方も多いのです。

生活保護を受けるにしても、たとえば保険類はすべて解約しないと申請できませんが、夫が保険の解約に応じないため申請に数ヵ月かかることもあります。 また、妹夫婦や義理の両親など配偶者以外の同居家族の暴力から逃れた方や、すでに離婚が成立している元夫からストーカー被害を受けている方ですと、DV被害には該当しないため、自治体の支援が届かないこともあります。 こういった公的な支援が届かない方のお手伝いも柔軟にできるのが私たちの強みだと思っています。

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活動を応援したい方は、ぜひ下記へ
ご支援をお寄せください。

NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2-28 日下ビル4F
電話03-3263-1519 (平日13:00~17:00)
http://www.single-mama.com/

郵便振替口座

口座番号:00170-4-152781
口座名義:NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ

※振替用紙に「キフ」とお書きください
銀行口座

三菱UFJ銀行
高田馬場駅前支店
普通 4536336
特定非営利活動法人しんぐるまざぁずふぉーらむ

※振込人名の頭に「キフ」とつけてください
※お振込後、ご住所、連絡先をファックスかeメールでご連絡ください。
支援金300万円の内訳

母子家庭・緊急食料ボックス
100万円

DV避難・困窮母子 新生活
スタートボックス 200万円

フードバンクからの提供品が足りない場合、一世帯あたり5000円の食料購入費が年間でおよそ200世帯分必要となる。
また、DV避難の母子世帯から子どもの制服や学用品、家電などの要請があったときには、一世帯あたり5~10万円の購入費が必要。昨年の実績でいうと、年間でおよそ20件ほど相談がある。

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