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しんぐるまざあず・ふぉーらむ 後編

第3回 後編 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

「ママたちには、『困ったときに助けてと
言えるのが本当に強いお母さんなんだよ』
とお伝えしています」

赤石千衣子さん
NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長(東京都千代田区)

当事者としてシングルマザーと子どもの支援活動をつづける。厚生労働省の社会保障審議会・児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会参加人。

「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の核となっている活動は、年間400~500件寄せられる困りごと相談や、会員のお母さんたちに届けているメールマガジンです。 この電話やメールでかろうじてつながっている細い糸を、緊急の食料支援が強く結びつけてくれることがあるそうです。糸の先につながっているシングルマザーのご家庭を、理事長の赤石千衣子さんとともに訪ねました。
取材・文=丸山裕子(通販生活編集部)

おじゃましたのは、関東地方の公営住宅に住んでいる佐藤絵美さん(仮名・29歳)のお宅。お約束をした夜7時にうかがうと、息子の蓮くん(仮名・4歳)と娘の葵ちゃん(仮名・2歳)が夕飯を食べている真っ最中でした。

ごはんを食べながら「おかしー、おかしー!」と連呼する蓮くんを絵美さんが「スープの野菜を食べないとダメだよ」と制すると、隣の葵ちゃんが「どうじょー」と自分のスープを赤石さんへ差し出してにっこり。絵美さんが吹き出しました。

「しんぐるまざあず・ふぉーらむから段ボールが届いたので、中にお菓子が入っていたら今日のおやつにしていいよって、ママが言ったんだよねぇ」
お米も入れました、と赤石さんが声をかけると、絵美さんが「うわーっ、ありがとうございます」と笑顔になりました。

「いま携帯会社が月替わりで『毎週これがもらえます』っていう特典サービスをやってるじゃないですか。先月は牛丼だったので、すっごく助かってました。 ウチはまだ2人とも小さいから、並1杯で親子3人の夕飯が足りちゃう。金曜日は仕事で疲れているから、ご飯をつくらないで済むのも助かるし。今月から特典がアイスになっちゃって、ガッカリ(笑)」

ごはんを慌ててかきこんでごちそうさまをした蓮くんに、絵美さんから「箱、開けていいよ」とお許しが。葵ちゃんも加わって2人がかりで段ボールを開けます。

喜ぶ家族

夕飯も終わり、いよいよ箱を開けるときが。

喜ぶ家族

お菓子とジュースを見つけて踊り出す蓮くん。

「おかしだーっ!わーーっ、ジュース!これがいいい、りんご!りんご!りんごーっ!」

お菓子とジュースを手にダンスをする蓮くんの姿に、絵美さんも赤石さんも大笑いです。

「いつもこんな感じだよねぇ、蓮。何が入っているかママも見たいな」

絵美さんのリクエストに、箱に入っている食品を蓮くんが一つずつ取り出して床に並べていきます。

乾麺うどん、食用油、電子レンジで調理できるレトルトのカレーや牛丼、缶詰のパン、ジャム、クッキー、おせんべい……10kgのお米も蓮くんが果敢にひっぱり出しました。

今回、絵美さんに届いた食品の多くは、企業やフードバンクからの寄付をストックしておいたものです。 赤石さんたちは箱づめするときに、お米やうどんなど調理が必要な食品だけでなく、仕事で疲れたときに間に合わせで食べられるレトルト食品や、お母さんがひと息つけるようにお茶やコーヒーを必ず入れるようにしているそうです。

ママから今日は特別にソファでジュースを飲んでいいよと許可された蓮くん。こぼさないように慎重に移動し、200ml缶のりんごジュースをじっくり味わうように時間をかけて飲みます。

「ジュースなんて久しく買ってないもんね。2月までは暖房費で家計が圧迫されちゃって。収入は変わらないどころか子どもが風邪を引いて熱を出して休んだりするから、翌月のお給料の明細を見るのがこわい(笑)。

よく、一人で育てるのはたいへんでしょ?って聞かれますけど、子育てはすっごく楽しいんです。でも、お金がないよねえ……」

開けてもらった雛あられを手にニコニコしている葵ちゃんに、絵美さんが笑いながらつぶやきました。

喜ぶ家族

ジュースをみつけてにっこりの葵ちゃん。
「あーちゃん、2本持ってる!」と蓮くん。

喜ぶ家族

ジュースを口に少しずつ含ませ
てゆっくりと味わう蓮くん。

シングルマザーの生活は、引っ張られっぱなしのゴムのよう。

絵美さんは、離婚した直後に妊娠が発覚。その後、2人のお子さんのシングルマザーになりました。子どものために元夫との関係を修復しようとしたこともあったそうですが、貯めた出産費用を持ち逃げされ、復縁は諦めたそうです。

元夫とは音信不通で養育費の支払いはいっさいありません。親御さんからは産むことを反対されて、「迷惑は掛けない」と約束しての出産だったため、金銭的な援助はもちろん、お子さんを預けて働くこともできないとおっしゃいます。

「いちばん絶望したのは、保育園に落ちたときです。それまで仕事をしていなかったシングルマザーって、仕事を持っている共働きの夫婦よりも保育園に入るための加点が少ないんです。 保育園に入れなければ仕事を探せない、働けなければ収入もない。『保育園に落ちた、日本死ね』じゃなくて、『保育園に落ちた、シングルマザー死ね』って言われたような気持ちでした」

やむを得ず生活保護を申請し、食費を切りつめて月5万円の認証保育園に入れ、職を探したものの、面接や研修のたびにお子さんが熱を出して休む羽目になる。企業の採用係から「本気で働こうと思ってないでしょ?」と言われたこともあったそうです。

絵美さんがパートの仕事に就けたのは、2人のお子さんが認可保育園に入れた昨年の4月。これを機に、自ら生活保護を切りました。

「正直、生活保護をもらっていたときよりも生活は苦しいです。でも、生活保護には戻りたくありません。自分の力で子どもを育てたいし、生活保護を申請するには貯金をゼロにしきゃいけないじゃないですか。 いま、ホントに数万円ずつですけど、節約を重ねてこの子たちの名義でつくった口座に学費を貯金しているので、そのお金は手放したくないんです。子どもたちの将来を諦めるみたいだから……。なんとか踏ん張って、少しでも収入のいい仕事を見つけないと」

赤石さんは、シングルマザーの気力と体力を「ずっと引っ張られているゴムのような状態」とおっしゃいます。

「ゴムが伸びきったらどうなるのでしょう。もうがんばれないギリギリまで来ているお母さんたちに、『困っていたら助けてって言っていいんだよ』と呼びかけ続けることが私たちの役目だと思っています。 一度の電話相談だけでは本音を打ち明けてくださるお母さんは少ないですが、食料支援でつながりつづけることで、本当に困ったときに相談してもらえることがある。この食支援の段ボールは『困っていたらいつでも言ってね』という私たちのメッセージでもあるんです」

活動を応援したい方は、ぜひ下記へ
ご支援をお寄せください。

NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2-28 日下ビル4F
電話03-3263-1519 (平日13:00~17:00)
http://www.single-mama.com/

郵便振替口座

口座番号:00170-4-152781
口座名義:NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ

※振替用紙に「キフ」とお書きください
銀行口座

三菱UFJ銀行
高田馬場駅前支店
普通 4536336
特定非営利活動法人しんぐるまざぁずふぉーらむ

※振込人名の頭に「キフ」とつけてください
※お振込後、ご住所、連絡先をファックスかeメールでご連絡ください。
支援金300万円の内訳

母子家庭・緊急食料ボックス
100万円

DV避難・困窮母子 新生活
スタートボックス 200万円

フードバンクからの提供品が足りない場合、一世帯あたり5000円の食料購入費が年間でおよそ200世帯分必要となる。
また、DV避難の母子世帯から子どもの制服や学用品、家電などの要請があったときには、一世帯あたり5~10万円の購入費が必要。昨年の実績でいうと、年間でおよそ20件ほど相談がある。

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