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第7回 前編 CPAO(しーぱお)

「子どもの貧困は親の貧困。
親まで丸ごとのサポートが必要です」

徳丸ゆき子さん
NPO法人「CPAO(しーぱお)」理事長(大阪府大阪市)

2012年、10年間勤めていた公益財団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」を退職。13年5月に子ども支援関係者らと「CPAO」を立ち上げ、16年にNPO法人化した。12歳の息子を持つシングルマザー。

シングルマザーは正規雇用の仕事に就きづらい。母子家庭は貧困状態におちいりやすいのが現実です。
シングルマザーの平均収入は年間で243万円。シングルファーザーの420万円とくらべても6割にもなりません。※厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯調査』
5年前のあるいたましい事件をきっかけにCPAO(しーぱお)を立ち上げ、子どもの貧困に対して親ごとサポートするユニークな活動を続けている徳丸ゆき子さんにお話を伺いました。
取材・文=横山健(通販生活編集部)

2013年5月24日、大阪市北区のマンションの一室で、23歳のシングルマザーと3歳の男の子の遺体が見つかった事件をおぼえているでしょうか。

部屋に食べ物はなく、「お腹いっぱい食べさせてあげられなくてごめんね」というメモが残されていました。

この事件にショックを受けて、翌25日、子ども支援関係者とともにCPAO(しーぱお)を立ち上げました。

実はあの事件の1年前、本格的に子どもの貧困に取り組みたくて勤めていたNGOを辞め、何をしようかとずっと模索していたんです。

人に話を聞いたり、調べたりしている最中に、こんな事件が起きてしまった。わたし自身シングルマザーだということもあり、もう動かずにはいられませんでした。

本当に困っている人は、待っていても来てくれません。相談をする人がまわりにいない、孤立されている方が多い。どこへ、どうSOSの声を上げるのかわからないから、本当に困ってしまうのです。

そこで最初にはじめたのは、「『助けて!』って言ってもええねんで」というメッセージと連絡先が入ったビラをつくり、事件の母子が見つかったマンションにほど近い天神橋筋商店街で配ることでした。

子どもの貧困は家庭の貧困。子どもだけでなく、家族を丸ごとサポートしないと、この問題は解決しないと思ったのです。

最初の活動で配ったビラ

最初の活動で配ったビラ。女性に手に取ってもらえるようシュシュと一緒に配った。

この活動は新聞やテレビなど、たくさんのメディアが取り上げてくださいました。その中のひとつ、NHK「あさイチ」の放映を見たしほりさん(仮名)という25歳のシングルマザーが、すぐにメールをくれました。

番組の中でわたしが言った「子どもだけじゃなく、親も丸ごとサポートする必要がある」という言葉を信じて連絡をくれたそうです。

お会いすると、しほりさんはごく普通の若い女性に見えました。ただ、淡々と話す半生はまったく普通ではありませんでした。

母親は5歳で亡くなり、心身ともに疾患を抱えていた父親からは暴力を受け、育児放棄もされたので、おじの家に預けられる。ところが、おじからも暴力を受けてしまう。

18歳で恋人ができて20歳で妊娠、出産した後に相手が妻子持ちだとわかる。借金をさせられ、暴力も受けるようになったので、子どもを連れて役所へ相談に行ったもののシェルターに入れず、サポートも受けられない。

しかたなく父親の家に戻ったけれど、子どもの目の前で父親に包丁で切りつけられたこともあり家を出た。お金も子どもを預けるところもなく、頼る人もいない。ハローワークに行っても、仕事を見つけるのは簡単ではない。

切羽詰まってついた仕事がデリヘルだった。事務所に子どもを預けて、客の待つ場所へ行く……そんなことを続けて精神が不安定になった。

精神的にまいってくると、小さいころのトラウマがフラッシュバックで出てきて、破壊衝動におそわれ、大量服薬するようになる。

大量服薬をすると、泡を吹いて気絶してしまう。でも、そうしないと苦しくて止められない。自分が気絶したときの子どもが心配だ。どうすればいいのだろうか?

活動をはじめてすぐでしたし、当時のわたしには重すぎる相談だったと思います。けれど、とっさに「何かあったときは、必ず連絡して」と言っていました。

大量服薬したときに自分で電話をくれたり、しほりさんの意識がなくなって4歳のお子さんから電話がかかったりすれば夜中でも駆けつけ、必要であれば病院へ緊急搬送する。わたしが行けないときには、信頼できる子ども支援関係の仲間に頼んでかわりに行ってもらいました。

その後、しほりさんと相談したうえで生活保護を受けてもらい、経済的には安定して一段落しました。

ただ、しほりさんと子どもにとって、その状態は根本的な問題の解決とならず、いまも大量服薬が続いていたりします。

シングルマザー100人に聞いてわかったこと。

実際に、シングルマザーにはどんなサポートが必要で、困っていることは何なのか?

「家族丸ごとサポート」活動をしながら、並行して取り組んだのは、シングルマザー100人への聞き取り調査でした。しんどい状況のシングルマザーが一番必要としていることからやっていこうと考えたのです。

「子育て」ではなく、「子育ち」

CPAOでは「子育て」ではなく、子ども目線の「子育ち」という。

話を聞いたシングルマザーの多くは養育費をもらえず、生活費をかせぐためにかけもちで仕事するなどして気持ちと時間に余裕がありませんでした。日々お金の心配をしてイライラし、ちょっとしたことで子どもに怒ってしまう……。

そんなシングルマザーの声で多かったのは、
「グチひとつ言える場所がない」
「気軽に心置きなく行ける場所がほしい」
「子どもだけでもごはんを食べさせてくれる場所があったら助かる」
 という要望でした。

そこで13年12月から、月1回シングルマザーとその子どもたちが気楽に来られる「居場所会」を、14年7月からは、ごはんを食べられる「ごはん会」をはじめました。

最初のころのごはん会は、往来から中がよく見える古民家を借りて開いていました。物珍しかったのか、地域の子どもたちが「何してんの?」と話しかけてくることもありました。

「みんなでごはん食べてんねん」とこたえると、「いいなあ、おれもごはん食べてへんねん」とうらやましそうな顔をする子もいました。

聞けば、家で食べさせてもらっていない。ごはん会に誘うと、「もっと食べてへん子おるよ。呼んでいい?」と言うんです。

家でごはんを食べていない子は意外に多いということがわかりました。

そういう子たちに「ほかの日はどうしてんのん?」と聞いたら、「教会(の炊き出し)でもらってる」「ないときはガマンしてる」と言うので、それはアカンやろと思い、月1回のごはん会を週3回に増やしました。

ごはん会に集まった子どもたち

空き地で遊ぶごはん会に集まった子どもたち。

しばらくは、ごはん会を開くときだけ場所を借りていましたが、16年2月、大阪市生野区巽北のペンキ工場だった建物を借り上げて改装し、CPAOの拠点となる「たつみファクトリー」をつくることができました。

同時に、ごはん会を中心とした、子どもの育ちをサポートする活動をNPO法人化しました。

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活動を応援したい方は、ぜひ下記へ
ご支援をお寄せください。

NPO法人「CPAO(しーぱお)」

〒544-0004 大阪府大阪市生野区巽北1-4-3
メール:info@cpao0524.org

http://cpao0524.org
https://facebook.com/cpao0524

三菱UFJ銀行 生野支店

普通 0135871
NPO法人CPAO

支援金300万円の内訳

食材費150万円

家賃150万円

食事は1食300円ほどの経費がかかる。そのほかにも、サマースクールなどのイベント、宅食や子どもの送迎の車両、燃料費などが必要となる。

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