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第7回 後編 CPAO(しーぱお)

「ここでの体験が、『負の連鎖』を止める
きっかけになることを願っています」

徳丸ゆき子さん
NPO法人「CPAO(しーぱお)」理事長(大阪府大阪市)

2012年、10年間勤めていた公益財団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」を退職。13年5月に子ども支援関係者らと「CPAO」を立ち上げ、16年にNPO法人化した。12歳の息子を持つシングルマザー。

「親ごと丸ごとサポート」する活動をしながら始めたごはん会は、CPAOの活動のもうひとつの柱になりました。
ごはん会は居場所とごはんを提供するだけの場ではないのだと、徳丸さんは言います。
ひとり親家庭のしんどい現状を数多く見てきた徳丸さんが目指す、‶本当に必要なサポート″とは?
取材・文=横山健(通販生活編集部)

NPO法人CPAOの主な活動は、週3回のごはん会。大人数の場所に来ることができない子どもには個別のごはん会。参加できない子どもの家庭へ月数回食事を届ける宅食。給食がない長期休みに開く泊りがけのスプリングスクールやサマースクールです。

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この日のメニューは、大根ステーキのチーズのせ、きんぴら、手づくり柿酢のピクルス。

参加者は、よりしんどい状況にある親子を中心としています。

かなり困窮されていても、親が許可しなければ子どもが参加することはできません。理解してもらうために何度も家を訪ねることもあります。

ごはん会やサマースクールなどの参加者は10~15人くらい。クリスマス会などのイベントでは50~60人が参加してくれます。小さい子や家が遠い子は、車で送迎もします。安否確認も兼ねている宅食は、だいたい50世帯くらいに配ります。

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子どもとスタッフたちで一緒に食べる。

これまで、しんどい状況にある母子家庭を数多く見てきましたが、ひとつ言えるのは「負の連鎖」が強く作用している、ということ。

たとえば、「1歳の子のミルクだけでももらえませんか?」とメールをくれたみどりさん(仮名)のケース。

ミルクと紙オムツ、2、3日分の食料を買ってすぐに行ってみると、小学6年から1歳まで5人の子どもを持つ42歳のシングルマザーでした。

5人の子どもたちは小学校にも保育園にも行けていない。電気はもちろん水道も止められているので、子どもがペットボトルを持って公園まで水を汲みにいくような生活状態でした。

生活保護という制度があることは知っているけれど、内職でいくばくかのお金をもらっている自分は受けることはできないと思っている。

そもそも相談する人がおらず、どこにどう申請するのかもご存知ありませんでした。

何度かミルクや食料を持っていき、少しずつ関係を築いていきました。

話を聞いていると、みどりさん自身も母子家庭で育ち、制服も体操服も買ってもらえず中学校は1回も行っていなかったということがわかりました。

5人の子どもたちが将来どうなるかはわかりませんが、義務教育すら受けていない今のままの状態では、負の連鎖から抜け出すのがとても難しいということは想像がつきます。

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ごはんづくりや片づけは子どもたちも手伝う。

「大人なんか信用せえへん」と言った小学2年生。

負の連鎖を感じるのと同時に、もうひとつわかってきたことがありました。

子どもの頃に幸せな家庭にいたり、周囲の誰かから親切にされたりという「あたたかい経験」をしている人は、人と支えあいながら生きていくことができる、ということです。

遠足のとき、友だちのお母さんが弁当をつくってくれた。寒い夜におばあちゃんが足を太ももにはさんで暖めてくれた。

そういった経験がきっかけになって、社会や人を信じて頼って生きていくことができるようになった。そう話してくれたシングルマザーが何人もいました。

SOSの声を上げることができれば、心ある人が気づいて、少なからず生活はよくなっていくはずです。

負の連鎖をすぐに断ち切ることは難しい。でも、子どもに「あたたかい経験」をしてもらうことで、負の連鎖を止めるためのタネをまくことはできるかもしれない――そう考えて、たつみファクトリーではごはんを食べるだけでなく、子どもたちにあたたかさを伝え、「やってみたい」と思ったことはできるだけ叶えてあげるようにしています。

遊んだり、勉強したりするだけでなく、スイーツをつくったり、映画を観たり、畑を借りて野菜をつくったり、長期の休みには泊りがけで海や山へ行くこともあります。

楽しい面白いと思えば、子どもはまた来てくれます。ボランティアでお越しくださる心ある方々と一緒の時間を過ごして、「世の中捨てたもんじゃない」ということを感じてもらえるように努力しています。

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たつみファクトリーにある本棚やボルダリング用の壁。
プロジェクターもあるので大画面での映画上映もできる。

今、小学4年生のまさる君(仮名)は、2年前にお母さんとDVから逃げてきました。

お母さんには非正規の仕事しか見つかりませんでした。離婚が成立していないので児童扶養手当は出ないし、シングルマザーを対象にしたNPOのサポートも受けることができません。収入は多くて月12万円のワーキングプアです。

わたしたちがごはんをつくってお母さんの休みの日に届けると、夕方でも「寝てました」と出てくるお母さんは見るからに疲れきっていました。

平日帰ってくると疲れ果ててごはんをつくらず寝てしまうこともあると聞き、いつもひとり暗い部屋でニンテンドー3DSをしていたまさる君をごはん会に誘いました。

初めてごはん会に来たときは、「何年生なん?」と聞かれても「なんで言わなあかんの」「なんもしゃべらんし」「大人なんか信用せえへんし」と言って、まさる君はだれとも遊ぼうとしませんでした。小学2年生の言葉とは思えず、軽いショックを受けたことを憶えています。

その後も、ごはん会に来てくれるのですが、「何も聞くなや」というオーラを出して、なかなかほかの子となじむことがありませんでした。

半年ほどして、まさる君がまた「大人は信用してへん」ということを口にしたとき、わたしが言ったんです。

「あなたの知ってるほかの大人はそうかもしれんな。でも、ここの人はまだマシとちがうかな?」

そうしたら、まさる君はハッとした顔をして「そやな、マシやな」ってつぶやいた。涙が出そうなくらいうれしかった。「ここからや」って思いました。

それからはすごく態度が変わってきたんですよ。今ではわたしや他のスタッフの話をじっと聞いてくれたりする。大人だったらそんな素直に変わることはできないでしょう。子どもってほんとすごいです。

でも、子どもがどれだけここを気に入ってくれても、親の再婚や引っ越しといった事情で突然来られなくなってしまうかもしれない。だから毎回のごはん会が一期一会だと思って接しています。

「何かあったら連絡しいや」「いい人も必ずおるから、いろんな人を頼って生きていったらいいんやで」ということを、ことあるごとに言い続けています。

活動を応援したい方は、ぜひ下記へ
ご支援をお寄せください。

NPO法人「CPAO(しーぱお)」

〒544-0004 大阪府大阪市生野区巽北1-4-3
メール:info@cpao0524.org

http://cpao0524.org
https://facebook.com/cpao0524

三菱UFJ銀行 生野支店

普通 0135871
NPO法人CPAO

支援金300万円の内訳

食材費150万円

家賃150万円

食事は1食300円ほどの経費がかかる。そのほかにも、サマースクールなどのイベント、宅食や子どもの送迎の車両、燃料費などが必要となる。

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