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第8回 後編 NPO法人アスイク

「学校に行かない選択をした人も、
のびのび暮らせる社会をつくりたい」

大橋雄介さん
NPO法人「アスイク」代表理事(仙台市)

1980年、福島市生まれ。仙台や東京の企業で働いた後、東日本大震災をきっかけに2011年、アスイクを設立。被災児童の学習支援に取り組む。15年にフリースクールを開設した。

フリースクールなど不登校の子どもたちが通う民間施設は、2015年時点で全国に474カ所存在します(※)
一般の学校のように、学力向上に力を入れる施設も多いなか、アスイクでは「つながりの中ではぐくむ」というポリシーのもと、まずは子どもにとって快適な場所であることを心がけています。
※文部科学省『小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査』(2015年)
取材・文=田村栄治(通販生活編集部)

不登校の子どもたちに、家以外の居場所を提供する――。

これが私たちのフリースクールの大きな役割です。

学校に行かない子どもたちは家に閉じこもりがちで、世界がどんどん狭くなっていく傾向がみられます。

困窮家庭で親が長時間働いているために家事をしなければならなかったり、親が心身の病気を抱えていたりすると、外出はなおさら難しくなります。社会から隔絶され、人とのコミュニケーションがうまくできなくなるなど、その後の生活に支障が生じかねません。

そういう子どもにまず必要なのは、家以外の居場所をもつことです。

居場所があれば、自分の気持ちを吐き出せたり、辛い思いをしているのが自分だけではないことに気づいたりします。また、周りの大人たちが子どものSOSを受け止めたり、気づいたりすることで、必要な支援につながりやすくなります。

大事なのは、ともかくここに来てもらうこと。そのためには、勉強をすべきだ、カリキュラムはこれだと押しつけるのではなく、本人がやりたいことをやってもらうことを大切にしています。

本人がやりたいことをやってもらう

スタッフ(左端)に質問したり、教えてもらったりしながらパソコンに向かう。

もちろん、学校で教えているような勉強も大事ですので、子どもたちのやる気がそちらに向いたときは、スタッフがていねいにサポートします。

ただ、ムリヤリ学校の勉強をさせようという考えはありませんし、学校に戻ることがゴールとも思ってはいません。

宮城県は小・中学生の不登校率が全国一ということですが、私は不登校が増えること自体は、必ずしも悪いことだとは思っていません。

ときに自分を傷つけてしまうほど、心身に大きな負担がかかっているのを我慢しながら無理に学校に行くくらいなら、行かないほうがいい。

大事なのは、学校に行かない選択をした子どもたちものびのび暮らしていける、多様性のある社会をつくっていくことではないでしょうか。

本棚

子どものニーズに応えるため、本棚には学習参考書もそろえてある。

私がこの場所をつくったのは、東日本大震災の直後に始めた学習支援活動が発端でした。

もともと社会の役に立つ事業をつくりたいという思いが強かった私は、仙台の会社でニートなどの支援に関わっていました。

でも、報告書をつくって終わりという仕事に満足できず、東京で別の会社に勤めたあとに独立し、これといった事業のアイデアもなく仙台に戻って来たんです。

そんな折、震災が発生しました。

自分に何ができるか考えた結果、ボランティアたちと一緒に避難所に入り、子どもたちに勉強を教える活動を始めました。

震災直後しばらくは学校が閉鎖されていたため、勉強したくてもできなかった子どもたちに喜ばれました。

ボランティアの大学生たちの協力を得て、学習支援は少しずつ広がりました。活動の場が避難所から仮設住宅へと移り、仙台市と協働で貧困世帯の子どもの学習・生活支援事業を続けていく中で、私はひとつのことに気がつきました。

集まって来ていた子どもたちの1割近くが、学校に行かない不登校の子どもたちだったんです。

スタッフが子どもたちの話を聞く

スタッフ(奥)が子どもたちの話をじっくり聞く。スタッフは常勤2人、
ボランティア3人の計5人いる。

学習支援事業は、あまり広くない空間にたくさんの子どもたちがいたので、人と一緒にいることが難しい子どもたちには合わないことがありました。また、勉強への抵抗感が強い子どもにとっては、つながりにくい場所でもありました。

私たちの学習支援は夜だけの活動でしたから、不登校の子どもたちが昼間に過ごせる場所がなかったのも、フリースクールをつくろうと思った理由のひとつです。

準備期間を経て、2015年、現在のフリースクールを開設しました。

私たちのフリースクールは、子ども1人の料金を月3万円に設定しています。

ただ、生活保護や児童扶養手当、就学援助を受けている家庭や、市民税非課税の家庭、罹災証明書を発行されている家庭からは、料金をもらっていません。

現在在籍している26人のうち、料金をもらっているのは1人だけです。

開設前は、有料と無料の利用者は半々くらいだろうと予測していましたが、ふたを開けたら困窮家庭の子どもがほとんどです。

家以外の大事な〝居場所〟

不登校の子どもたちにとって、家以外の大事な〝居場所〟になっている。

家賃、光熱費、スタッフの人件費、文具などの消耗品費など年800万円近い費用はどうしているかというと、ほぼ全額を助成金で賄っています。

助成金は1回限りや単年度のものがほとんどで、安定した財源ではありません。私たちのフリースクールは、自転車操業の状態で、なんとか助成金を集めて3年間継続してきたのが実情です。

最近、国や自治体も不登校の子どもたちへの支援を唱えるようになりました。しかしいまのところ、私たちのフリースクールの運営が楽になったということはありません。

先日、ある子どもの母親から「学校に行かなくなって家でいつも暗い顔をしていた息子が、そちらに行くようになってからは表情が明るくなった。家で話をすることも増えました」と感謝されました。

家以外の居場所を必要としている子どもたちのために、できるだけ長く、このフリースクールを続けたいと思っています。

活動を応援したい方は、ぜひ下記へ
ご支援をお寄せください。

NPO法人「アスイク」

〒983-0852 宮城県仙台市宮城野区榴岡4-5-2 大野第2ビル2階
電話:022-781-5576
メール:info@asuiku.org

http://asuiku.org

七十七銀行 本店営業部

普通 7950055
特定非営利活動法人アスイク 代表理事 大橋雄介

※ネットバンキングからお振込みの場合は「トクヒ. アスイク」と
 ご入力ください。
※お振込後、お名前、ご住所、電話番号を上記メールアドレスに
 お知らせください。

クレジットカードでも寄付ができます。
https://kessai.canpan.info/org/asuiku/

支援金300万円の内訳

家賃150万円

消耗品費24万円

水道光熱費14万円

その他112万円

「その他」に含まれるのは、子どもたちの交通費支援、ボランティアの交通費、印刷費、週1回開催の食事会の食材などを買う雑費など。

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