離婚・再婚・子育てなどの本を30冊以上著し、カウンセラーとして25年間で1,000人を超えるご相談に対応してきた、家庭問題カウンセラー・作家の新川てるえさん。自らの4度の結婚経験を踏まえて、夫婦問題における様々なテーマや情報について綴っていく連載コラム。
結婚の意味って?
あなたにとって結婚の意味って何ですか?
突然こんなことを訊かれると、ほとんどの人が困った顔をします。
私は3度の離婚をして3年前に4度目の結婚をしています。「何度も離婚しているのに懲りないね!」と言われそうですが(笑)、「なぜ人は結婚するんだろう?」という疑問があり、それを知りたくて諦めきれなかったのです。
もし、この答えがすぐに出てくる人は、離婚とは縁がないのではないでしょうか。自分なりの結婚の意味がしっかりとあるので、それを全うするために大抵の困難なら乗り越えられる人だと思います。でもそれができない人は離婚します。
「令和3年人口動態統計」(厚生労働省)によると、新たな婚姻件数は約50万1千組。対して全国の離婚件数は約18万4千組。同居期間でみると5年未満が31.7%と最も多く、次いで5~10年(19.9%)、10~15年(14.2%)、15~20年(11.5%)、20~25年(9.8%)となっています。また年齢別では30~50代で離婚する人が夫妻とも7割以上を占めます。いわゆる熟年離婚も含め、本当に他人事ではありません。
最初の結婚はちょっと早くて22歳の時
私は19歳の時、「ブスっ子くらぶ」という女の子8人組のアイドルグループのメンバーとしてデビューしました。活動中に出会った男性とできちゃった婚をして、他のメンバーよりも先に芸能界を引退。
当時の私にとって結婚とは夢に描いたような、ピンクと水色のスリッパが並ぶ幸せなイメージそのもの。相手は1つ年下の21歳の男性で、お互いに若くして親になることが憧れでした。
しかし、いざ子どもが生まれて現実的になると、いつまでも夢ばかり見ていて働かない夫が信じられなくなりました。「子どもと一緒にオーストラリアで働きながら生活しよう」と言われた時は開いた口が塞がらなくなり、この人とはやっていけないと感じて離婚。まさに若気の至りでした。
その後2度の再婚を経験。28歳の時に12歳年上の男性と結婚、5年の結婚生活を経て長男を授かったあとに離婚しました。離婚原因は夫の浪費癖による内緒の借金の発覚です。
そして3度目は40歳の時。お互いに2人の子どもを連れてのステップファミリー(※1)でしたが、こちらも8年の結婚生活を経て離婚しました。離婚理由は夫の浮気と性格の不一致です。
今考えると、当時の私は「結婚の意味」にたどり着けずに、不満にばかり目を向けていて未熟だったと思います。
今は国際結婚の苦労と直面しています
私の現在の夫はナイジェリア人です。国際ロマンス詐欺(※2)の取材活動がきっかけとなって出会いました。3年前に4度目の結婚をすべきか否か考えた時に、「マリッジビザの重要性を考えて」結婚を決意。
読者の皆さんの中には国際結婚されている方はいますか? はっきり言って大変なこと多いですよね(笑)。私はカウンセラーとして国際結婚の悩みをお聞きすることもあります。
国際結婚で一番問題となるのは、間違いなく言葉の壁。夫は日本語を全く話せないため、共通言語はお互いに母国語ではない英語。だから伝えたいことが上手く伝えられずにストレスになることが多々あります。
それから食生活の違い。夫は刺身や寿司、生卵などの生モノは怖いと言って絶対に食べません。アフリカンシチューをいつも大量に作って冷凍庫をいっぱいにしています。しかもそれを繰り返し飽きもせず食べています。そんなわけで我が家では夫婦揃って一緒に食事をする文化がなく、お互いが食べたいものを食べたい時間にという不思議な生活です。
また、国際結婚はとにかく手続き関係が厄介です。私も婚姻届けを受理してもらえるまで、インターネットでの情報収集や役所へ直接問い合わせ、大使館への訪問など、国際結婚ならではの手続きに悪戦苦闘しました。結婚後には在留資格の更新も定期的にあります。国際結婚をうまくやっていくコツは、こうした苦労を苦労と思わず、楽しむ心を持つことだと思います。
結婚生活を継続させる術
「結婚とは究極のボランティアである」
──これは4度目の結婚でたどり着いた、私なりの答えです。
これまでの結婚を振り返って考えてみると、いつも「相手を幸せにしてあげたい」と思って結婚していたということに気が付きました。
2度目の時は40歳を過ぎても結婚していない夫が気の毒だと思いました。3度目は父子家庭で2人の娘を育てている夫を可哀そうだと思い結婚しました。当時は結婚の意味が解らなかったので継続することができませんでしたが、答えを見つけた今は「苦労を楽しみに変えて乗り越えるしかない」と思っています。
先日、友人から離婚したいと相談がありました。「自分には結婚は向いていないと思うから、もう2度としない」と。そこで私は「結婚は向き不向きではなく、自分なりの結婚の意味と、続ける術を知っているか否かだけだと思うよ」と返しました。
今回は離婚について触れる前に、そもそもなぜ結婚したのかについて考えてみる機会だと思いました。次回からは夫婦問題における心理学的なポイントなども取り入れながら、様々な離婚のケースについて詳しくお話していきます。