フリーランスの編集ライターで1児の母でもある筆者が、マイバッグをきっかけに目覚めたサステナブルな暮し。どこか他人事な夫、物欲旺盛な子ども、時にはママ友や専門家と協力しながら、一緒に成長していく様子をお届けします。
主婦にとってのサステナブル
「家計にもやさしく」
サステナブルな暮しは無駄を減らすことから
私には70代の母がいる。家族を支える専業主婦として何十年も生きてきた母は、今では実家を出て働く私と孫娘のサポートをしながら、夜な夜な韓国ドラマに心をときめかせるアクティブシニアになった。
毎朝チラシをチェックして、LINEで「卵いる?」「果物ある?」と訊いてくる母は、特売品を求めてスーパーをはしごするのが趣味。その戦利品をわざわざ車を運転して4km離れた我が家まで届けてくれる。「ガソリン代が」と思わずツッコミたくなるけど(笑)、いいモノを安く買うこと、それを家族にシェアすることが生きがいになっている。
依頼があれば夜も土日も時間単位で働くフリーランス稼業の私にとって、そんな母は強い味方。40代半ばにもなっていつまでも甘えていられないのは分かっている。でも、買い出しの手間が省けるのは正直ありがたい。
おそらく母は「無駄」が嫌いなのだと思う。と言っても決してケチではなく、多少値段が張っても愛着を持って長く使えるモノであれば納得して買う。逆に“とりあえず”な勢いで適当なモノを買って済ませることは絶対にない。
実はこの「無駄を省き、モノを長く大切に使う」という考え方こそ、サステナブルな暮しの基本なのではないか。不要になってすぐに捨ててしまうようなモノなら、初めから買わないこと。ベテラン主婦から学ぶべきことはまだまだたくさんありそうだ。
日本や世界の動きより1枚のレジ袋が意識を変えた
正直に言います。こんな母のDNAを受け継いでいるはずの私ですが、実はサステナブルに目覚めたのはつい最近のこと(汗)。
覚えていますか、1995年。日本では容器包装リサイクル法が制定され、以降、家庭ゴミでのプラスチックの分別回収やスーパーの店頭回収ボックス設置などが日常化。さらに2000年の循環型社会形成推進基本法によって、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の動きも拡大。当時、遊びや恋愛に夢中だった学生の私にはもちろん他人事でした。
時は流れて2015年。コスタリカ沖で発見された、鼻にストローが刺さったウミガメの動画が世界中でバズった。あの時はさすがに心が痛んだけど、目の前の子育てに必死な身としてはいつまでも記憶には残らず。同年9月に国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択された時も、周りで話題にする人がいたら「へえ、意識高い系だね~」なんて呑気に微笑み返していたほど。
そんな中、私が目覚める大きなきっかけになったのは2020年7月に全国で有料化されたレジ袋。「えっ!? 今まで無料だったモノに5円払うなんてもったいない!」と思い、欠かさずマイバッグを持って近所の買い物に出かけるように。プラスチックゴミを減らしたいという意識より、無駄な支出をなくしたいという気持ちが勝っていたのは事実(母のDNA)。
しかし、その価値観にも遂に変化が。会計時に「要りません」と断るようになってから、一生掛かっても使いきれないほどストックされていた我が家のレジ袋がどんどん減っていくことに無上の喜びを感じたからだ。あの時、遅ればせながら私のサステナブル精神が芽生えた瞬間だった。
楽しく“脱プラ”! マイバッグからマイボトルへ
私たちは「サステナブル」って言葉をつい難しく考えてしまいがちだけど、別に高い目標意識を掲げなくても、自分なりにできることから始め、日々コツコツと続けていくことが大事なんだと思う。習慣になったら新しいことにトライしていくのって意外と楽しい。
レジ袋で気を良くした私は、今度はキッチンの片隅に並んだ空のペットボトルが目につくようになった。1本ずつ洗う手間や、毎日マンションのゴミ置き場に捨てに行く時間が無駄に思えたのだ。お茶やジュースもリサイクル可能な紙パックを選び、できるだけマイボトルに入れ、外出時には持ち歩くことが珍しくなくなった。
私なりに考えた「サステナブルな暮し」は、環境や社会にやさしいだけでなく、家計にもやさしいことが基本。マイボトルの次は当然マイ箸やマイストローと意気込んだけど、こだわりが強くなってくると余計なお金を使いすぎることになってしまう。それに夫から「家族や周りに強要しないでね」って念押しされてるし。
そうだ、今はママ友たちと集まったカフェで「ストローは要りません」と伝えることより、我が家のプラスチックゴミをなるべく減らす段階だ。これはある意味ステージをクリアしていくゲームみたいなもの。お風呂に入りながらそんなことをボーッと考えていたら、目の前に衝撃の光景が!
シャンプーにコンディショナー、ボディソープ、洗顔フォーム、パックにスクラブとお風呂場はプラスチックボトルの山。最近洒落っ気が出てきた10歳の娘が、あれやこれやとバス用品を夫に密かに買わしては試していることが発覚。さあ、こんな時どうしますか!? (Vol.2につづく)
サステナブルって言葉は
いつどこから?
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)で知った人は多いと思います。ちなみに1987年、環境と開発に関する世界委員会が報告書で「サステナビリティ」という言葉を用いたのが始まりという説も。日本は当時バブル経済が幕開けたばかり。大量生産・大量消費・大量破棄の真っ只中でした。