フリーランスの編集ライターで1児の母でもある筆者が、マイバッグをきっかけに目覚めたサステナブルな暮し。どこか他人事な夫、物欲旺盛な子ども、時にはママ友や専門家と協力しながら、一緒に成長していく様子をお届けします。
肌にも地球にもやさしく
「固形石鹸で減プラ!」
お風呂場はプラスチック製品で溢れ返っている
買い物はマイバッグ、お出かけにはマイボトル。そんなサステナブルな暮しへの第一歩を踏み出した私の目下の関心事といえば、家庭のプラスチックゴミを減らすこと。
と、意気込んでみたのも束の間。洒落っ気が出てきた10歳の娘の美容熱が加速し、我が家のお風呂場はアルプス山脈のごとく、大小プラスチックの山が連なる圧巻の光景となった(泣)。
「使い終わってから新しいのを買って!」とキレ気味に伝えるも、「これは朝の洗顔用〜」「これは週1のスペシャルケア〜」だとか、それなりの言い分を通す娘。かくいう私も、日常使いのシャンプー以外にスカルプケア用、カラーケア用と3種類を常備しており、洗顔フォームも保湿と角質ケアの2本がある。「人の振り見て我が振り直せ」とはまさにこのことではないか!
反省する私に「これ有名なレポートだよ」と、海洋環境を考えるWEBメディアで編集長をしている夫がLINEで送ってきたのが、2015年にジョージア大学らの研究グループが発表した論文。
不法投棄などが原因で海に流出するプラスチックゴミは年間で800万t超。やがて熱や波によって砕けて小さくなり、有害物質が付着しやすいマイクロプラスチックに変化する。それを餌と間違って魚が食べてしまい、最終的にはその魚を食べる人間の身体にも影響を及ぼすのだという。
やはり不必要なプラスチックはなるべく使わないことで、食い止められることはあるはずだ。そこでお風呂場で閃いたのが液体から固形への変換だった。そう、今回は石鹸の話です。
固形石鹸に変えてプラスチックボトルレスに
実家に住んでいた頃、お風呂場にはいつも固形石鹸が置いてあった。現在81歳の父は「身体は石鹸じゃないと洗った気がしない」と、昔ながらの箱入り石鹸をいまだに愛用している。
そしてずっと感じていた「詰め替え用パックって本当にエコなの?」というモヤモヤ。本体ボトルと比べればプラスチックの使用量は少ないし、節約にもなるし、主婦にはありがたい。でも、詰め替え用パックもプラスチック製がほとんど。そう考えると、ボトルレスな固形石鹸への変換は賢い選択かもしれない。
ここ数年のサステナブルへの関心の高まりもあり、減プラを謳う固形石鹸がたくさんのメーカーから出ている。シャンプーからコンディショナー、ボディソープや洗顔フォームまでお風呂場で使用するものの大半は、固形石鹸に置き換えられる。
さらに販売されている固形石鹸の多くが、開発途上国の生産者や労働者を守る「フェアトレード」、生産過程や原料に対して動物実験を行わない「クルエルティフリー」など減プラ+αを備えている。
ただプラスチックゴミを減らし、海洋汚染や地球温暖化などの環境問題に向き合うことだけがサステナブルではない。貧困をなくすことや動物の保護など、買い物を通して私たちにできることはまだまだある。欲張らず、焦らず、プラスチックボトルを1本でも減らそう。そう思ってボディソープと洗顔料をひとまとめにすることに決めた。
主婦も納得。減りの遅さとコスパの良さ
固形石鹸を使って感じたメリットはたくさんある。私が選んだクリーンビューティブランドの石鹸の場合、まずプラスチックフリーで、ゴミは紙の包装が1枚のみ。これはすごく気分がいい!
また、泡立てネットを使えば少量で済ませることができ、約140gの1000円以下の石鹸が2ヶ月経っても半分以上残っている。一人で使っているとはいえ、ボディソープより圧倒的に長持ちする。
固形石鹸は無添加やシンプルな配合のものが多い。一般的に肌への負担が少ないとされ、保湿成分が配合されているものであれば、洗い上がりはしっとりなめらか。忙しい毎日の中で、お風呂上がりのボディケアを1日くらいサボっても肌がカサつくこともない。
「ママの肌は何でそんなにスベスベなの?」
私の二の腕のお肉を触ることで癒しを得ている娘が驚くようになり、先日ついに固形石鹸で身体を洗い始めた。よし。環境意識に加え、美意識の高い夫が使い始める日もそう遠くない(笑)。
その後、我が家の減プラ活動はお風呂場からキッチンにまで波及した。醤油、みりん、料理酒などの調味料をプラスチックボトルから瓶や紙パックに変えたのだ。ちょっと割高になるけど、これは許せる範囲。サステナブルな暮しって、「できることもっとないかな」って前向きな気持ちになれるのがどこか心地いい。
そんなことを実感しながら、いつものスーパーの買い出し帰りにふと本屋さんに立ち寄ってみる。すると一角には「サステナブル」「SDGs」「エシカル」……私が知りたいキーワードの本で溢れていた。(vol.3につづく)
近年注目の
「クリーンビューティ」って?
欧米を中心に広がり、ここ1〜2年で日本でもよく耳にするようになった「クリーンビューティ」という言葉。明確な定義や基準がないため、ブランドによってその取り組みは異なりますが、「人と環境にやさしい」というのが共通の考え方。有害な成分を使わない、生産過程に透明性がある、動物実験を行わない、サステナブルなパッケージなどが特徴として挙げられます。