なぜ、あなたはその夢をみるのか?

イラスト/ひらのんさ

みなさんは、空を飛ぶ夢をみることがありますか。今回は、臨床心理士の松田英子先生が『通販生活』読者が出産時にみた、空飛ぶ夢を分析します。どこか神秘的な夢は、出産して母になるという人生の一大転機を迎える心境とも深く関わっているようです。

1万人の夢を分析した

松田英子先生

21歳で出産するときにみた空を飛ぶ夢。

宙に浮いた自分が万里の長城を見下ろしている。

今回は、現在64歳の『通販生活』読者の方が
21歳で出産するときにみた夢を分析します。
昔の記憶ではありますが、
時を経て現在でも鮮明に思い出せる夢は
大事にしたいですね。

私はこんな夢をみた

突然、自分自身が宙に浮いて空を飛び、線状になった万里の長城や点状のエジプトのピラミッドを見下ろしている。出産5時間前、トイレで待機中にみた。陣痛の感覚が短くなり吐き気をもよおしてきたので、分娩室に入るまでの4時間ほどの間、トイレにこもっている渦中だった。

(massmilianaさん・会社員・64歳)

出産は母親にとっても命の一大事ですが、
空を飛んで万里の長城などを眺める夢は
自由で爽快な感じがして、
難産というよりは安産がイメージされます。

出産5時間前ですから、
いよいよ出産というタイミングです。
もう少しで身体的にも開放されてひと段落がつく、
自由になるという感じが
夢にも表れているようです。

夢にも職業柄が表れる。

分析に先立ち、
パーソナリティ把握のために
TIPI-Jに回答していただきました

TIPI-Jの結果から浮かびあがるのは、
社会性とまじめさを持ち合わせたお人柄。
多くの人とわいわい過ごすより、
自分の中でイメージや創作を膨らませるのが
お好きな印象です。
日頃から、夢やイメージ体験を
楽しんでいる方なのではないでしょうか。

ただ、これは今現在のこの方の性格ですから、
空を飛ぶ夢をみた21歳のときとは
少し変わっているかもしれません。

私が「なるほど」と思ったのは、
この夢をみた頃は
歯科技工士の仕事をされていたという点です。

子歯科技工士は差し歯や入れ歯などを
つくる仕事ですから、歯の形や配列などを、
普段からよく観察していたはずです。

だから夢の中でも、
「線状の万里の長城」
「点状のエジプトのピラミッド」という風に、
ものの形や並び方に着目しながら、
俯瞰の視点で眺めていたのかもしれません。

なんとも歯科技工士の方らしい夢だなぁと、
なんだかとてもしっくりきました。

撮影/大倉琢夫

人生の転機へとむかう心境が
夢のスケールを大きくしている?

この方は出産後に転職をして、
旅行会社に勤めたそうです。

この情報も踏まえて夢を改めて見返すと、
どことなく、人生の転機へと向かう心境が
感じられるような気がします。
夢には中国やエジプトの観光地も登場しました。

夢の中ではどんな風に飛んだのでしょうか。
飛び方について追加質問をしたところ、
以下の回答がありました。

夢の中での飛び方
天上界から釣り糸で引っ張られている感じで、
徐々に上がっていきました。

天上界から引っ張り上げられるように
ふわっと宙に浮いて、
眼下の万里の長城やピラミッドを俯瞰する。
とてもスケール感のある夢ですよね。

どことなく、
目に見えるものだけでは説明のつかないような、
大きな何かに動かされることを
実感する心の動きが感じられるように思うのです。
出産して母になることと、
転職して新たな業界に踏み出すという
二つの転機を前にして、
一連の流れを少し離れたところから
眺めている自分がいる。
そんな心持ちが、
夢にあらわれたのかもしれません。

出産時に臨死体験的な夢をみる人は多い。

この夢はスケール感が大きいだけでなく、
臨死体験的な感じもします。

出産や大病、大けがなど、
命にかかわるような状況では、
現実世界を越えたところに意識が飛ぶような夢を
見ることが結構あるんです。
たとえば日本では、
生命の危機にさらされたときに
三途の川の夢をみるとの言い伝えもありますよね。

私の知人は第一子の出産時に、
花畑に吸い込まれそうになる夢をみたそうです。
花畑はみたこともないような美しさで、
とても気持ちのよい夢だったと言っていました。

夢のなかで日本上空をとびまわる。

今回紹介した夢は、
万里の長城やエジプトのピラミッドを
見下ろしていることから、
とても高いところを飛んでいると分かります。

他にも読者の投稿の中には、
高いところを飛ぶ夢がいくつかありました。
その中でとても興味をひかれたのが、
現在70代の読者が、
50代から60代のある時期にみたという夢です。
一部をご紹介しますね。

私はこんな夢をみた

気づくと眼下に街が見えた。地上500メートル位の視覚で街はゆっくり移動していくので、自分は飛んでいるのだな、と考えた。
違う夜。この続きをみた。気づくと飛んでいた。街を超えて、河を飛んだ。そこで東京だと思った。なぜかというと都庁など高層ビルが見えたからだが、ここで初めて自分が両腕を広げて飛行を制御しているのに気付いた。
また違う夜。電車か汽車に乗っている。見える風景に入りたいと思い、初めて自分の意思で飛び立つ。飛べた。この電車から飛ぶパターンはしばらく続き、いろいろな夢をみた。夢の中で「日本を一回りするのだ」と思い、実際に日本各地の空を飛ぶ夢を何度か続けてみた。例外は北海道でまったく出てこなかった。

(太極拳四郎さん、70代、無職)

夢の中では、「総じて快感」だったとのこと。
空飛ぶ夢の続きを
何夜にもわたってみるのはとても楽しそうです。

思いのままに空を飛ぶ夢は、
仕事の達成感を反映しているのかも。

夢の中で「日本を一回りするのだ」と思い、
本当に日本の各地の上空を飛んだということは、
夢を自分の思う通りに展開できたということです。

この方は「今自分は夢をみている」と自覚しながら
「自分の意思で飛び立」って夢の世界を楽しめる、
明晰夢者である可能性があります。
明晰夢者の中には、
自分が希望する夢をみたり、
夢の筋書きを思い通りに変えたりできる人も
いるのです。

この方はこの夢をみた頃、
「あと少しでリタイアだ」と考えていたそうです。
50代から60代という年齢的にも、
リタイアを間近に控えて
自分のキャリアを俯瞰していた時だったと
考えられます。

夢の中では、
北海道以外の全ての都道府県を巡り、
日本一周をほぼ達成しています。
実際のキャリアでも、
「やり残したことはほとんどない」
という達成感を感じていたのではないでしょうか。
とても充実した仕事人生を歩んだ方なんだろうな
という印象を受けました。

次回は、天井くらいの高さまでなど、
もう少し低いところを飛ぶ夢を分析します。
高いところを飛ぶ夢と低いところを飛ぶ夢とで、
どんな違いがみえてくるでしょうか。

※次回は「50代の主婦がみた、家の中を飛ぶ夢」を分析します。(10月30日公開)

(10月30日公開)

※読者の夢には、表記の変更や分析に関係のない部分の省略などの編集を加えています。

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