脳科学者・西剛志先生のおりがみのすすめ

イラスト/西村オコ

子どもの頃からなじみのある「おりがみ」。
調べてみると、おりがみを折ることで、
認知症のリスクが下がる、集中力が上がる、物忘れが減るなど、
うれしいメリットがたくさんあることがわかってきたそうです。

教えてくれる人

西 剛志さん(脳科学者)

プロフィールを見る

西 剛志さん

にし・たけゆき●1975年生まれ。鹿児島市出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供している。テレビなどの各種メディア出演も多数。
著書に『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)などがある。監修した『脳科学でわかった! 80歳からでも若返る すごい脳活おりがみ』(あさ出版、伊達博充著)は3万部を超えるヒット。

『脳科学でわかった! 80歳からでも若返る すごい脳活おりがみ』という本の監修をきっかけに、指先の動きと脳への影響に関する世界中の研究をまとめていくと、驚くべき真実がたくさんわかってきました。ポイントをまとめると次の8つになります。

おりがみが
脳にいいつのポイント

  1. 脳全体が活性化しやすい

    単純に手を握るだけ(=握力把握(あくりょくはあく))では、脳の一部しか活性化しません。
    しかし、おりがみのように指先を細かく使う作業(精密把握(はあく))だと、前頭前野を含む幅広い脳の部分が活性化することがわかっています。

  2. 集中力が上がり「どこに置いたっけ?」が減る!?

    年齢を重ねると、メガネや鍵などを「どこに置いたっけ?」と探すケースが増えます。原因は「集中力が落ちて記憶力がなくなっている」から。問題は記憶力というよりも「集中力」なのです。
    集中して0.3秒以上、置いた鍵を見ておくと忘れにくくなります。
    おりがみのように指先を使うと、視線が指先に向かい集中します。集中状態を繰り返していると、ものを集中して見る習慣がつき、「どこに置いたっけ?」が減る効果が期待できます。

  3. 地図を読む力、車の車庫入れ力が改善される

    立体的にものを把握する力を「メンタルローテーション力」といいます。おりがみを折るトレーニングをしたことで、「女性のメンタルローテーション力が上がった」という研究報告があります。
    メンタルローテーション力を鍛えると、地図を読む力や認知力が改善したり、車庫入れが上手くなったり、道に迷いにくくなったりする可能性があります。

  4. 文章の理解力を高めるトレーニングになる

    おりがみは、「折り図」(おりがみの折り方が書いてある説明書)を正確に読み解かなければ、完成しません。「折り図を理解しながら折る」ことによって、文章の理解力を高めるトレーニングになります。

  5. 短期記憶が高まる

    おりがみはゴールのカタチを想像し、逆算して折っていきます。この過程で、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)を使います。前頭前野は、「短期記憶」や目的達成のために計画を立てる「実行機能」をつかさどる場所であり、認知症と深く関わる部位です。おりがみを折ることが前頭前野を活性化するトレーニングになっている、すなわち、脳活になっているといえます。

  6. 認知機能が落ちにくくなる

    自分なりに工夫して新しい折り方でおりがみをつくること(創作おりがみ)は、新しいことへのチャレンジになります。また、おりがみをこれまで折ってこなかった方にとって、おりがみを折ること自体が新しいことへのチャレンジです。
    新しいことにチャレンジすると、脳の認知機能が落ちにくくなる、という報告があります。

  7. やる気ホルモンが出る

    年齢を重ねると、だんだんと新しい場所に行くのが億劫になったり、新商品に興味がなくなったりします。年を取ることで、やる気ホルモンのドーパミンが減少することと関係があります。
    制限時間を設けておりがみを折り、タイムを縮めるのを目標にしていくと、やる気ホルモンのドーパミンが出ます。

  8. 怒りっぽい人がおだやかになる

    おりがみを折ると、前頭前野を含めた脳の広い領域を活性化することになります。前頭前野は感情のコントロールもつかさどっています。おりがみを折ると、感情をセルフコントロールするトレーニンングにつながる可能性もあります。

子どもや友人とおりがみを楽しんで
認知症リスクを下げる

脳活のためのおりがみでおすすめは、人におりがみを教えることです。
教えることは脳の記憶力アップにつながります。お子さんやお孫さん、友だちにおりがみを教えてみましょう。

孤独な感情は認知症リスクを2倍にするといわれます。おりがみを教えたり、人と一緒に折ったりすることで人とのつながりができます。人とつながりができると、オキシトシンという至福ホルモンが出て、幸福度が高くなり、ストレスを感じにくくなります。

おりがみはコミュニケーションの手段としてもすばらしいです。

通販生活のおすすめ脳トレ道具を見る