秋冬にしっかり
保湿したい人が見るべき
化粧品の成分はこれ!
本格的に保湿が気になる季節。保湿コスメを購入したいけど、
何を基準に選べばいいのかピンとこない…という人も多いはず。
今回は皮膚科医の関東裕美先生に、
化粧品が持つ保湿力についてお聞きしました。
教えてくれる人
関東裕美先生
かんとう・ひろみ●皮膚科医・日本エステティック研究財団理事長。医学博士。保湿と遮光の重要性を提唱。接触皮膚炎の診療は年200 例を超える。
化粧品の進化とは、保湿力の進化といっても過言ではありません。保湿はあらゆるトラブルから肌を守る基本だからです。
うるおいは肌のバリア。シミやしわ・肌荒れを防ぐ。
表皮には角質層と呼ばれるバリア膜がありますが、紫外線やホコリ、こすり洗いなどで日々ダメージを受けています。UVカットを心がけるのはもちろん、傷ついたバリア膜を保湿化粧品で修復する必要があるのです。バリア膜が整えば、なめらかで弾力のある肌になるだけでなく、紫外線のダメージを防いでシミやシワのリスクも抑えられます。アレルゲンなどの外部刺激にも強くなりますから、皮膚の健康維持においても保湿化粧品の意義は大きいのです。
化粧品の保湿力は「どれだけ肌の成分に近いか」にかかっています。なかでも進化が目覚ましいのは、肌の水分保持を担う「セラミド(角質細胞間脂質の主成分)」です。
約20年前から保湿化粧品に配合されてきましたが、当初は石油由来成分を合成した「疑似セラミド」が主流でした。人の肌にあるセラミドとは構造が異なるため、浸透力が弱かったのです。
しかし開発技術が発展した近年では、天然原料をもとにして、人の肌が含むセラミドとまったく同じ構造を再現できるようになりました。浸透力の証左である肌なじみのよさは格段に進歩していると言えます。
人の皮脂膜を構成する「トリグリセリド」や、アミノ酸などを含む「天然保湿因子」の構造解明も進んでいます。油分を補うというとオリーブ油など昔ながらの美容オイルを思い浮かべる方も多いでしょうが、成分の研究と配合技術の進化によって、オレイン酸やスクワランなど、人の皮脂膜に含まれる成分を化粧水やクリームから補うことも可能になりました。
秋に入って外気の湿度が50%を切ると、セラミドやアミノ酸など肌のバリア膜にある成分は急速に失われていきます。ふだん肌トラブルがない方も、この冬はぜひ「守る保湿」を心がけてください。