通販生活の処方箋

「シミの正体は
“DNAの暴走”です」

ベランダに5分いるだけでも日焼けはするの?

「日陰にいれば、日焼けしないよね?」
「洗濯物を干すくらいなら、日焼け止めはいらないよね?」
……残念ながらどちらも違うんです。
今回は、紫外線が肌に与えるダメージについて、
市橋正光先生(神戸大学名誉教授)にお聞きしました。

教えてくれる人

市橋正光先生

いちはし・まさみつ●医学博士、神戸大学名誉教授、BTRアーツ銀座クリニック院長、日本再生医療学会会員。紫外線による皮膚損傷をいち早く研究。日本光医学・光生物学会はじめ多数の学会で理事を務める皮膚科学の世界的権威。

「紫外線は晴れ、曇り関係なく上下左右からやってきます。360度“シミ・シワ包囲網”だと考えてください」(市橋先生)

 シミやシワ、たるみなど、肌老化を招く原因の8割が紫外線です。しかし真のおそろしさは、皮膚細胞の遺伝子(DNA)を傷つけて狂わせてしまう点にあります。
 そもそもシミのもととなるメラニンは、紫外線のダメージから身を守るために生成される大切な色素です。ところが紫外線によって皮膚の遺伝子が狂いだすと「メラニンをつくれ」という命令が止まらなくなる。つまりシミは、単なる老化サインではなく、遺伝子が暴走している証拠なのです。
 真夏の正午に日差しを1時間浴びると、皮膚細胞ひとつにつき10万個以上の傷がつくといわれています。本来、人の体には修復機能が備わっていますから、24時間で半分の傷、つまり5万個ほどは治ります。
 しかし傷の数が膨れ上がると、修復機能が正常に働かなくなる可能性が出てきます。「たった5分の洗濯物干し」であっても油断は禁物です。毎日の積み重ねが遺伝子の暴走につながると心得てください。

B波は一瞬で、A波はじわじわと遺伝子に傷をつくる。

 これまで一般的には、遺伝子を傷つけてシミをつくるのは「B波」、コラーゲン、エラスチン繊維を破壊してシワやたるみをつくるのは「A波」と考えられてきました。ところが3年前、A波もまた、B波と同種の傷をつくることが判明しました。

紫外線A波とB波は、皮膚細胞を傷つけ、遺伝子を変異させる。

 B波は一瞬で表皮細胞を傷つけますが、A波は浴びてから4時間ほどかけてメラニンを持つ細胞を傷つけていく。日没後だろうとシミの種をじわじわ増やしつづけるのです。
 紫外線の脅威から身を守るには、なによりも日差しを浴びないことです。私自身、80歳のいまもつねに日傘を差し、サンスクリーン剤(日焼け止め)を塗っています。ぜひ今日から対策を徹底して、遺伝子の暴走を最小限に食い止めてください。

編集部で実証テスト

紫外線、こんなところまで届いています。

日蔭でも
一見、日差しが届いていない暗がりにも
紫外線はたっぷり。

 紫外線を感知すると透明から青色に変わるボール(株式会社記録素材総合研究所製)を持って、日なたと日蔭で撮影。日蔭でも日なたとほぼ同等の青色を確認できた。

室内でも
「家の中は安全」は大間違い。
紫外線はガラスをつらぬく。

 A波は波長が長いため、窓ガラスやカーテンも透過する。窓際での読書風景を「紫外線可視化装置」で撮影したところ、屋外と同程度の紫外線(上写真・赤色部分)が室内に届いていた。

下からも
直射日光だけじゃない。
アスファルトの反射光に要注意。

 紫外線は反射・散乱するため、下や横からもやって来る。例えばアスファルトの紫外線反射率は10%。日傘を差していても、角度によっては地面からの照り返し(下写真・赤色部分)を浴びてしまうことに。

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