紫外線対策には自信ありという横森理香さん。
でも過去に浴びた紫外線の影響は? 今あるシミはもう消えない?
そんな紫外線の疑問を、素敵に歳を重ねるスロワージュ世代を代表して、
皮膚科の権威船坂陽子さんと化粧品のプロ岡部美代治さん、
二人の賢者にぶつけてもらいました。
横森理香さん
よこもり・りか●女性の生き方や等身大の悩みをテーマにした著書に定評がある。大人の女性の美と健康、幸せを追求するべく一般社団法人「日本大人女子協会」を設立。著書に『これからの30年をゴキゲンに生きる。』など。
船坂陽子さん
ふなさか・ようこ●池袋西口病院美容皮膚科部長、日本医科大学名誉教授。シミに効くハイドロキノンや、ケミカルピーリングを全国に先駆けていち早く導入した美容皮膚科のパイオニア。日本レーザー医学会理事。
岡部美代治さん
おかべ・みよじ●大手化粧品会社で開発に携わり、多くのヒット商品を生む。独立後は美容コンサルタントとして、化粧品研究で培った経験をもとにスキンケアを中心とした美容全般の情報を発信。セミナーや講演も行っている。
昔は日焼けした方が健康的だって
もてはやされていましたよね。
私も海で焼けまくりでした……。――横森さん
横森さん(以下横森) 若いころは日焼け対策をするどころか、日焼けした方が体にいいとすら思っていました。夫のサーフィンに付き合って、バカンスといえば海! 紫外線は相当浴びてきましたね。
若いころは紫外線上等!
横森さんの
日焼けヒストリー
-
お気に入りのマイクロビキニでハワイ♪ もちろん肌は小麦色。(32歳)
-
マレーシアでバカンス。顔も体も夕日に照らされてます。(35歳)
-
オーストラリアでボディボード。笑顔もはじけてる!(38歳)
岡部さん(以下岡部) 夏目雅子さんの化粧品のCM(1977年)でも、小麦色の肌が印象的でしたよね。あのころは、日焼けした方が健康的に見えるっていわれていたり、日焼けサロンも大流行していました。でも、もちろん紫外線は肌によくありません。
船坂さん(以下船坂) 皮膚がんの原因にもなりますからね。欧米のいくつかの国では、未成年は日焼けマシンを使用すべきではないという勧告が出されています。日本でも皮膚がんのリスクが認知されてきて、1998年には母子手帳の「日光浴」という言葉が「外気浴」に変更されたんですよ。寿命が延びたことで、紫外線による皮膚がんの発症率は上がっています。
横森 それは怖いですね。
船坂 紫外線ダメージの蓄積も心配です。長期間紫外線を浴び続けると、シミが増えるだけでなくたるみやシワも出てきます。こうした変化は「光老化」といわれ紫外線を浴びた人ほど加速度的に光老化が進むというわけです。
岡部 光老化は紫外線を浴びた時間と強さ、そしてダメージがどれだけ蓄積しているかに比例して起こりますからね。肌の老化の約80%は、紫外線が原因のこうした光老化です。
横森 そう聞くと海でのバカンスはもはや黒歴史。これまでの紫外線の負債、今からでも何とかなりますか?
岡部 今は優秀な美白化粧品もたくさんあるし大丈夫です。きっと(笑)。
シミは紫外線で育ちます。
つくらないためにも、濃くしないためにも
紫外線カットを徹底してください。――船坂先生
《 紫外線が肌に与えるダメージ 》おさらい
紫外線には波長の異なるA波とB波があります。紫外線A波は、真皮まで届いてコラーゲンを破壊し、シワやたるみを引き起こします。紫外線B波はメラノサイトを刺激して、シミやそばかすのもとになるメラニンの生成を促します。
横森 40代に入ったころからシミが増えてきて、紫外線対策に力を入れるようになりました。日焼け止めは一年中つけますし、出かける時は帽子をかぶってサングラスも装着。日傘は日差しがくる方向に合わせて向きを変えながら使うほど徹底しています。
船坂 紫外線は浴びすぎないことが大前提ですから、いい心掛けですね。紫外線にはA波とB波があり、シミをつくるのは主にB波。A波は真皮まで届いてシワやたるみを引き起こします。
岡部 B波は浴びると肌が赤くなるので気づきやすいですが、A波は急激な変化が起こらないから知らず知らずのうちに浴びてしまいがちなんです。カーテンや窓ガラスも突き抜けてしまうから要注意。ダメージが蓄積しやすいのもA波で、5年後10年後のシワの原因にもなります。日焼け止めにはSPFとPAという表示があるでしょう?
SPFはB波を防ぐ力の指標で50が最も高い数値。それ以上になると50+と表示されます。一方PAはA波を防ぐ力を表すもので、++++が4段階の最も高い評価です。
横森 基本中の基本ですけど、まずは日焼け止めでしっかり紫外線を防ぐことですね。でもダメージが蓄積すると聞いて、肌の状態が心配……。
船坂 では肌診断ができるVISIA(ビジア)で、今の横森さんの肌を解析してみましょう。これからシミになる隠れジミ、いわばシミ予備軍がどのくらいあるのかも分かりますよ。
早速チェック!
VISIA(ビジア)とは…最新のカメラと分析技術で、肌のシミやシワ、毛穴などを項目別に細かく分析できる肌診断機器。
VISIAで解析した横森さんの肌
-
シミ
色、形、大きさを解析。肝斑、そばかすも分かる。
-
隠れジミ
肌表面に現れていない肌の奥にあるシミを解析。
-
茶ジミ
メラニンを判別し、色素沈着や色ムラを解析。
-
シワ
肌表面にある、シワの数を読み取る。
-
毛穴
毛穴の数や形を読み取る。
-
きめ
表面の滑らかさを計測し、皮膚の均一性を解析。
船坂 肌はすごくきれいですね。ハリがあってシワも少ない。しっかりお手入れされている肌です。でも見てください、隠れジミが結構あります。
横森 うわぁ見たくない……これが全部これからシミになるだなんて、もう恐怖のどん底。あんなにいろいろやってきたのに、このままシミとシワだらけの梅干しババァになっていくんだ…。
岡部 落ち着いてください(笑)。そんな時こそ美白化粧品の出番。美白化粧品には、メラニンの生成を抑えてシミやそばかすを防ぐ効果が認められた美白有効成分が含まれていますから。
横森 でも若いころのシミは、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)で気づいたら消えていたような。今あるシミも待っていたら消えませんか?
船坂 60代以降にできたシミは、自然に消えることはまずありません。おっしゃる通り若いころはターンオーバーが正常ですから、シミのもとになるメラニンがつくられても、自然に排出されてシミにはなりにくいです。でも年齢を重ねるとターンオーバーが遅れがちになって、メラニンが肌に蓄積されてしまいます。そのうえ、紫外線で肌細胞の遺伝子が傷ついてしまっていますから、傷がついた遺伝子が暴走してメラニンをつくり続けてしまうのです。
横森 自然に消えないとなると、岡部さんのおっしゃるように美白化粧品に頼るしかなさそうですね。でも前に美白化粧品を使ったときは、かえってシミが濃くなった気がして使うのを止めてしまったんです。
岡部 美白化粧品はシミにだけ効くわけではありませんから、肌全体がトーンアップしたせいでシミが目立つようになったのかもしれません。続けて使えばシミにも変化が現れていたはず。
船坂 美白化粧品は、商品によって配合されている美白成分が違います。よく使われるのはコウジ酸やトラネキサム酸で、どちらもメラニンの生成を抑えます。それからビタミンC(ビタミンC誘導体)。抗酸化作用でメラニンの還元を促して、シミを目立たなくする働きがあります。抗酸化作用でいえば、ビタミンEも優秀。肌荒れ防止効果がありながら、美肌効果も高いです。
岡部 肌荒れをケアするグリチルリチン酸も、古くからある成分ですが私はおすすめ。炎症を抑えてシミができにくくなります。グリチルリチン酸の中には、肌荒れと美白どちらの効果も認められたものもあるんですよ。
スロワージュ読者に聞きました!
※回答者数=2,899名(2024年3月にメールでアンケートを実施)/複数回答可
Q1. 紫外線トラブルで
気になることは?
やはり圧倒的多数が気になっていたのは、シミにまつわるトラブルでした。シワも3位にランクイン。
Q2. どんな紫外線対策を
していますか?
80%以上の方が日焼け止めを塗っているという結果に。日傘や帽子と併用の方も多いようです。
左頬にできてしまった大きなシミを
何とかしたいです。でもレーザーで
取るのはちょっと怖くて。――横森さん
横森 この左頬にある大きなシミ、50代に入ったころ急にポーンとできました。結構大きくて目立つので、気になっています。
船坂 これは紫外線の影響もあるけれど、いわゆる年齢によるシミ。多分これから紫外線を浴びると、もっと濃くなります。こういうシミにはレーザー治療が向いていますよ。
横森 でも、跡になってかえって目立ったりしないのか心配で、なかなか一歩を踏み出せません。
岡部 美白化粧品も使いつつ、気になるなら医療の力も借りるのがいいですよ。美容界では、化粧品と美容医療の共存はもはやスタンダード。ただし、腕のいいところに行かないとですけどね。船坂先生みたいな(笑)。
60代患者のシミ治療の例
(船坂先生提供)
シミはレーザーで除去し、その後も定期的にレーザーを照射。4年間紫外線カット、美白、保湿を徹底した結果、顔全体に透明感が出てきた。
船坂 私の病院には80代の方もシミを取りにいらっしゃいます。最近は歳を重ねてもきれいにしていたいという方が多いんです。80代でもレーザーを当てればシミはちゃんと取れますよ。それを見て、お孫さんもシミを取りたいっていらっしゃいました。
横森 私もこのままはイヤだな……。レーザー、受けてみようかしら。
船坂 レーザー治療にはシワも改善できるレーザートーニングもありますし、薄いシミであればピーリングでも取ることができます。治療法はいろいろ選択肢がありますから、専門家に相談するのがいいですね。とはいえ、まずはできることをきちんとやるということも大切。シミ対策の基本の3本柱は、紫外線カット、美白、保湿です。
スロワージュ読者に聞きました!!
※回答者数=2,899名(2024年3月にメールでアンケートを実施)
美容皮膚科でシミ取りをしたことはありますか?
岡部 そうそう、保湿はシミを防ぐためにも本当に重要なんですよ。肌が乾燥しているとバリア機能が落ちて、シミができやすくなるんです。特に年齢を重ねると油分が不足しがちになりますから、保湿クリームなどでしっかり補ってあげてくださいね。
横森 といっても、世の中にはものすごい数の日焼け止めや化粧品があふれていますよね。正直どうやって選べばいいのか迷います。成分表の文字は細かくて老眼でよく見えないし(笑)。
岡部 日焼け止めに関しては、使い心地のよさがとても重要。使っていて気持ちがよくないと、毎日使う気になりませんし、習慣になりにくいですから。最近では下地にもファンデにも日焼け止め効果がついていますが、重ねてつけても効果が強まるわけではありません。あれこれ毎日使うのも大変ですし、肌に負担がかかってしまうこともあるので、1つUVカットのものがあればいい。意外と使いやすいのがパウダータイプの日焼け止めです。日中つけ直すのも簡単ですし、特に年齢を重ねた肌は、パウダーが粗を隠してきれいにも見せてくれますよ。
横森 私、外出する時はSPF50の日焼け止めを使っていますが、家ではSPF30のものを使っています。自宅の仕事部屋の机が窓に向けて置いてあるので心配で。やっぱりSPFは、低い方が肌に優しいんでしょうか。
岡部 家の中でもしっかり使っているとはさすがですね。SPFの数値ですが、最近のものはよく研究されていて、数値が高いからといって肌への負担が大きくなることはあまりないので、そこまで気にしなくて大丈夫です。
船坂 紫外線を防ぐ成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があるのはご存知ですか? 紫外線吸収剤は紫外線を吸収して熱や赤外線に変化させて放出。一方紫外線散乱剤は、紫外線を反射・散乱させて肌を紫外線から守ります。紫外線吸収剤は、人によっては炎症を起こすことがあるので、自分の肌に合ったものを選ぶようにしてください。
スロワージュ読者に聞きました!!
Q1. 紫外線吸収剤と
紫外線散乱剤の
違いをご存知ですか?
Q2. 日焼け止めを選ぶ基準は?
SPFは7割以上の方がチェック。半数近くの方が肌への優しさも重要視しています。
岡部 それから当たり前ですが、日焼け止めでも化粧品でも、安心して使えるものを選ぶこと。
横森 安心できるもの。簡単なようで、どう判断すればいいのか難しいですね。
岡部 要するに、ブランドとして信頼できるのかっていうところだよね。きちんと研究して、信念をもって開発しているのかとか。スロワージュみたいに、1ヵ月使ってみて肌に合わなかったら返品を受け付けてくれるっていうのは安心感がある。自分自身で〝これはいい〞って納得して使うことは、案外大切なんですよ。
横森 信じるものは救われる、ですね。
船坂 あとは、いくつになっても諦めないこと。レーザーなどの美容医療だけでなく、お手入れも真摯に続けていれば肌は変わっていきますから。