通販生活の一話だけ観て2025春ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

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1週目から5本の新ドラマがスタート。やや不評だったと言われる前期の朝の連ドラ『おむすび』ですが、はたして『あんぱん』は?

採点表

相田 影山 田幸
あんぱん (NHK) 1 2.5 3
しあわせは食べて寝て待て (NHK) 0.5 2 3
対岸の家事~これが、私の生きる道!~ (TBS) 1.5 3 2.5
地震のあとで (NHK) 2 1.5 3
いつか、ヒーロー (ABC、テレ朝) 0.5 1 1.5
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    地震のあとで

    NHK 土 22:00~

    岡田将生は作品のど真ん中にいても、どこか他人事のように「傍観」している風情が魅力だが、本作は「岡田将生批評」としては見事な成功例だと思う。

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    対岸の家事~これが、私の生きる道!~

    TBS 火 22:00~

    多部未華子にハズレなし。「私の家政夫ナギサさん」以来となるTBS火曜22時枠ドラマの主演作も間違いないスタート。2度目の共演となる江口のりことの息もピッタリ。「家事は仕事」なのだと改めて感じる。

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    地震のあとで

    NHK 土 22:00~

    阪神・淡路大震災を起点とした30年間を、震災・災厄から距離のある人々に焦点をあて、不安や恐れがつながっていく共振性を抽象的かつ寓話的な村上春樹原作を用いて連続ドラマの形式で描く異色作。NHKにしかできない挑戦。

ひとこと批評

月-金

『アンパンマン』作者のやなせたかしさん夫婦の物語

あんぱん

NHK総合 8時
出演

今田美桜、北村匠海、加瀬亮

  • 相田

    1 のびやかな雰囲気で(束の間の)豪華キャストだが、子役パートは凡庸でした。
  • 影山

    2.5 前作「おむすび」の不完全燃焼を払拭するかのような、理想的滑り出しに期待高まる。
  • 田幸

    3 やなせたかしの詩やアンパンマンの原点、想起させるキャラを用いた作劇が巧み。子役◎。

団地暮らしと薬膳料理で心身温まる“しあわせ”

しあわせは食べて寝て待て

NHK総合 22時
出演

桜井ユキ、宮沢氷魚、加賀まりこ

  • 相田

    0.5 マスクしたりしなかったりの主人公。甘い描写で都合よく展開。躓きまくり。
  • 影山

    2 桜井ユキ再生へのキーワードが「薬膳」。加賀まりこ、宮沢氷魚との組み合せが効果的。
  • 田幸

    3 水凪トリ原作、桑原亮子脚本、桜井ユキ主演、飯島奈美の料理と、全方位から信頼できる。

育児と家事に奮闘する専業主婦の人生応援ドラマ

対岸の家事~これが、私の生きる道!~

TBS系 22時
出演

多部未華子、江口のりこ、ディーン・フジオカ

  • 相田

    1.5 ごくごく普通のドラマ。多部未華子ならではの明るい気丈さで美味しくいただける。
  • 影山

    3 多部未華子と江口のりこの掛け合いは迫力十分。テーマ性の魅力もあり大いに期待。
  • 田幸

    2.5 専業ママの孤独と専業ママを羨み、見下すワーママの分断がリアル。分断解消の道に期待。

村上春樹原作、 阪神・淡路大震災からの30年を描く

地震のあとで

NHK総合 22時
出演

岡田将生、佐藤浩市、橋本愛

  • 相田

    2 村上春樹原作。全て想定内で既視感バリバリだが、岡田将生がただ素晴らしい。
  • 影山

    1.5 村上春樹が紡ぐ世界観を映像化。様々な解釈が可能な物語に不思議な魅力を感じた。
  • 田幸

    3 村上春樹作品の読後感そのもののような、感じる・考える余白と余韻を持つ映像が出色。

全てを失ったアラフィフ男が腐った大人を叩きのめす

いつか、ヒーロー

ABCテレビ、テレビ朝日系 22時15分
出演

桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねる

  • 相田

    0.5 野心作ではある。が、一体どういうスタンスで観ればいいのか不明な復讐もの。
  • 影山

    1 桐谷健太の渾身の演技が伝わってきた。ただ、観る側に心の準備が必要な初回だった。
  • 田幸

    1.5 重すぎる鬱展開の中にホラー、ギャグテイストもあり、観方に戸惑う。桐谷健太が熱演。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
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  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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