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「もう骨折したくないんです。何をすればいいですか?」── 2年前に骨盤骨折を経験した長野さん。以来、カルシウムを積極的に摂取するなど骨の健康に気を配っていますが、不安はなかなか消えません。

長野智子さん

ながの●ともこ キャスター・ジャーナリスト。85年フジテレビ入社。95年よりフリー。報道番組のキャスターを経て、自らも国内外の現場へ取材に出るかたわら、国連UNHCR協会理事も務める。

伊藤薫子先生

いとう●かおるこ 日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。年間1千人以上の骨粗しょう症患者を診察。21年、東京・帝国ホテル内で「女性のための整形外科かおるこHappyクリニック」を開院。

女性は閉経後に骨密度が下がりやすい。

長野
2年前に骨盤骨折してしまい、1週間まったく動くこともできなくて大変でした。60歳まで「怪我なし病気なし」で生きてきたのに……。年齢で骨は弱くなるのでしょうか?
伊藤
女性はとくに閉経後に骨密度が下がりやすいです。骨は常に「作る」と「壊す」をくり返して新陳代謝を行なっていますが、この「作る」と「壊す」のバランスをとっているエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が、閉経後に激減してしまうのです。
長野
そうか、「作る」が「壊す」より少なくなってしまうと、当然、骨密度も下がりますね。
伊藤
50代以上の女性の4人に1人が骨粗しょう症になると言われています。
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植木鉢を持ち上げただけで圧迫骨折に。

伊藤
骨密度が下がると、たとえばベランダの植木鉢を移動させるために屈んで持ち上げただけで、腰椎を圧迫骨折することがあります。
長野
圧迫っていうくらいだから折れるというよりペシャンコになる感じですか?
伊藤
腰の上あたりの腰椎がつぶれてしまいます。1ヵ所骨折すると背中をまっすぐにして立てなくなり、腰椎にさらに負担がかかって2ヵ所、3ヵ所と連鎖する「ドミノ骨折」が起こりやすくなります。
そうなればますます背中が丸まってしまい、座っていても飲み込みが悪くなって誤嚥性肺炎になる危険性もあります。
また、骨密度が下がると見た目にも関係していることもわかっています。足腰の骨よりも先に頭蓋骨がやせてくるんです。
長野
え、頭蓋骨⁉ どうなるんですか?
伊藤
頭蓋骨がやせると、目や鼻などのくぼみが大きくなりあごが小さくなって、目尻のシワやほうれい線、あごの皮膚のたるみの原因になります。

1日15分の日光浴で骨は強くなる。

長野
うーん、ますます不安になってきました。骨密度をどうにかしたいのですが、有効な方法はありますか?
伊藤
「骨活」に取り組むことをおすすめします。骨密度検査で自分の骨の状態を知ることからはじめて、食生活の改善や日頃の運動など生活習慣を整えることで、何歳からでも骨は強くすることができます。
軽めの運動や、日光浴が有効です。皮膚に太陽光が当たることで、骨にカルシウムを定着させるときに欠かせないビタミンDが体内で合成されます。15分日光を浴びれば1日に必要なビタミンDの8割を生成できると言われています。
長野
日光を浴びるなら、ウォーキングしながらでもできますね。
伊藤
ウォーキングは骨にある程度の負荷をかけることができますし、日光浴もできる。一石二鳥の骨活です。
もちろんカルシウムの摂取は何よりも大事。サプリよりも食品から摂ることをおすすめしています。私は、母の故郷、山口県から取り寄せた片口いわしのいりこでお味噌汁の出汁を取って、入れたままにしていただいているんです。
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「90歳の理想の私」をイメージする。

長野
運動に食生活――カルシウム不足の危機意識をしっかり持たないと続かなそうですね。カルシウムについては、食事をしっかり食べますし、『薄焼いわし』を多いときは10枚くらい食べているから大丈夫じゃないかな(笑)。それに日光を浴びながら川沿いをウォーキングしています。ただ歩くだけじゃなくて、土手に階段があればその都度、上り下りしているんです。
伊藤
お話しをうかがう限りカルシウムは大丈夫そうですし、ウォーキングで骨に刺激を与えることは、骨を「作る」ための細胞が活性化しますから、階段の上り下りまでされているのは理想的です。日焼けが気になるようでしたら手だけでも肌を出していれば日光浴になりますよ。
長野
よかった!「食生活」も「運動」も合格ですね。
伊藤
患者さんには「〝90歳の理想の私〟を思い描いてください」とアドバイスをしています。「気軽に駅前へ買い物に行ける」「階段を上り下りができる」「犬の散歩に行ける」などなんでもいいです。90歳の時に思い描いた姿に近づけるように、いまからでも骨活してほしいですね。
長野
私の場合は「夫とふたりで諸外国を住んで回る」ですね。ひとつの国に3ヵ月くらいずつ。
伊藤
カルシウムを十分に摂ってウォーキングを続ければ、きっとできます。
長野
これからも骨活、がんばります!

伊藤薫子先生おすすめの
骨密度を維持・向上させる〝骨活〟

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①骨密度検査を受ける。

骨の状態を知ることが骨活の第一歩。最新のDXA法検査だと費用は3~5千円ほど。検査は数分で終わります。

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②食生活を改善する。

カルシウムの摂取量は、厚生労働省の推奨だと女性の50代以降で600mg台ですが、骨活をするなら800㎎を目指してほしいです。吸収率を上げるビタミンDも積極的に摂りましょう。

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③運動をする。

ウォーキングをおすすめします。骨にある程度の負荷がかかり、無理なく続けられ、日光浴にもなります。週に2~3回、4~8千歩程度で十分です。

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④生活習慣を整える。

無理なダイエットや喫煙はNG。アルコールやカフェインは、摂ると尿と一緒にカルシウムが排出されるので、過度に飲んでいる人は控えましょう。1日でお酒は3杯、コーヒーは5杯までが目安です。

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