齢を重ねるほど、片づける力はなくなります。
「いつか」やろうではなく、「いま」始めましょう。
教えてくれる人
一般社団法人生前整理普及協会代表理事
大津たまみさん
片づけや清掃の現場経験は1万件以上にも及ぶ。著書に『「生前整理」で幸せな老いじたく』(PHP研究所)など。
娘に「家に物が多すぎる」と言われました。まとめて片づける時間もないし、何から始めればいいのか…。(75歳・主婦)
片づけの時間を45分と決め、1日のスケジュールに入れて習慣化してください。
片づけに必要な力は4つあります。「決断力」「分別力」「管理力」「体力」です。しかし、年齢を重ねるにつれてどの力も低下していきます。ですから、まずは片づけの時間を1日3回の食事と同じように、「当り前にやること」として毎日のスケジュールに入れましょう。
時間は45分。「短すぎるのでは?」と思う人もいるでしょう。でも私が現場で見てきた限り、高齢者は45分以上片づけをすると、腰を痛めたり、腕が上がらなくなったり、体調を崩してしまうことが多いです。毎日45分でも半年、1年と続ければ必ず整理できますから、片づけを習慣化することから始めてください。
時間を確保したら、次は「場所決め」です。最初は自分で判断できる場所から片づけてください。家族との共有スペースから行なうと、あとで「なぜ勝手に捨てた」と言われ、揉める原因になります。
私のおすすめは家の間取り図を書き、終わった場所に印をつけていく方法です(下図)。こうすると達成感が生まれ、片づけを続けるモチベーションにもつながります。
片づけが終わった場所に印をつけていくことで、達成感が生まれる。
部屋を決めたら「大きな物」から片づけることを心がけましょう。家族の人数分以上の布団や座布団、使っていない婚礼家具の箪笥などありませんか? 大きな物が片づくと、広い空間ができます。高齢者にとっては部屋で転倒などしない「安全な空間づくり」も大切です。