齢を重ねるほど、片づける力はなくなります。
「いつか」やろうではなく、「いま」始めましょう。
教えてくれる人
一般社団法人生前整理普及協会代表理事
大津たまみさん
片づけや清掃の現場経験は1万件以上にも及ぶ。著書に『「生前整理」で幸せな老いじたく』(PHP研究所)など。
いざ片づけを始めたら捨てる決断がなかなかできず、結局、物が減りません。(68歳・主婦)
「いる・いらない」の2分類ではなく、「いる・いらない・迷い・移動」の4つに分けましょう。
片づけは決断の連続です。常に「いる・いらない」を迫られると、私の経験上、人は2つの行動に陥ります。
1つは、質問者のように「一応とっておこう」と、ほとんどの物を「いる」に分けてしまうパターン。これだと本当に必要な物が明確になりません。
もう1つは、片づけているうちに考えるのが面倒になり、「あれもこれもいらない」と、どんどん捨ててしまうパターン。この場合、きれいになった空間を見て「本当に捨ててよかったのか」と後悔します。すると、物を捨てるのが怖くなり、再び物を溜めてしまうことになります。
この2つの行動を避けるために私が考えたのが「いる・いらない・迷い・移動」の4分類です。
ブルーシートを4分割し、「いる・いらない・迷い・移動」に当てはまる物を置いていく。
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「いる」…いま使っている物と将来使うことがはっきりしている物は「いる」に分類します。
気をつけていただきたいのは「使っている物」と「使える物」は違うということです。例えば溜め込んだ未使用のタオル。使える物ですが、いますぐに使わないのであれば「いる」には分類しないようにしましょう。 -
「いらない」…いま使っていなくて、今後も使う目的がはっきりしていない物です。
ただ、使わないからといって思い出の物まで「いらない」に分類する必要はありません。例えば亡くなった親からもらった万年筆。書けなくなっていたとしても、簡単には捨てられないですよね。この場合は「迷い」か「移動」に分類します。 - 「迷い」…思い出として残すべきか、手放すべきか、判断に困ったらここに分類します。判断の目安は「8秒」。現場でいろいろなお客様を見ましたが、皆さん、8秒以上悩んでも答えは変わりません。「迷い」に分類した物は、空き箱でも紙袋でもいいのでひとまとめにしておき、半年後の日付を書きましょう。半年後に見返すと、「なぜこれを迷っていたのだろう」と気づきます。毎日片づけを続けることで「決断力」が鍛えられるのです。そうしたら、あらためて「いらない」に分類し、手放してください。
- 「移動」…思い出の物として残すと決めたら「移動」に分けます。なぜ思い出の物が「移動」かというと、いま使っている物と明確に分けるためです。保管する場所を押入や納戸など1ヵ所に決めて移しましょう。