人生決算書の作り方

身の回りの決算

齢を重ねるほど、片づける力はなくなります。
「いつか」やろうではなく、「いま」始めましょう。

教えてくれる人

一般社団法人生前整理普及協会代表理事

大津たまみさん

片づけや清掃の現場経験は1万件以上にも及ぶ。著書に『「生前整理」で幸せな老いじたく』(PHP研究所)など。

Q3

親や子どもからもらった思い出の物は大切なので、すべてとっておきたいけど・・・。(72歳・主婦)

A

いくら思い出の物とはいえ、全部残すのではなく「みかん箱」サイズに収めましょう。

 思い出の物だからといって、すべてを手元に置いておくわけにはいきません。すべてをそのままの状態にしておくとどうなるか。あなたが亡くなったあと、家族が「どれを残しておけばいいのか」と、困ることになります。
 以前、私が担当したお客様の中に、両親や祖父母、さらにその先のご先祖の思い出の物をすべて収納するために、家のスペースでは間に合わず、コンテナハウスを建てた方がいらっしゃいました。極端なケースではありますが、誰も使わなくなった物を保管するためだけに、有効に使えるスペースを割くのはもったいないと思います。
 思い出の物を収めるスペースとして、私がおすすめしているのが「みかん箱」サイズです。「それだと小さすぎる」と感じる人もいるかもしれません。でも実はこのサイズ、将来施設に入る時に持って行ける量であり、遺品になった時に家族が収納場所に困らず大切にできる量なのです。
 思い出の物がみかん箱サイズにまとまっていると、葬儀が終わったあと、形見分けが非常にスムーズに進みます。また、遺された家族による故人の身の回りの片づけもラクです。家族の手間を減らすためにも、元気なうちにまとめておきましょう。

思い出の物を収納するのは「特別な箱」

「みかん箱サイズに収まらない物はどうすればいいですか」とよく聞かれます。収まらないからといって捨てないでください。大切なのは箱のサイズより思い出です。ただ、量を決めないと人はいくらでも残してしまうので、自分なりの箱のサイズを決めて残すことが重要です。
 そもそも愛用していたギターなど箱より大きい物もあるので、その場合は箱のそばに置いて保管してください。
 みかん箱サイズだからといって、ダンボールのみかん箱をそのまま使ってはいけません。大切な物を入れる「思い出箱」ですから、紙の箱にお気に入りのラッピングペーパーを貼ったり、布で覆ったりして、「特別な箱」に仕立てましょう。
 箱に物を入れる時は、あとで見た時に何が入っているかひと目でわかるようにしてください。そのためには積み重ねるのではなく、並べて入れること。すっきり収納でき、取り出しやすくもなります。

「思い出箱」のサイズの目安は、縦33cm×横37cm×高さ24cm。
両手で抱えられるくらいがちょうどいい。