人生決算書の作り方

お金の決算

「財産なんてわが家にはない」―― その油断が
あなたが亡くなったあと、家族が揉める原因になるかも…。

教えてくれる人

司法書士法人はやみず総合事務所代表

速水陶冶さん

主に成年後見や家族信託の分野で、高齢者の財産管理に携わっている。著書に『親が認知症になる前に読むお金の本』(サンエイ新書)。

Q1

私が亡くなったあと、銀行口座はどうなりますか?(79歳・男性)

A

たとえ家族でもお金の出し入れはできません。口座が複数ある場合は、3つに絞りましょう。

 銀行はあなたが亡くなったことがわかると、すぐに口座を凍結します。
 凍結する理由は2つ。1つは亡くなった時点での財産を確定させるため。もう1つは家族が勝手に預貯金を引き出すのを防ぐためです。
 凍結された口座の解約や名義変更をするためには、「故人と相続人それぞれの戸籍謄本」「相続人の印鑑証明書」といった書類を集めなければなりません。
 これらの書類を集めるだけでも大変なのに、銀行に書類を提出してから実際に口座の解約や名義変更が行なわれるまでに1ヵ月程度かかる場合もあります。
 しかもこの手続きは、銀行ごとに発生します。ですから、もしあなたが複数の銀行に口座を持っていると、その口座の数だけ、家族が手続きをしなければなりません。元気なうちに、多くても3つまでに絞っておきましょう。
 定期預金も同様の手続きが必要です。しかも現在の金利は平均0.01~0.02%程度。普通預金と違いはありません。口座を減らすためにも定期預金は解約し、普通預金の口座に移すことをおすすめします。
 ただ、契約の方法や満期までの期間によって、満期前解約をするのか、継続するのかが変わってきますので、表で確認してみてください。

定期預金解約へのステップ