人生決算書の作り方

介護の決算

自分や家族だけで解決しようとせず、
保険やサービスを積極的に利用しましょう。

教えてくれる人

介護・暮らしジャーナリスト

太田差惠子さん

長年、親子間の介護を取材。老後のお金や高齢者住宅にも詳しい。今年3月『子どもに迷惑をかけない・かけられない! 60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)を上梓。

Q3

子どもが遠方に暮しているので、老後の面倒は望めません。施設に入居したいのですが種類が多くて…。(78歳・主婦)

A

現在の心身の状況によって入れる施設が異なります。介護内容、費用など、必ず見学をして確認をしましょう。

 高齢者施設を利用する際、大切なのは事前の情報収集です。子どもが遠方にいる場合でも、情報を集めてもらうことはできます。どこで(場所)、どのようなケア(介護)を、いくらで(費用)望むかなど、子どもと共有したうえで調べてもらいましょう。
 また、あなたが希望する施設が認知症に対応できるか否か、確認しておくことも大切です(下表参照)。

介護型施設の種類と入居目安
『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社・太田差惠子著)より引用

 例えば「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の多くは、介護施設ではなく高齢者向けの賃貸住宅です(一部、表の通り「特定施設」の指定を取得しているところは別)。基本的には身の回りのことをできる人を対象としています。
「有料老人ホーム」などにも共通することですが、入居中に認知症や病気で介護の必要度合いが進むと、退去を要請されることもあります。どのような場合に退去しなければいけないのか、契約前に施設に確認しましょう。

費用だけでなく、どんな暮しを望むかを考える

 施設選びで多くの人が第一に検討するのが「特別養護老人ホーム(特養)」です。公的な施設で、所得によって軽減される制度があり、比較的低コストで入居できます。
 場所によっては入居待ちが多いところもありますが、入居は申込み順ではなく、介護度や認知症が重度の人など、必要度合いの高い人が優先されます。
 費用の面で施設を検討するのはもちろんですが、「自分で入れるうちは毎日入浴したい」「部屋で自炊したい」など、施設でどんな暮しをしたいのかもよく考えましょう。有料老人ホームは費用はかかりますが、施設ごとに特色があります。パンフレットだけではわからないので、必ず見学や体験入居をしてください。