自分や家族だけで解決しようとせず、
保険やサービスを積極的に利用しましょう。
教えてくれる人
介護・暮らしジャーナリスト
太田差惠子さん
長年、親子間の介護を取材。老後のお金や高齢者住宅にも詳しい。今年3月『子どもに迷惑をかけない・かけられない! 60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)を上梓。
施設に入ったとしても、延命治療は望みません。子どもたちにはどんなタイミングで伝えれば?(80歳・主婦)
入居する前に自分から切り出してください。施設に入らない場合も、万が一のために「事前指示書」を作成しましょう。
延命治療を望むか望まないかは人それぞれだと思いますが、施設の入居案内に「終の棲家になる」と書いてあっても、医療行為の必要性が高まると退去を勧告されることがあります。ですから、まずは入居前に自らが望む最期を考え、それを踏まえて施設の概要やサービス内容をまとめた「重要事項説明書」をしっかりと確認しましょう。
看取りまで行なう施設の場合、入居時に看取り指針と体制について本人や家族が説明を受けます。そのうえで、最期をどう迎えるかと、救急搬送時の意向を示しておきます。そして、実際に医学的に回復の見込みがないと診断された時点で、あらためて施設で最期を迎えるかどうかの意思を確認されることになります。
万が一のために自らの意思を示しておく
延命治療を望むかどうかは、施設に入る、入らないにかかわらず、自分の頭の中だけにとどめておいてはいけません。認知症や病気が進行し、自分で判断できなくなることがあるからです。その場合、家族が代わりに決めることになり、精神的な負担をかけることになります。
それを防ぐためには、自分がどうしてほしいかを記しておく「事前指示書(リビングウィル)」を作成しましょう。
あなたは延命治療について、次の1~5のうち、どれを希望しますか? さらに、自分で意思を伝えられなくなったら、誰に託したいかも考えてみましょう。
- 生命維持のため最大限の治療を希望する(心臓マッサージ、人工呼吸器など)。
- 最大限の治療までは希望しないが、継続的な栄養補給を希望する(胃ろうなど)。
- 継続的な栄養補給は希望しないが、点滴など水分を維持する程度は希望する。
- 延命治療は行なわず、自然にゆだねる。
- 延命治療は希望しないが、痛みはとってほしい。
この5つの項目に限らず、インターネットで検索するとひな形がいくつも出てくるので、調べてみてください。
事前指示書を作成したら、保険証と一緒にしておくなど、見つけやすいところに入れておきましょう。あなたの意思を受け入れやすくするために日本尊厳死協会に入会したり、公正証書にしたりする方法もあります。