復活!ナンシー関の記憶スケッチアカデミー

Y・A(18歳・学生)

胴体に残るおびただしい縫い目、足元に転がる動物のしかばね、決して幸せな状況には見えないのに明日を見つめるようなポーズで花とたわむれるガイコツ。第一ガイコツじゃないし。何ひとつ意味はわかりませんが妙に心ひかれました。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

U・M(3歳・家事手伝い)

この悲しげな目。Mちゃんは3歳にして「死」というものの本質を知っているのかもしれません。黒く塗りつぶされた眼窩を見つめていると「骸」(むくろ)という言葉さえ思い浮かびます。幼児の作品とは思えぬ深みです。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

E・T(30歳・会社員)

何でしょう。ズラーっと連なった椎骨がボタンに見えるせいでしょうか。派手な衣装を着ているようです。グループサウンズ時代のザ・スパイダースを思わせるミリタリールック。鎖骨が肩章に見えます。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

S・S(54歳)

これはまだ人間です。やせコケてはいますが、おじいさんです。孫から「おじいちゃんがガイコツみたい」なんて言われることもありますが、まだ生きています。意外と病気知らずかも。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

F・C(80歳・主婦)

引っ込みがつかなくなったカメの頭のようでもありますが、首に横スジを浮かせて「ガイコツにだけはならないぞ」と踏んばっているミイラのようでもあります。眉毛の角度と口元のゆがみが絶妙です。ひしひし何かが伝わります。

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消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

T・C(55歳)

ガイコツだというのに、何かホルモンなど好きそうで生臭い感じです。タオルではちまきをしながら、店のスミでギョーザをつまみにホッピーを飲みクダをまくのが日課。殺しても死にそうにない、生命力のあるガイコツです。

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T・Y(65歳・無職)

大胆な作品です。特に頭部を「逆三角形」としたのはこの作品だけです。三角にしただけで、一気に人間の感じが薄れますね。これは魚でしょう。あばら骨の先端に丸いキャップ状のものがついているのも謎です。

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T・T(46歳・主婦)

美人だ不美人だと騒いでも、人間皮一枚下はガイコツ、大差はないなどと言いますが、このガイコツはずば抜けて貧相です。華やかにふち取りを飾って「Welcome」って言われても、貧相は貧相。華やぎません。

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ナンシー関

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W・S(71歳・無職)

絵も文章も非常に達者です 。勉強になりました 。添えられた「ガイコツちょっとイイ話」の中の「何度も火葬には立会ったが」のひとことは、誰にでも言えるものではありません。人生です。

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N・K(31歳・自営業)

これは動きにくそうな骨格です。最悪の場合、両腕がこの位置から上へも下へも動かないという事も考えられます。あっけにとられたような顔をしていますが、それもいたしかたなし、というところでしょうか。

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S・M(28歳・フリーター)

全身小骨。鉄道模型を思いおこさせます。長方形の小片が「骨」なら 、骨どうしをつないでいる線のようなものは何でしょう。切れたら全てバラバラになる、とても重要なものと見受けましたが、大丈夫でしょうか。

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O・S(65歳)

体はまだ何とかわかります。ひじとひざにある黒い丸は、ここから曲りますという関節の印でしょう。胴体の横線はアバラと見ることもできます。しかし、顔は理解不能。あとこの偉そうなポーズも何を意味するのやら。

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B・Y(52歳・主婦)

イギリスパンですか。柔らかそうです。上が丸く下が四角、という形は間違いではありません。ただ目も口も下の四角に入れてしまったのでイギリスパンになってしまいました。ツメが甘い、と言わざるを得ないでしょう。

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I・M(41歳・会社員)

ガイコツとミイラを混同した作品はかなり多かったのですが、これもそのうちのひとつ。すでに標本状になっています。頭の縫い跡や死んでもなお物言いたげなまなざしなど、生前の訳アリな感じを伝えているようです。何があったのでしょう。

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M・K(79歳・無職)

本来、ガイコツはおどろおどろしいモノですが、全体の傾向としてキャラクター化されてかわいいものが多かったのです。そんな中、怖さナンバーワンがこの作品。なんかコワ。右目の空洞がポイント。バランスが悪いのに躍動感があるのも、コワ。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。

M・K(43歳・会社員)

「うやむや」とはこうゆう事を言うのかもしれません。なんてうやむやなんでしょう。自分の体の中の、文字通り骨格を成しているものなのに。これは自分自身をもうやむやにしているということでは 。Mさん、体だけは大事にしてください

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今回のお題「ガイコツ」の総評

ガイコツを頭部だけの「しゃれこうべ」ととらえた人と、全身の「骨格」とした人の二派に分かれました。「しゃれこうべ」派では、絵描き歌で描いてきた作品、海賊船のマークでお馴染みの「ドクロの下に骨のバッテン」も目立ちました。どことなく洋風の作品が多く「しゃれこうべ」と言うより「ドクロ」系の傾向。「骨格」派になると、全身の骨の構造というものが基本的に難易度が高い。特に、骨盤から脚にかけてのデタラメさには、久々に記憶スケッチの醍醐味を見ました。全体的にファンシーでカワイイ作品が多く、もっと「悲」や「 哀」や「怖」が欲しかったです。

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ナンシー関

消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39歳。