T・K(90歳)、
A・M(95歳・無職)、
N・Y(90歳・無職)作
「すばらしき90‘s」と言うべき3点です。T・K作品のこの風通しの良さ。いろんな所がきちんとつながっていない、いやつながないことは年輪のなせる技。片やA・M作品の黒さ。黒く塗りつぶすことにはエネルギーを要します。若い。ロックすら感じます。そしてN・Y作品。わかりません。90年かけなければ解らないことがあるということです。長生きしてみたい、そう思いました。ご長寿が描いた亀、切り取ってお守りに。
E・K(42歳・清掃員)作
しょっぱなからではありますが、亀の条件を何ひとつ持ち合わせていません。ハガキの表に「記憶スケッチ〈亀〉係御中」と書いていなければ私の手元にすら届かなかったかもしれません。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
K・Y(64歳・主婦)作
一切の無駄を削ぎ落とし、亀にすら見えない亀です。しかし、下部に見えるためらい傷のような筆跡。何か描こうか、描くべきなのか、いや否。描かないことの難しさを表している作品です。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
M・J(39歳・自営業)作
うーむ。何だかわかりませんがただひとつ死んでいることは確かでしょう。頭や手足を甲羅に引っ込める間もなく死んじゃいました。不慮の事故でしょう。そう言えば無念な感じもしてきました。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
M・S(69歳・無職)作
亀には平べったいイメージがあります。実際、上へ伸びるとか上がるという動きは見当たりません。せいぜい「もたげる」というところでしょう。そんな中にこの亀の3Dぶり。ありえません。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
Y・T(80歳・無職)作
どこか患ってますかね。甲羅の模様を頭にまで描き込んでしまったせいで、かわいそうなことになっています 。あと、甲羅に対して頭が大きすぎます。中、ギチギチでしょう。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
T・K(47歳・自営業)作
亀はおめでたいものの象徴とされています。縁起がいい。が、この亀は何か人をまがまがしい気持ちにさせます。原因は甲羅に対してあまりに小さい頭と手足と見ました。中、スカスカでしょう。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
M・Y(32歳・バス運転手)作
亀といえば何はなくとも甲羅。重要なだけに全体の亀感を大きく左右します。で、この場合完全に運んでいます。背負ってしまいました。己を守ってくれるどころか、お荷物なわけです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
T・C(77歳・無職)作
大きく開いた穴からにょろりと伸びた首。首の根元から中を覗きこんだら、その漆黒の闇の中に何が見えるのでしょう。いや、そこは決して覗いてはいけないのかもしれません。ちょっと怖い。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
F・K(49歳・主婦)作
寿司似の亀に続き、ぶどう似です。これは甲羅の模様の間違いによるもの。「亀甲」は伝統的な柄でもあるのに、丸のみで挑んでしまった結果がぶどう。1個ずつブチブチとつぶしたくもなります。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
H・K(35歳・無職)作
硬い甲羅はさまざまな外敵から亀をガッチリ保護してくれます。しかしこの甲羅、細いものを使えば隙間からかなりのダメージを与えられます。あと包丁の背でそげば、ボロボロときれいに取れる可能性もあり。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
F・S(11歳・小学5年)作
何が足りなくて、何が余計なのか。見ているとよく解らなくなってきます。どれを頭だとするかで性格判断もできそう。真上と真下以外を頭とした人は、ま、何等かの問題ありでしょう。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
O・Y(70歳・無職)作
甲羅からのぞいた手・足・頭・しっぽと、亀の亀たる条件に何の不足もありません。しかし、この圧倒的な寂しさは何なんでしょう。この亀、歩いても歩いても進まなそうです。泣けてきます。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
S・K(11歳・小学6年)作
ハガキ全体を使って、森羅万象をも描ききろうという大変スケールの大きな作品です。その意欲やあっぱれですが、ただ、そのちょっと色っぽい浴衣姿のような、うなじのあたりが気になります。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
U・Y(27歳・会社員)作
これまたありえません。今年流行のフェイクファー仕様の甲羅ということでしょうか。流行り物ならいいってもんじゃないのよっ、とピーコのチェックも入ります。それより、口から出てるのは何?
今回のお題「亀」の総評
お題が「亀」ということで、今回はいつもに増してご年配の方の作品が目立ちました。甲羅という必須アイテムが比較的描きやすいためか、大きくはずした作品は少なく、簡単なお題だったかなとも思いましたが、そこを救ってくれたのはやはりお年寄りでした。「亀と来られちゃ、黙っておれん」という気概。得意分野であるからこその、自由な解釈、奔放な筆致。これからもよろしくお願いします。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39歳。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。