食の老いるショック
『冷蔵庫に入れたはずの茹でたブロッコリーが1週間後に天袋で見つかる。もちろんすごい臭いでした』
『チョコレート売り場で50%の文字が目に飛び込み思わず近づく。試食しながら「この値段から50%オフ?」と聞いたら「いえ、カカオの量が50%アップです」と言われた』
『小さいサイズの調味料を買うようになった。酒、みりん、マヨネーズ、ケチャップも徳用サイズは重いし使いきれない。でも、飲むお酒の瓶は平気』
『母(81歳)が赤飯を買ってきた次の日、父(76歳)がまた赤飯を買ってきた。母は昨日食べたのにと文句を言ってたのを忘れて次の日、母がまた赤飯を買ってきた』
『鰻のひつまぶし、先日まで“鰻のひまつぶし”だと思っていた。鰻の暇なんてどうやって知ったんだろう? とたしかに不思議ではあったけど』
『日課の缶入りトマトジュースを飲もうと振りながら目をやると、テーブルクロスとエプロンが鮮血で染まっている! 何と缶のタブを開けてから振っていた……』
『夫と二人の食事。久しぶりに話がはずみ…夫はむせて、私は舌をかむ。再び沈黙の食事に戻る』
『ハンバーガーを食べようと注文したが、その大きさまで口が開かなかった』
『“ソウルフード”は韓国の料理のことだと、つい最近まで思っていた。ちなみに私のソウルフードは母が作ってくれたイナゴの佃煮です』
『孫の入学祝のケーキを階段で落として、落としショック!「オメデトウ」の文字はわかるから、ま、いっか』
『娘と遠方のレストランで豪華ランチを予約。節約のため路線バスと高速バスで向かう途中、夫から『入れ歯忘れてるよ』とケイタイが入る。戻ってタクシーと新幹線で出直した。あーあ』
『ガムを噛んでいたら、口の中を噛んでしまった。その後もときどき噛む。口の中もたるんでくるのだろうか』
『美味しいケーキとコーヒーでおやつタイム。「至福のひと時だね」と言ったら妻が「死ぬ気のひと時?」と……』
『ティータイム、間髪いれずに皆一斉にトイレに駆け込む「チィータイム」になった』
『若い時は酸味の強いリンゴの丸かじりが好きだったが、今は柔らかく甘味の強いリンゴを、皮をむいてゆっくり少しずつよく噛んで食べている』
『苦い漢方薬をオブラートに包んで飲んでいる。オブラートが1枚ずつ取れず、2枚3枚とくっついてくる』
『映画鑑賞中、暗闇の中でバッグから一口チョコを出して口に……ん、味がヘン? 旅先のホテルで使わなかったミニ石鹸をもらってバッグに入れたことを思い出す。ごそごそと吐き出した』
『お蕎麦が好きなのに昔のように勢いよくススれない。箸で手繰り寄せながら食べるのが淋しい』
『豆類のおつまみにハマって毎日食べていたら、奥歯が炎症を起こして流動食生活に。硬いものには要注意!』
『同い年の友人にカリフォルニアロール巻のレシピを教えてあげたら、いつの間にか“ロサンゼルス巻”になっていた』
『カリカリのから揚げやバナナオムレツ(お菓子)、脳は欲するのに胃と歯が拒否する』
『年のせいか味覚や嗅覚があまりないので、もしコロナにかかっても判断がつかないのではと心配。そうなると後遺症の心配もないな』
『煎餅は固ければ固いほど良いと思っていたが、今は細かく割って、口の中でやわらかくしてからそーっと噛む』
『飲んだ後の「シメのラーメン」は、もう自分は一生食べないだろうなと思うようになった。シメどころか、ツマミも極端に少なくなった』
『タピオカを一度も食べたことがない』