肌の悩みに合うコスメを選ぶ第一歩は、美容成分について知ること。「でも、カタカナだらけだし、似た成分名が多くてわかりにくい・・・」という読者のために、美容成分ハンターこと竹岡篤史さんが、シミ・くすみに抗ってくれる美容成分を深く、わかりやすく教えてくださいます。
まずは基本のQ&A
Q. 成分表示で何がわかるの?
- A. 化粧品の得意技がわかります。
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全ての化粧品は、成分を外箱か容器に表示する「全成分表示」が法律で義務づけられていて、配合量1%以上は成分の多い順、1%以下は順不同で記すというルールがあります。それぞれの成分の知識を深めておけば、美白が得意なのか、保湿が得意なのかといった、その化粧品の得意技をつかむことができます。
Q. 天然由来成分って何?
- A. 植物の抽出成分や鉱物などの総称です。
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植物の抽出成分や鉱物、発酵物などを組み合わせた成分のことを総称して天然由来成分と呼びます。各メーカーが肌への有用性や安全性を確認した成分のみが化粧品に使われます。原材料の収穫時期や場所によって抽出量が異なり、品質維持に細やかな管理が必要になるため、石油由来成分に比べて高価な傾向にあります。
Q. 配合量が多い方が肌にいいの?
- A. 量だけで判断するのは誤りです。
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配合量が多い「高濃度」処方のほうが効きそうと思うかもしれませんが、高濃度だと肌に負担をかける成分や、1%以下でも十分に効果を発揮する成分もあります。成分の組合せや肌の状態によってもその成分が働く強さは変わりますから、配合量だけを基準に選ばず、保湿成分や防腐剤、乳化剤などのベース成分の種類も確認してください。
Q. 美白成分なら何でもいいの?
- A. 成分によって働きが違います。
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肌に炎症が起こるとメラニンが形成されて、それがターンオーバーで排出されずに肌に蓄積したものがシミになります。美白成分は炎症を抑える、メラニンの生成を抑制する、ターンオーバーを正常化するなど、それぞれ役割もシミへ働きかけるタイミングも違います。効果を高めるには、働きが異なる成分を組合せて使うといいでしょう。
美白有効成分
- ビタミンC誘導体
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[ 化粧品表示名 ]
アスコルビルリン酸Naなど
[ 特長・働き ]
ビタミンCの弱点を、他の分子と再結合させることで改良した成分。皮膚内部でビタミンCに変換されるため、従来よりも効果が期待できる。
美白だけでなく肌に欠かせない栄養素のビタミンCですが、皮膚に浸透しづらく、酸化しやすいのが弱点です。
そこで他の分子と再結合させることで、浸透性や安定性を高めた成分が『ビタミンC誘導体』です。主に肌に浸透すると、肌にある酵素の働きによってビタミンC(アスコルビン酸)に変換されて効果を発揮。合成成分のほか、トウモロコシやジャガイモなどから抽出した成分でつくられた天然由来のものもあります。ビタミンC誘導体は研究や開発が盛んで、たくさんの種類が存在します(下表)。
ビタミンC誘導体には水溶性と脂溶性、その両方の性質を併せ持つ両親媒性のものがあります。働き方は同じですが、種類によって分子サイズも違うため吸収性・持続性が異なり、肌への効果も変わってきます。
一般的に水溶性は短時間で角層に吸収されるため素早く働くのに対して、脂溶性は長時間効果を発揮。両親媒性は浸透性が非常に高く、即効性と持続性にも優れています。
化粧水に配合するのかオイルに配合するのかで選ぶ誘導体を変えるほか、エイジングケアに重点を置きたい場合は肌への浸透力が高い誘導体を選ぶなど、狙いによって処方が変わります。
- ビタミンC
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[ 化粧品表示名 ]
アスコルビン酸
[ 特長・働き ]
強い抗酸化作用をもつ健康や美肌の定番成分。メラニンの生成抑制や、くすみや糖化へのアプローチ、コラーゲン生成の促進など多方面に効果を発揮。
ビタミンC単体を指すことから、ピュアビタミンCともよばれます。空気、熱、光に弱く酸化しやすいためサプリメントを摂取するなどのインナーケアと同時に、スキンケアではスポット的に利用するのがおすすめです。ビタミンA、B、Eを合わせて摂ることで、効果が底上げされます。
- アルブチン
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[ 化粧品表示名 ]
アルブチン
[ 特長・働き ]
メラニンの生成を促す酵素「チロシナーゼ」に働きかけて、メラニンの生成を抑制。シミを作らせないようにする。ベータとアルファの2種類が存在する。
非常に強い美白作用を持つハイドロキノン(下欄)に、グルコース(糖)を結合させることで、安定性と浸透性を高めた成分です。チロシナーゼに直接作用してメラニンの生成を抑制し、シミを防ぎます。ハイドロキノンと比較して作用が穏やかで、炎症や赤みなどの副作用が起きにくく肌へのリスクが少ないのが特長です。天然由来の場合は、トウモロコシなどから抽出した成分で合成されます。
アルブチンにはβ - アルブチンとα - アルブチンがあり、安全性を重視する医薬部外品の有効成分として承認されているのはβ - アルブチン。化粧品では20年以上の使用実績がある美白有効成分の先駆け的存在です。対してα - アルブチンのメラニン生成抑制効果はβ - アルブチンの10倍以上ともいわれますが、作用が強すぎるため美白有効成分としては認められていません。
アルブチンにはできたシミを薄くするほどのパワーはありませんが、新たなシミができるのを防ぐことはできます。今あるシミをケアするには、代謝を促すナイアシンアミド(下欄)などを組み合せて効率よくメラニンを排出するとよいでしょう。
アルブチンは美白だけでなく、抗酸化作用や抗炎症作用などもあるといわれ、シミ予防以外に皮膚のダメージを緩和する効果も期待できます。化粧品だけでなく、サプリメントの配合成分としても利用されています。 - ハイドロキノン
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[ 化粧品表示名 ]
ハイドロキノン
[ 特長・働き ]
メラニンの生成抑制やメラノサイトの働きを弱める。強い還元作用をもつが、炎症や赤み、長期使用では白斑などの副作用が報告されている。
副作用が強く長年医師の管理下でしか使用できませんでしたが、2001年より薬事法が緩和され化粧品にも使用されるようになりました。チロシナーゼを抑制し、メラニンを産生する細胞そのものを消滅させるため、シミを防ぐだけでなく今あるシミにも働きかけます。
- トラネキサム酸
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[ 化粧品表示名 ]
トラネキサム酸
[ 特長・働き ]
肌荒れ改善と美白有効成分として認められている。肝斑の治療薬として使われることも多い。
抗炎症作用があり、風邪薬として使われることもあります。抗炎症の延長線上で赤みやシミ、肝斑やくすみへの効果が期待できます。国内では医薬部外品にのみ配合されます。
- コウジ酸
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[ 化粧品表示名 ]
コウジ酸
[ 特長・働き ]
1988年に承認された美白有効成分。チロシナーゼ活性を阻害し、シミやそばかすを抑制。
杜氏の肌が白く美しいことから研究が始まり、米麹から発見された天然由来の美白有効成分です。活性酸素の働きを抑え、ハリや弾力を再生させる効果も期待できます。
- プラセンタエキス
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[ 化粧品表示名 ]
(加水分解)プラセンタエキスなど
[ 特長・働き ]
動物の胎盤から抽出・精製したエキス。ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類などが含まれる。
基本機能は代謝アップですが、一部のプラセンタにはメラノサイトを抑制する強い機能があるという研究結果も報告されています。生体由来ゆえに未解明な部分が多いのが難点。
- エラグ酸
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[ 化粧品表示名 ]
エラグ酸
[ 特長・働き ]
コウジ酸と同様にチロシナーゼの活性を阻害し、シミやそばかすを抑制する美白有効成分。
植物の苦味や色素の成分であるポリフェノールの一種で、ざくろなどに豊富。化粧品原料としてはマメ科の植物、タラのさやから抽出した合成成分が使われます。
- ナイアシンアミド
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[ 化粧品表示名 ]
ナイアシンアミド
[ 医薬部外品表示名 ]
ニコチン酸アミド
[ 特長・働き ]
水溶性のビタミンで、ビタミンB₃とも呼ばれる。美白とシワ改善、双方への効果が認められている有効成分。
ナイアシンアミドはいわば“なんでも屋さん”。メラニンが表皮細胞へ輸送されるのを阻害してシミを防ぐほか、コラーゲンの産生を促進しハリを出すことによるシワ改善効果も期待できます。注目すべきは表皮の代謝を高める作用です。シミやくすみは、つくられたメラニンが蓄積することであらわれます。つまり、きちんと排出できればシミもくすみも解決できるということ。ナイアシンアミドはメラニンが過剰に蓄積しないように、ターンオーバーを正常化してくれます。作用は穏やかなので、ほかの美白成分と組み合わせると効果的です。
肌荒れケア・鎮静成分
- グリチルレチン酸ステアリル
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[ 化粧品表示名 ]
グリチルレチン酸ステアリル
[ 医薬部外品表示名 ]
グリチルレチン酸ステアリル
[ 特長・働き ]
強い消炎作用があり医薬品では抗炎症剤として用いられる。医薬部外品の有効成分にも承認されており肌荒れや、ニキビ、抜け毛の予防ケアの定番成分。
肌荒れを鎮静するため、開発者がお守りとして入れていることが多い成分です。美白成分は、ときに強く作用しすぎて赤みや色ムラを引き起こしてしまうことがあるため、鎮静作用のあるこれらの成分を入れることで、肌トラブルの回避を狙っています。推奨配合量が0.1%と低いにも関わらず、きちんと効果を発揮してくれるのも開発者から愛される理由でしょう。天然成分としては甘草由来のものが有名です。
- グリチルリチン酸2K
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[ 化粧品表示名 ]
グリチルリチン酸2K
[ 医薬部外品表示名 ]
グリチルリチン酸ジカリウム
[ 特長・働き ]
強い消炎作用があり医薬品では抗炎症剤として用いられる。医薬部外品の有効成分にも承認されており肌荒れや、ニキビ、抜け毛の予防ケアの定番成分。
肌荒れを鎮静するため、開発者がお守りとして入れていることが多い成分です。美白成分は、ときに強く作用しすぎて赤みや色ムラを引き起こしてしまうことがあるため、鎮静作用のあるこれらの成分を入れることで、肌トラブルの回避を狙っています。推奨配合量が0.1%と低いにも関わらず、きちんと効果を発揮してくれるのも開発者から愛される理由でしょう。天然成分としては甘草由来のものが有名です。
- イザヨイバラエキス
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[ 化粧品表示名 ]
イザヨイバラエキス
[ 特長・働き ]
イザヨイバラから抽出された植物エキスの一種。ビタミンCやタンニン、アミノ酸が豊富。保湿効果や美白効果などが期待でき、エイジングケアにも使われる。
上欄のグリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸2Kではカバーしきれない、加齢が原因の炎症にアプローチする成分です。紫外線による赤みや炎症も鎮静します。またセラミドを増やすのを助ける働きがあるため、バリア機能の維持にも役立ちます。
シミ・くすみケアをサポートする成分
- ビタミンE(トコフェロール)
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[ 化粧品表示名 ]
トコフェロール
[ 特長・働き ]
大豆や菜種に含まれる脂溶性のビタミン。黄色〜黄褐色の粘り気のある液体で、アルコールやオイルによく溶ける性質をもつ。強い還元力をもつため抗酸化剤としても配合される。
抗酸化作用により、肌荒れの原因となる過酸化脂質の発生を防ぎます。シワやトラブル改善などの作用も注目されています。また血行促進効果によって、ターンオーバーを促します。ビタミンCと一緒に摂ると抗酸化作用が持続します。
- エクトイン
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[ 化粧品表示名 ]
エクトイン
[ 特長・働き ]
塩湖や砂漠など過酷な環境に住む微生物がもつ環状アミノ酸の一種。保湿力や保護力が高く、肌のバリア機能を整える。コラーゲン生成を促す作用も。
肌の表面が乾燥して、カサつくと光の反射が乱れてくすんでしまうため、透明感ケアには保湿も欠かせません。エクトインは塩湖や砂漠に住む細菌から分泌されるアミノ酸の一種で、紫外線から肌を守りながら、高い保水力で肌に潤いを与えます。
- アスタキサンチン
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[ 化粧品表示名 ]
アスタキサンチン
[ 特長・働き ]
エビやイクラ、カニ、緑藻類などに含まれている赤色の天然色素の一種。β-カロテンの約40倍、ビタミンEの約550倍もの抗酸化力があるといわれる。
構造はビタミンA(βカロテン)に近いですが、機能的にはビタミンEに近い成分。脂質を酸化させ、コラーゲンを分解してしまう活性酸素の一種である一重項酸素を除去します。紫外線ダメージをケアするほか、主にエイジングケアを目的に配合されます。
- グルタチオン
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[ 化粧品表示名 ]
グルタチオン
[ 特長・働き ]
グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸から構成される。強力な抗酸化作用とメラニン生成抑制作用をもつ。主に皮膚や肝臓に多く含まれる。
美容皮膚科などで受けられる“白玉点滴”の主成分としておなじみの成分です。チロシナーゼの活性阻害や、メラニン色素の調整、抗炎症効果などを発揮します。体内で酸化されてしまったビタミンCを還元して生き返らせるため、併用するのがおすすめです。