鰻がどのくらい高たんぱく食品なのかご存じですか?100g当りなんと20.7g、一食分のたんぱく質がこれだけで補えますから、たんぱく質補給が必要な高齢世代には見逃せないはずです。
									
									【3月】浜名湖産/岩本克巳の蒲焼
										「めったに出会えない希少な“雌の鰻”の脂の旨みを味わってください」
									
									 浜名湖、鹿児島、高知四万十、静岡吉田、愛知一色、宮崎……わが国を代表する全国6ヵ所の名産地で養殖した国産鰻を食べ比べできる頒布会です。
 名人が育て、捌き、焼き上げた鰻の味は、産地によってどのくらい変るものか。ぜひ、毎月食べ比べてみてください。
 トップバッターは浜名湖産から。浜名湖で鰻の養殖が始まったのは明治4年ごろと言われています。いわば、わが国鰻養殖の発祥の地。
 この浜名湖産の希少な“雌の鰻”にこだわっている岩本克巳名人の蒲焼からご紹介します。
										「成長するまで雌雄の別はありませんが、養殖鰻の場合は9割が雄になると言われています。残りの1割の雌の鰻は雄よりも体が大きくて、身も皮も柔らかい。サシがたっぷり入った脂の旨みをぜひ味わってください」
 炭火の遠赤外線効果を再現した約800℃の高温「遠赤バーナー」で白焼にしてから、14分ふっくらと蒸しあげて、タレにくぐらせて焼き上げます。
									
									【4月】鹿児島産/松元博明の蒲焼
										「1年かけて手塩に育てたヒネ仔の柔らかい肉質と脂のりをご賞味ください」
									
									 養殖鰻の生産量日本一を誇る鹿児島の松元博明さんは、知る人ぞ知る養殖の名人です。
 1年未満で出荷される鰻を「新仔」と呼び、1年以上育てた鰻を「ヒネ仔」と呼びます。ヒネ仔は新仔に比べて、皮や身が硬い特長がありますが、松元名人のヒネ仔は「柔らかい肉質」と「脂のりの良さ」が自慢です。
										「毎日、生け簀の鰻の色つやをチェックして、水温やエサの微調整をしています。冬場に仕入れた鰻の稚魚を、良質な飼料に漢方薬を混ぜた特製エサを1日2回与えてじっくり育てます。
 生け簀は身の成長具合に合せて大きさを5回変えて、鰻にかかるストレスを極限まで減らしているので、ヒネ仔であっても肉質はほどよく柔らかく、脂がたっぷりのって肥った鰻に育ちます」
 焼きを担当するのは、和歌山のしいば水産(1981年創業)。両面を強火で一気に焼き上げ蒸したあと、タレに
										くぐらせて仕上げていきます。
									【5月】高知四万十産/大前達也の塩鰻
										「四万十川の清流でくさみ抜きした身をぜひ味わってください」
									
									「稚魚から育てた鰻を水揚げしてすぐに、四万十川の伏流水で2、3日泳がせて泥抜きします。生臭さが抜けた鰻本来の旨みを存分に堪能していただきたいので、この塩鰻を考案しました」
 捌いた鰻を生のまま、高知県黒潮町の自然塩でつくった塩水に浸してから、蒸さずに、ガス火でじっくり焼き上げます。
 身の香ばしさと程よい塩味、ジュワッと口に広がる脂の旨みが日本酒と相性抜群です。白ワインにも合いますよ。
									
									【6月】静岡吉田産/中野翔平の蒲焼
										「南アルプスを源流にする地下水を贅沢に使い育て上げました」
									
									 続いて、第4回を担当するのは、昭和40年設立の静岡うなぎ漁業協同組合です。
										「主に南アルプスを源流にする大井川系の地下水を使用して稚魚を育て、年間平均18℃の冷水で捌く直前まで泥抜きをして臭みを取り鮮度を保ちます。
 氷で鰻の身を締めると捌きやすい面がありますが、焼き上がりが硬くなりやすいので、うちでは元気なままの鰻を手捌きしています。手間はかかりますが鮮度が違うので、ふっくら焼き上がります」
									
									【7月】愛知一色産/福田和則の白焼
										「限りなく天然に近づけた人工池で自然の鰻のように育てました」
									
									 一色うなぎ漁業協同組合は、限りなく天然の環境に近づけるために、一級水系の矢作川の表流水を引き込み泥や小石を敷き詰めた人工池で鰻を生育しています。
										「ストレスをかけずにのびのび育った鰻は皮が柔らかく、身にしっかり脂がのります。この天然に近い鰻の身を存分に味わっていただきたいので、蒸さずに高温のガス火で一気に焼き上げた白焼きでお届けします」
									
									【8月】宮崎産/田原雅憲の蒲焼
										「脂が乗り切った鰻だけを選んで関西風に焼き上げます」
									
									 最終回は炭火焼きによる手焼きにこだわってきた、田原雅憲名人の関西風蒲焼です。鰻は宮崎の契約養鰻場で育った背中に青みがあり、俵型の胴体で脂がのり切った鰻だけを厳選しています。
										「関西風ですから蒸しは入れませんが、炭火でじっくり火を入れていきながら、『こなし』(身同士をこすり合わせて身を柔らかくする技法)をして焼き上げるので、身がふっくら焼き上がるんです」