食で夏バテを撃退 にんにくとビタミンB₁は疲れやだるさ対策に最良の組み合わせ。元気の素・ビタミンB₁の吸収率が約10倍になるよ。食で夏バテを撃退 にんにくとビタミンB₁は疲れやだるさ対策に最良の組み合わせ。元気の素・ビタミンB₁の吸収率が約10倍になるよ。

にんにくの匂い成分「アリシン」は、ビタミンB₁と結合すると「アリチアミン」に変わります。アリチアミンは、ビタミンB₁の力を高め、元気を持続させてくれます。にんにくと、ビタミンB₁が豊富な白ごまや豚肉、豆腐などを合わせて食べて夏バテを撃退しましょう。

教える人村上祥子先生(福岡女子大学客員教授)


村上祥子先生プロフィール

村上祥子先生

むらかみ・さちこ●公立大学法人福岡女子大学客員教授、管理栄養士、料理研究家。『にんにくスーパーレシピ』(JTBパブリッシング)など著書多数。

短期の「疲労回復」から長期の「活性持続」までのパワーをつくり出すアリシンの威力。

 わが国最古の医学書『医心方』(984年)に、にんにくは疲労回復食材の定番として早くも登場しています。にんにくの疲れやだるさを軽減してくれるパワーは、にんにく特有のにおい成分「アリシン」から生まれてくることをご存じの読者も多いと思いますが、一応おさらいをしておきましょう。
「アリシン」は生のにんにくの状態では、まだ存在していません。つぶしたり、炒めたりしてにんにくの細胞が傷つくことで、細胞内のアリインというアミノ酸が、アリイナーゼという酵素と反応して、「アリシン」に変化します。
 アリシンには血液の循環を促す働きがあります。体内で血液の循環がよくなれば、栄養や酸素が全身に行きわたり、疲れやだるさの軽減につながります。
 アリシンのパワーは疲労回復だけにとどまりません。「ビタミンB₁」の吸収力を高める働きもあります。ビタミンB₁は、白米などから摂取した糖質を体を動かすエネルギーに変えてくれる、元気の素です。
 しかし、水溶性ビタミンなので小腸での吸収率が悪く、体内に入っても尿として排出されやすいという弱点があります。特に高齢者は、吸収率も体内保持率も若い人に比べて低いことがわかっています。

1日のビタミンB₁の推奨量と実際の摂取量

国民健康・栄養調査(平成30年)、日本人の食事摂取基準(2015年版)をもとに編集部で作成。

 そこで再びアリシンが活躍します。アリシンは、ビタミンB₁と結合すると「アリチアミン」という活性持続型物質に生れ変るのです(下写真)。

元気回復物質アリシンはビタミンB₁と結びつくと
元気持続物質アリチアミンに変化する。

 アリチアミンは、ビタミンB₁の弱点(尿として排出されやすい)を補ってくれる頼もしい成分です。脂溶性なので水に溶けにくく、小腸での吸収率も優れています。その吸収率はビタミンB₁だけを摂取したときの約10倍とも言われています。吸収されたあとも血液の中に蓄積されるので、長時間にわたって糖質をエネルギーに変換し、元気を持続させてくれます。
 アリチアミンをつくるために、ぜひアリシンとビタミンB₁を一緒に摂ることを心がけてください。にんにくを食べるときは、ビタミンB₁が豊富な豚肉、うなぎ、豆腐などを合せて食べることをおすすめします。

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