カルシウムで
風邪に負けない体になる!?
「最近、風邪引きやすいんだよな……」
それならカルシウムを積極的に摂るといいかもしれません。
カルシウムは骨をつくり、
骨は免疫力を高めてくれるそうです。
教えてくれる人
矢澤一良先生
やざわ・かずなが●早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門部門長。農学博士。湘南予防医科学研究所所長。ライフワークは「食による予防医学」。『白血球活性化物質と健康 免疫乳酸菌と野菜で病気・寝たきりにならない!』(現代書林)ほか著書多数。
骨から作られる免疫細胞
「免疫」とは、体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体を攻撃して、病気を防ぐ仕組みのことを言います。この免疫を司っているのが白血球です。白血球は血液中に含まれる免疫細胞のこと、とも言えます。
それでは、白血球はどこでつくられているのでしょうか?
答えは、骨の中心部にある骨髄です。もしカルシウムが不足して骨が弱くなると、骨髄でつくられる白血球が減ってしまいます。「骨が弱ると免疫力は落ちる」のです。
では、骨髄で白血球が正常につくられるためにはどうすればいいのかというと、骨を丈夫にすればいいのです。そして、骨を丈夫にするのに欠かせないのがカルシウムなのです。
壊してはつくられる骨
骨は、つねに生まれ変わっています。カルシウムを抜いて骨を壊す「破骨細胞」と、骨をつくる「骨芽細胞」という2つの細胞があり、骨を壊した分だけ新しくつくっているのです。
骨を「壊す」と「つくる」。通常、この2つの細胞のバランスは一定に保たれているのですが、バランスが崩れると骨が弱くなって骨折しやすくなってしまいます。
女性は、カルシウム不足に注意
たとえば、女性の閉経後。閉経後は、女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンは、カルシウムを抜いてしまう破骨細胞を抑える働きをするので、エストロゲンが減ることで破骨細胞が元気になり、骨のカルシウム量は減ってしまいます。女性は高齢になると骨粗鬆症になりやすい、というのはこれが原因です。
過度なダイエットも骨に悪い影響を及ぼします。骨自体が弱くなり、骨髄でつくられる免疫細胞が減り、免疫も落ちやすくなってしまうのです。
90代になっても骨を丈夫にすることはできる
体を守る免疫力を維持するためにも、カルシウムは日々かかせない栄養素のひとつです。ところが、50年前と現代の食事を比べると、ミネラル分は4分の1程度に減少していると言われます。とくにカルシウムは体に吸収しにくく不足しがちですから、朝昼晩3度の食事だけでなく、間食でもカルシウムをとることを心がけるとよいでしょう。
骨を丈夫にするためのもう一つ大事なことは運動です。運動で骨に負荷をかけることによって、骨をつくる骨芽細胞は活発になります。働いている方であれば、電車2駅ぐらいは歩くくらいの運動がよいでしょう。高齢者の方も、毎日1時間か30分の散歩で、5000~1万歩を目指しましょう。
たとえ80代でも90代でも、毎日の心がけしだいで骨を育てていくことは可能です。老化によって細胞は減少していきますが、いくつになっても骨をつくる骨芽細胞は機能します。カルシウムはもちろん、ビタミンなどもバランスよく摂って、適度に運動することが重要です。