経皮感作が引き起こす
ダニアレルギーにご用心。
湿度が高い日本の夏は、ダニの大繁殖期。
紫外線を浴びてバリア―機能の弱った皮膚から
アレルゲンが侵入する「経皮感作」に気をつけましょう。
教えてくれる人
向田公美子先生
むかいだ・くみこ●京都大学で博士号取得。くみこクリニック院長。日本アレルギー学会認定専門医。
肌の保湿とアレルゲンの除去を心掛けてください。
ダニアレルギーは、死骸やフンなどのアレルゲンを吸い込んで患うと思っている人が多いようですが、じつはアレルゲンが皮膚から体の中に入り込み、ダニアレルギーを引き起こすこともあるのはご存じでしょうか?
「経皮感作」と呼ばれるこの現象は、私たちアレルギー専門医の間でも10年ほど前から注目され始めたものです。
肌の表面では普段、セラミドなどの脂質の層がバリア―となってダニアレルゲンが体内に入るのを防いでいます。ところが、紫外線をたっぷり浴びて肌が乾燥したり、肌が荒れたりすると、そのバリア―が破壊されてダニアレルゲンがかんたんに体内に入り込みます。
正常な肌はセラミドなど脂質の層が異物の侵入をブロックしている。
すると、人によっては免疫が過剰反応して体がアレルギー状態になります。そしてその後に、ダニアレルゲンを吸い込んだり、再びバリア―の弱った肌に触れたりすると、鼻炎やぜん息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が出ることがあるのです。
かつて、小麦粉の入った石けんを使っていた人が重い小麦アレルギーを発症して社会問題になりましたが、これは経皮感作の一例です。私のクリニックにも、家の掃除をして肌がかゆくなったり、じんましんが出た患者さんが来ますが、ホコリの中のダニアレルゲンに経皮感作したのが原因と考えられる人も少なくありません。
いまダニアレルギーはなくても、今後いつ発症するともわかりません。経皮感作を防ぐには、肌の保湿とともに、肌に触れるアレルゲンの除去が肝心です。とくに寝具は全身が長時間触れるだけに、ダニをできるだけ減らすように心掛けてください。