腹巻健康法
お腹を温めて元気生活
イラスト/日野優子
体温を測ってみましょう。
35度台の人は要注意です。
体が冷えるリスクとその対策について
漢方医学、自然療法、食事療法の専門医である
石原新菜先生に教えていただきました。
教えてくれる人
石原新菜先生
いしはら・にいな●医師、イシハラクリニック副院長。漢方薬を中心とした診療を行う。腹巻や生姜を使った美容と健康増進の効果を広め女性視点のアドバイスにも定評がある。著書に『カラダの不調が消える奇跡の「腹巻き健康法」』(ロング新書)ほか。
体温が下がった現代人
70年ほど前、日本人の平均体温は36.8度でした。医学事典では、平熱を36.55~37.23度としています。ところが、診察を受けに来る患者さんの多くは35度台で、高くても36.3度くらい。
日本人の体温は1度近く下がっているのです。
現代人が低体温になった主な要因は、体温の約40%をつくりだしている筋肉の量が減っていること。どこへ行くのにも歩き、掃除や洗濯もすべて手作業で行っていた70年前と比べて、交通機関が発達し、家電製品が普及した現代の生活は、どうしても運動不足、筋肉不足になりがちなのです。
レタスやトマトといった生野菜、牛乳やコーヒーなど、体を冷やす食べ物や飲み物、漢方医学で言う「陰性食品」をたくさん摂るようになったこと。湯船につからずシャワーだけで済ませる人が多くなったこと。これらも現代人の体が冷えている原因でしょう。
冷えるとどうなる?
体が冷えると、体温を逃がさないために全身の血管が縮み、血流が悪くなります。血流が悪くなると、体の隅々にある細胞にエネルギー源や酸素、栄養素、免疫細胞などが十分に行き届きません。
基礎代謝は低下し、燃焼されなかった糖分や脂肪が蓄積されやすくなり、太りやすくなるだけでなく、高血糖や高脂血症のリスクも高まります。
さらに、白血球の働きが鈍くなり、細菌やウイルスに対する防御力が低下するため、風邪など感染症にかかりやすくなってしまいます。
体温が1度変わると免疫力は約30%変化します。
体を温めることが、健康的な体をつくる近道なのです。
お腹を温めるといいことがいっぱい
体温を上げるのに有効なのは、筋肉量を増やすこと。全身の筋肉の70%は下半身についていますから、スクワットなど下半身を鍛える運動をすることで効率よく筋肉量が増やせます。
湯船にしっかりつかるのもいいでしょう。目安は汗がぷつぷつ出てくるくらい。体の芯から温まることが大切です。
もうひとつ、おすすめしたいのが腹巻です。
お腹には、胃、小腸、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、女性ならば子宮、卵巣などとても重要な臓器が集中しています。
腹巻を使ってお腹を温めることで血流がよくなり、各臓器の働きが増します。
またお腹は血液がとても多い場所です。お腹を温めれば、温められた血液が全身を回るので、徐々に全身がぽかぽかしてきます。
腹巻をすると、全身の状態が次のようによくなることが期待できます。
腹巻で期待できる効果
- ・冷え性が改善される
- ・免疫力が上がる
- ・便秘が改善される
- ・尿の出がよくなる
- ・内臓の働きがよくなる
- ・夜よく眠れるようになる
- ・痩せる
たった1枚お腹に巻いておくだけ。
面倒くさくないですし、誰でもかんたんに体を温めることができます。体の不調に悩んでいる人は、ぜひ腹巻を試してください。
ライター/朝山弥生