冷房で腸が冷えると
便秘しやすくなる
腸は冷えに弱い臓器です。
冷房で冷えると、腸の運きが抑制されて、
便秘に陥りやすくなるそうです。
まずは腸を冷やさないように気をつけ、
腸が夏バテしないようにいたわってあげましょう。
教えてくれる人
松生恒夫先生
まついけ・つねお●医学博士、松生クリニック院長。4万件の大腸内視鏡をおこなってきた腸疾患の第一人者。著書に『日本一の長寿県と世界一の長寿村の腸にいい食事』(PHP新書)。
8月は便秘外来の患者さんが増える季節です。
クーラー冷えと気温差で腸が夏バテするのです。
腸の不調には、季節によって波があるのをご存じでしょうか?
私のクリニックでは、1〜2月と8月に便秘の患者さんがドッと増えます。どちらも冷えが影響していて、1〜2月は言うまでもなく寒いため。8月はお察しの通り、クーラーが原因です。
腸は冷えに弱い臓器で、冷えると交感神経が緊張して腸のぜん動運動が抑制されてしまいます。ふつう体が冷えると自律神経が作用して温めようとしますが、10℃以上の気温差にはうまく対応できません。炎天下の屋外とクーラーで冷えた室内を行き来する状態です。
最近は夏の訪れが早いですから、腸は6月からクーラーで冷やされ続けて8月にはバテてしまい、便秘に陥りやすくなるのです。ちなみに、大腸の壁面の弾力は20歳から低下しはじめて便を押し出す力が弱まっていきますから、中年世代の方は夏を境に頑固な便秘に陥らないように対策が必要です。
腸が冷えると内容物を先へ押していく「ぜん動運動」が抑制される。
まずは腸を冷やさないこと。ハンカチを1枚お腹に当てておくだけでも違います。便を柔らかくするための水分補給も大事です。水分の9割は小腸で吸収されるので、水を1000㎖飲んでも大腸には100㎖未満しか届きません。夏は汗でも逃げてしまいますから、多めに常温の水を摂ってください。
食事では、果物などの水溶性食物繊維と日本伝統の発酵食がおすすめです。発酵食には「食物性乳酸菌」が関与していますが、胃酸に強く腸まで届く菌として知られています。日本人の腸を守ってきてくれた私たちの腸に馴染みやすい菌と言っていいでしょう。暑くても「お味噌汁」をちゃんと飲んで、「糠漬け」も食べてください。