通販生活×あすのば 2024年度入学準備金カンパ 物価・光熱費の高騰で毎月手元に残るお金はごくわずか。来年の入学式に向けてみんなと同じランドセルを用意してあげたい。

昨年度の入学準備金カンパには3年連続で過去最多となる1万8000人の方から応募がありました。
「少しでも電気代を抑えるため、暖房は使わず、子どもたちには家でもコートを着させている」
あすのばには日々切り詰めて生活するお母さんや、将来に不安を覚える子どもたちの声がたくさん届いています。
来年の春、ひとりでも多くの子どもが新品のランドセルや制服に身を包んで、笑顔で入学式を迎えられるよう、今年も1口2000円からのカンパをお願いします。

カンパのお申し込み

お母さんと子どもが語る
カンパを受け取ったあのときのこと。

双子そろって迎えた入学式。
新品の制服を着られて嬉しかったけど、
母の負担を思うとつらかった。
Hさん(17歳/九州地方)

 両親が離婚したのは私たち双子が高校に進学する年でした。入学に必要な学用品を買うためには、2人合わせて20万円近くかかると聞いていました。母ひとりにお金の負担をかけてしまうと思うとつらかったです。あすのばの給付金を受け取り、なんとか姉も私も学用品を揃えることができました。3年生になった今も、あのとき買った制服を大切に使っています。
 母は服飾関係の仕事のほか、障がい者施設のスタッフとしても働いています。私たちは幼い頃から体が弱かったので、仕事を度々休んでは病院に連れていってくれました。一方、父はというとギャンブルばかりで借金もあり、家のことは知らんぷり。母は疲労でみるみるやせ細って、突然倒れたこともありました。
 母のつらそうな姿を見ていたからか、私も体調不良になることが増えました。中学生になると1年生でバスケットボールの選抜メンバーに選ばれましたが、練習中に過呼吸になって病院に運ばれてから、思うように運動できなくなってしまいました。 変に同情されたくないので、友達には家のことを話せずにいます。もし聞かれても話す内容がバラバラにならないよう、姉と口裏を合わせていますが、家族のことを正直に話せないのはしんどいです。
 それでも私たちを育ててくれている母には感謝でいっぱいです。なにかに打ち込む姿を見てくれたらきっと喜んでくれると思い、高校に入ってからは勉強に励んでいます。中学まで勉強は苦手だったけど、最近はクラスで2、3番を取れるようになりました。
 高校3年になった今、一番の悩みは進路についてです。大学では服飾について学びたいし、サークルにも入ってみたい。だけど姉も私も進学するとなると母にさらなる負担をかけてしまいます。奨学金を使って進学しても、毎日バイトをしながら勉強しなければなりません。自分の体調のことを考えるときちんと両立できるか不安になって、胸が苦しくなる日もあります。

夫が急逝し、ひとりでの子育て。
市役所へ相談に行くも相手にされず、
悔しくて悲しくて心が折れそうでした。
Ⅰさん(53歳/近畿地方)

 大学3年生の娘と、中学1年生の息子を育てています。夫は娘が小学3年生、息子が1歳の誕生日を迎える2週間前に持病が悪化し、亡くなりました。
 当時、私は正社員として働いていましたが、息子の育児休暇中だったため収入は少ない状態でした。夫の死後、家計を支えるためにすぐに復職。しかしショックが癒えぬまま仕事に打ち込んだ結果、うつ病になってしまい、やむなく退職しました。
 自宅療養を経て少しずつ気持ちの余裕を取り戻すことができましたが、わずかな貯金と遺族年金、児童手当だけで育ち盛りの子ども2人を育てるのは本当に苦しかった。児童扶養手当もいただけないか市役所に相談しに行くも「遺族年金があるでしょう」と一蹴されてしまいました。夫がこれまで納めてきたお金があることを理由に国から支援を受けられないなんておかしいです。せめて民間の給付金制度を教えてほしいと相談に行っても、他の課をたらい回しにされる始末。悔しくて悲しくて、心が折れそうでした。
 娘は寂しさから感情をぶつけることが増え、息子は私に迷惑をかけないようにと塞ぎ込むようになりました。ふたりにはつらい思いをさせてしまったけれど、それでも社会に出た時に困らないよう、きちんと大学まで行かせてあげたかった。将来のために手に職をつけようと料理関係の資格を取りました。インストラクターとして個人で教室を開けるようになり、コツコツと学費を貯めることができましたが、コロナ禍になってしまい、仕事は激減。掛け持ちでパートの仕事も始めましたが、収入は安定していません。
 あすのばの給付金は息子が中学に入学する際にいただきました。娘の大学の学費もある中、制服の他に必要な学用品費が5万円以上かかることを知り、どうやって捻出するか不安でいっぱいでした。無事に受け取ることができて、世の中には困っているときに手を差し伸べてくれる人がいるんだと、涙が出るほどうれしかったのを覚えています。

Qカンパに応募した方の年収と貯金額ってどれくらい?

あすのばへ応募された給付申請者のうち、住民税非課税世帯、生活保護世帯など17,246人の年収を分析したところ、2022年の世帯平均の勤労年収は139万円でした。
各世帯の貯金額も聞いたところ、半数以上が「貯金はない」と回答。次いで「50万円未満」と回答した人が25%(4,260人)、「50~100万円未満」と答えたのは11%(1,888人)でした。申請したご家庭の4分の3が、50万円未満の貯金額で子どもを育てています。

(2023年3月1日・公益財団法人あすのば調べ)

カンパのお申し込み

手当をいただいてもお腹いっぱい
食べさせてあげられない。
「ひとり親で育てるな」と
国から言われているみたい。
Yさん(48歳/近畿地方)

 小学3年生と2年生の娘、5歳の息子の3人を、74歳の母と2人で育てています。自宅の家賃は8万円ほど。子どもたち用の3畳の部屋と、6畳のリビングの二部屋で暮しています。
 私が3歳のときに両親は離婚。当時はひとり親家庭への差別が今より多かった時代です。結婚したら賑やかな家庭を作ろうと思っていました。
 高校卒業後は空港の事務局で働き始め、そこで出会ったカナダ人男性と結婚し、カナダへ移住しました。子どもに恵まれ夢にまで見た結婚生活でしたが、夫は何かと私を罵るようになりました。次第に子どもたちも夫に怯えるようになり、逃げるように帰国し、離婚しました。
 日本に戻って愕然としたのはひとり親家庭への支援の少なさです。カナダではひとり親でも子ども一人につき毎月6万円ほど支給されます。しかし日本だと児童手当は一人につき毎月1万円ほど。児童扶養手当もいただいていますが、3人目の加算額はたったの約6000円です。子どもが多いとその分負担も増えるのに、これでは子どもたちにきちんと食べさせるだけの余裕はありません。まるで「ひとり親で育てるな」と国から言われているみたい……。
 現在は週に6日、医療事務のパートとして働いています。週5で清掃の仕事をする母の給与と合わせて生活していますが、毎月ギリギリです。子どもが病気になったときは仕事を休まざるを得ず、収入は安定しません。少しでも電気代を抑えるために暖房は使わず、子どもたちには家でもコートを着させています。
 あすのばの給付金は次女のランドセル購入に使いました。来年は息子が小学生。もしみんなと同じランドセルを買ってあげられなかったらと思うと、情けなくてたまりません。

障がいのある娘が成人を迎えました。
ここまで育ててこられたのは、
皆さんの支えがあったおかげです。
Mさん(47歳/北陸地方)

 ダウン症の娘は生まれつき体が弱く、病気を併発しながら幼少期を過ごしてきました。生後3ヵ月のときには急性骨髄性白血病になり、寛解してようやく家に帰ってくることができたのは3歳のときです。
 私は体育大学を卒業後、スイミングスクールの契約社員として働いてきました。出産後しばらくは休職し、貯金を崩しながら娘の看病をしていましたが、夫はというと娘に会うことなく、ギャンブルに明け暮れてばかり。娘のために作った通帳を盗んで、コツコツ貯めた70万円をパチンコに使い込んでおり、離婚しました。
 ひとり親になってからの生活は想像より厳しいものでした。復職し、障がいのある方に運動を教える指導員の副業を始めたものの、収入は20万円ほど。家のローン月8万円は私が支払わなければいけないし、娘の通院費も毎月かかります。この先どうしたらいいか、不安で毎晩眠れませんでした。ひとりで子どもを育てるのはこんなに心細いことなのかと痛感しました。
 それでもくじけずに生きてこられたのは、いろんな方の支えがあったから。あれから大きな病気を患うことなく、娘は今年20歳を迎えました。特別支援学校を卒業した際にあすのばからいただいたお金は大切に取っておき、成人式の写真撮影に充てました。私ひとりの力では晴れ姿を残してあげることはできなかったと思います。おめかしをして満面の笑みを浮かべる娘の姿は一生忘れません。

Q「児童手当」と「児童扶養手当」ってどう違う?

児童手当は、国内に住む中学卒業までの子ども全員が受け取れる手当です。3歳未満は月額15,000円、3歳~中学生までは月額10,000円が支給されます(ただし、第3子以降は月額15,000円)。
児童扶養手当は、ひとり親家庭の児童、または両親のどちらかが障がいを持つ児童の養育者を対象とした手当です。18歳になる年の年度末まで受給でき、支給額は全額支給の場合、第一子は月額44,140円。第二子は月額10,420円が加算され、第三子以降は月額6,250円がそれぞれ加算されます。

カンパのお申し込み

鉛筆が買えなくて 「貧乏」と
いじめられた学校生活。妹や弟には
同じ思いをさせたくない。
Sさん(17歳/九州地方)

 夜間定時制の高校に通っています。母と20歳の兄、中1の弟、小4と小2の妹の6人で暮しています。
 私が小学生のときに両親は離婚しました。父が飲酒運転で事故を起こし、賠償金で借金が出来てしまったのが原因です。その後、母は再婚して弟と妹たちが生まれましたが、義父が家に帰ってこなくなり、母ひとりで私たちを育てることになりました。今は週に6日、飲食店で働く母の給与と、兄と私のバイト代を合わせて生活しています。
 私の最初のバイト先は介護施設でした。利用者の方が喜んでくれるのが嬉しくて、人を助ける仕事は自分にぴったりだと思いました。だけど次第に他のスタッフからの嫌がらせが増え、「高校生だからって甘えるな」と言われることもあった。世の中は優しくないし、大人って冷たいんだなって思いました。
 今はラーメン屋で働いています。11時から16時まで働いた後、17時から21時まで授業を受ける毎日。キラキラした高校生活を送りたいと思うこともあります。同世代の子たちが放課後に出かけている姿を見ると羨ましいし、私もいっぱい遊びたい。でも月60時間はバイトをしないと、電気代とガス代が払えなくなってしまいます。
 学校から帰って家族の顔を見るとホッとします。兄妹と一緒にいると楽しいし、母とは包み隠さず相談できる仲です。あすのばの給付金は高校進学時にいただきました。中学では鉛筆が買えず、同級生から「貧乏」といじめられて高校でも同じ思いをしないか怖かった。給付金で必要な学用品を買えて安心しました。妹や弟には私と同じ経験をさせたくありません。バイト代が余ったときは必要な文房具を買ってあげています。
 高校は4年制、卒業まであと1年あります。資格を取って介護士として働きたいけど、バイトとの両立が大変で進級はギリギリです。先生から進路のためにバイトを辞めたらどうかと言われましたが、そうしたら家族が生きていけなくなってしまう。夢を追いかけたり、友達と遊んだりできる日が私には来ないと思うと、悲しくて涙が止まらなくなります。

Q子どもにお金をかけたら社会はどうなるの?

子どもを支援すれば、まちの経済が回り出す。
増えた財源で高齢者支援を拡充することができました。

泉房穂さん(元明石市長)

いずみ・ふさほ/1963年、兵庫県生まれ。2011年から23年4月まで明石市長を務める。子ども施策や高齢者・障害者福祉に注力し、全国から注目を集めた。著書に『子どものまちのつくり方』(明石書店)など。

 初めに言わせてもらいますが、私はカンパが嫌いです。なぜなら子どもたちへの給付金は本来、国民から預かっている税金で行なうべきであって、民間の団体がさらにお金を集める必要なんてないんです。「公助」でやるべきことを「共助」にやらせていることが問題です。
 私が明石市長に就任した12年前、子どもへの福祉は行き届いておらず、人口は下がる一方でした。行政ができるのは市民に寄り添い、暮しの「安心」を届けること。子育てには「お金の不安」と「もしもの不安」が伴います。まずは「お金の不安」を解消するため、子ども予算を126億円から297億円まで2・4倍に増やし、18歳までの医療費など、所得制限をかけず無料にしました。

 もう一つの「もしもの不安」とは病気や災害がきっかけで子どもを育てられなくなることです。コロナで緊急事態宣言が出たとき、多くのひとり親家庭が仕事を奪われました。我々は全国に先駆けて、児童扶養手当を受け取っている家庭に5万円の給付金を支給。親の収入が途絶えてしまい高校に進学できない子どもたちには上限30万円の給付型の入学準備金と、学用品費として月額1万円の支援金を卒業まで渡し続けることにしました。
 この給付金制度の定員数は当初30名でしたが、届いた申請書の数は100通以上。その一枚一枚に、中学3年生が「お金をください」と必死な思いを書いているんです。そんなん読んだら足切りなんてできるわけがない。予算を急遽見直して110名まで拡大しました。翌年の21年度は定員数を100名にしましたがコロナ禍で応募者数はさらに増え、最終的には200名を採用しました。

政治の過渡期だからこそ、
今はカンパに頼らざるを得ない。

 明石市は人口減少という課題があったから、子ども施策を優先して行なってきました。だけど子どもを支援すれば、最終的にお年寄りが喜ぶことに繋がっていきます。お母さんたちにお金の余裕ができれば子どもを連れて買い物や外食が増え、まちの経済が回り出す。そうして実際に財源が増えたことで、認知症診断費の無料化や宅配弁当の無料券配布など、高齢者支援を拡充することができました。最初は子ども施策に反対していた人たちも、今じゃ「明石は子どものまちやから」と他県の人に自慢するくらい、みんな胸を張っています。
「明石市はすごい」とよく言われますが、私としてはこれくらいのこと、国がやれよと言いたい。入学準備金だって本来は国がやるべきじゃないのかと。ただ、今の日本の政治は子どもの貧困対策についてようやく動き出したところです。遅すぎると思いますが、過渡期だからこそ、今は皆さんのカンパに頼らざるを得ないのです。

カンパの方法と活動報告

通販生活は公益財団法人「あすのば」と協同してランドセルや制服などを購入するための入学準備金カンパを毎年募集しています。

詳しくはこちら