地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
イカゲーム シーズン2
2025/3/24公開
6月から配信されるシーズン3を前に必見!
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1&2:独占配信中、シーズン3:6月27日(金)世界独占配信
2021年9月に配信が始まり、韓国生まれの非英語ドラマながら、配信開始から28日間、世界で最も見られたNetflixドラマという記録がいまだに破られていない『イカゲーム』(同じNetflixの人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』をも上回る)。そのシーズン2が昨年末から配信中だ。
ところが、世界から絶賛を浴びたシーズン1と異なり、賛否両論が分かれている。その理由を筆者なりに考えてみたいと思う。
まずこのシーズン2、これはネタバレにならないと思うが、“シーズン3に続く”という終わり方をする。日本のドラマに慣れた人は面食らったのではないか。しかしドラマではなく映画の世界では、1980年の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』が3年後の『~エピソード6/ジェダイの帰還 』に続いたように、“続編ありき”の作り方にいちいち驚いていては世界のエンタメを楽しめないだろう。ちなみに2001年に始まった映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズも最初から3部作を予定し、大成功した。
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1&2:独占配信中、シーズン3:6月27日(金)世界独占配信
なので、このシーズン2まででこのドラマの成否を判断するのはちょっと早過ぎる。何よりNetflix自体、シーズン3が6月27日(金)から配信されることを発表している。
もう少し詳しくシーズン2を検証したい。このドラマは破格の賞金をめぐるデスゲーム(敗者には死が待ち受けることもある)が題材。シーズン1の第1話は、敗者が射殺される“だるまさんがころんだ”(!)が描かれ、一気にスリルが高まったが、シーズン2の第1話、デスゲームはまだ始まらない。こんなの『イカゲーム』じゃない、と怒ったファンの気持ちは分からないでもない。
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1&2:独占配信中、シーズン3:6月27日(金)世界独占配信
いや、シーズン2は第3話から盛り上がる。シーズン1の最後、さえない主人公ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)は、そこで得た巨額の賞金を使ってデスゲームを終わらせようと決心。なのに、またデスゲームに参加させられる皮肉はこの主人公にはちょうどいい。
筆者はシーズン2、このドラマが進化したと思ったポイントが、いくつもあった。
ひとつは、シーズン1の最初のゲームの後、参加者の過半数が同意したらゲームは終わるというルールのおかげで過半数の参加者はゲームから去ったが、結局はまたゲームに参加。本シーズンはそれを受け、各ゲームの後の投票を重視。まるで現実社会の選挙だ。誰が多数派に回り、誰が少数派に回るか。これは恐らく世界の政治の混乱、特に米国でトランプ大統領らの共和党とリベラルの民主党が拮抗する現状を予見したようで、見事だ。
そしてシーズン1最大のサプライズは、ある重要人物を、韓国を代表する国際派俳優イ・ビョンホンが演じていたこと。そんなイ・ビョンホンが演じる謎の人物が、このシーズン2ではなんと参加者のひとりに! これはほめ言葉だが最高にクレイジーな趣向だ。
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1&2:独占配信中、シーズン3:6月27日(金)世界独占配信
それとシーズン1は、脱北者の女性、パキスタンからの出稼ぎ労働者といった参加者がいたが、シーズン2も、インフルエンサーの女性、人気ラッパー、元軍人のトランスジェンダーなどがゲームに参加。韓国が舞台だが、世界の“多様性”を引き続いて指向する。
さらに、これもネタバレにならないと思うが、シーズン1では6つのゲームが展開したが、シーズン2はまだ3つのゲームしか行なわれておらず、そこから急展開に突入。さらに過酷な“ゲーム”が残っているのではないか、と筆者は勝手に妄想している。
これらによってハードルがたっぷりと上がってしまっているが、“いいじゃないイカ”“面白いじゃなイカ”と思うと(?)、6月から見られるシーズン3が本当に楽しみだ。
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1&2:独占配信中、シーズン3:6月27日(金)世界独占配信
今回ご紹介した作品
Netflixシリーズ「イカゲーム シーズン2」
- 配信
- Netflixにて独占配信中
情報は2025年3月時点のものです。