池田敏さんのドラマ批評 - ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ

地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。

※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。

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ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ

2026/4/17公開

『ゲーム・オブ・スローンズ』の100年前を描いた新シリーズ

画像:ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ 1

(C)2026 WarnerMedia Direct Asia Pacific, LLC. All rights reserved. HBO Max and related elements are property of Home Box Office, Inc.

 全米で2011~19年に放送された冒険ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』は、日本でも有吉弘行などが絶賛するなど大反響を呼んだヒット作だ。そこから生まれた『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(シーズン3・4の製作も決まっている)に続く、第2のスピンオフがこの『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』だ。

 本連載では『ゲーム~』も『ハウス~』もご紹介していないのでざっと整理しよう。昔々、現実のヨーロッパ(特に英国)を思わせる大陸、ウェスタロスを中心に起きた、七つの王国などによる壮大かつ熾烈な争いを描き、より日本風にいうと“大河ファンタジー時代劇”だった『ゲーム~』。そしてその約200年前を描いたのが『ハウス~』で、2本の真ん中の時代、『ゲーム~』の約100年前を舞台にしたのがこの『ナイト~』……とご説明してもまだぴんと来ない読者は多いはず。

 というのも『ゲーム~』自体、一言で語れないほど複雑なストーリーだった。しかも重要な登場人物がいきなり死ぬとか、若者がぐんぐんと成長するとか、ペットのように小さかった竜(『ハウス~』でぐっと数を増やすドラゴン)が大きくなって人間を乗せて空を飛ぶとか、予想できない展開を満載。視聴者を驚かせ続けるのを見どころにしていた。

 しかしこの『ナイト~』は『ゲーム~』と『ハウス~』を見ていなくても理解できる。原作の作者は『ゲーム~』『ハウス~』と同じくジョージ・R・R・マーティン。彼の『七王国の騎士』シリーズ(“ダンクとエッグシリーズ”とも呼ぶ)が原作である。

画像:ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ 2

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 物語はシンプル。ベテラン騎士サー・アーランの従者ダンク(ピーター・クラフィ)はアーランの死後、馬上槍試合に勝利し、放浪の騎士(草臥しの騎士と呼ぶ)という低い地位から脱しようとする。基本は以上。そんなダンクだがある事件に巻き込まれ、馬上槍試合より過酷な勝負に臨まざるをえなくなる。

 すでにドラゴンはいなくなって伝説の存在として扱われるなど、ファンタジーの要素はかなり少ない。また、バラシオン家、ターガリエン家、ラニスター家など『ゲーム~』でおなじみの単語も登場するが、あくまで人名程度と思えばいい。ちょっとの間の抜けた夢想家の青年だったダンクの成長(それは厳しい事態を伴うが)を見守って楽しもう。

画像:ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ 3

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『ゲーム~』のファンには“小さいお話”と思えるだろうし、実際そうだ。とはいえダンクとエッグが最初に観戦する馬上槍試合からして只ならぬ迫力で、さすが『ゲーム~』の製作陣と思わず圧倒されるし引き込まれもする。また前半、ユーモラスな場面が多いのは『ゲーム~』になかった新趣向(少しずつ残酷な場面も増えてくるが)。

 何より、主人公ダンク役のピーター・クラフィが魅力的だ。騎士として素人に近かったのが、試練を経てたくましくなっていくダンク。実は演じるクラフィは元ラグビー選手だが、俳優としてのキャリアは浅く、ダンクと重なる。身長196cmで体格もよく、いつマーベルやDCの映画からスーパーヒーロー役として声がかかってもおかしくない逸材だ。

 ひとつ注意したいのは全73話だった『ゲーム~』に比べて短く、シーズン1は全6話しかない(ちなみに原作『七王国の騎士』シリーズも3巻しかない)。逆に言えば、半日位でイッキ見して楽しむにはうってつけだ。

画像:ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ 4

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 ちなみにU-NEXTはドキュメンタリー『ナイト~‐メイキング‐』も配信中。舞台裏ではここまでやっているのかという発見に満ちているので、こちらもご覧いただきたい。
 製作が決まったシーズン2は2027年に全米で配信開始予定。今から大いに楽しみだ。

今回ご紹介した作品

ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ

配信
U-NEXTにて独占配信中

情報は2026年4月時点のものです。

筆者一覧(五十音順)

相田冬二

映画批評家

池田敏

海外ドラマ評論家

伊藤ハルカ

海外ドラマコラムニスト

今祥枝

映画・海外TV批評家

影山貴彦

同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト

小西未来

映画・海外ドラマライター

辛酸なめ子

漫画家・コラムニスト

辛淑玉

人材コンサルタント

田幸和歌子

フリーライター

寺脇研

映画評論家・元文部官僚

成馬零一

ライター・ドラマ評論家

ペリー荻野

コラムニスト

松本侑子

作家・翻訳家

村上淳子

海外ドラマ評論家

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