地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
ラッキー
2026/8/31公開
逃亡する天才詐欺師“ラッキー”を追うサスペンスアクション

画像提供 Apple TV
アニャ・テイラー=ジョイ、という名前を聞いてもピンと来ないかもしれないが、このドラマ「ラッキー」(Apple TV)の各画像を見れば、あの若い女優かと気づくはず。この6年間位で大きく注目を集め、ハリウッドでシンデレラのように出世したアニャ。1996年生まれで、あまりの美貌ゆえか、まずはモデルとしてデビュー。当初、ファンタジー系やホラー系の作品(鬼才M・ナイト・シャマラン監督による映画『スプリット』『ミスター・ガラス』など)が多かったのは、神秘的ムードを彼女がまとっているからだろう。そして2020年から配信されたNetflixのドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の主演で大ブレイクした。
『クイーンズ・ギャンビット』はフィクションの小説が原作だが、アニャが演じた主人公エリザベス(ベス)の個性は突出していた。身寄りのない子どもだったエリザベスはチェスに興味を覚えて才能を発揮していく。ドラッグに依存しながら、貧しい生活から抜け出すべく、チェスにのめり込み続けるエリザベス。物語は米ソの冷戦の時代だった1950~60年代、世界的チェス選手になりながらも暗い過去を引きずるエリザベスの奮闘を描き、冷戦時代を知らない若いファン、そしてチェスのルール自体すら知らない多くの視聴者も引き込み、ゴールデン・グローブ賞やエミー賞を受賞した。チェスというボードゲームは競技者の動きが制限されるが、目力が印象的なアニャにはぴったりの役どころだった。
アニャはたちまちハリウッドで注目を浴び、『ラストナイト・イン・ソーホー』『ザ・メニュー』、そしてヒットシリーズ『マッドマックス:フュリオサ』といったいわゆるジャンルムービーに出演する一方、大ヒットアニメ『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』とその続編『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』でおなじみピーチ姫の声を好演。大ヒットシリーズの第2作『デューン 砂の惑星PART2』と第3作『デューン 砂の惑星PART3』(年内公開予定)にも出演と、トップスターに仲間入りを果たした。

画像提供 Apple TV
そしてこの「ラッキー」でアニャが演じるのは、若き女性逃亡犯ラッキー。彼女は夫キャリー(ドリュー・スターキー)とある詐欺の仕事に成功したことをラスベガスで祝うが、キャリーは巨額の現金とともに消えてしまう。そしてFBIの精鋭チームや、キャリーの母親である地元の名士プリシラ(アネット・ベニング)の両方から追われる身となり……。
面白いのはアニャの衣装で、高級そうなドレスも着れば、庶民的なファストファッションも着る。彼女の着替えもストーリーの緩急の表現になっているのは効果的な演出だ。またアニャの表情の豊かさもファンは必見。
ラッキー自身、やはり犯罪者の父親ジョン(ティモシー・オリファント)が刑務所にいるなど、けっして真っ当とはいいがたい育ちだが、それにしてもFBIもプリシラもキャリーと彼が持って逃げた大金を捜すのに必死で、ついラッキーを応援したくなる。名作『逃亡者』系のサスペンスアクションである。ラッキーという名前はもちろん、実際はアンラッキーな彼女を反映させた強烈な皮肉だ。

画像提供 Apple TV
こんなラッキー役、別の女優が演じるなら恐らくは人気者のゼンデイヤがベストチョイスではないか。アニャとゼンデイヤは『デューン』シリーズの第2・3作で共演しているが、これは筆者の勝手な想像(妄想?)だが、ハリウッドの若手女性俳優ベスト2はしばらくアニャとゼンデイヤになると考えた周囲が2人を競わせているのかも。そんなアニャの最新映画は人気シリーズの『The Lord of the Rings: The Hunt for Gollum(原題)』だとか。まだまだ活躍から目が離せない。
今回ご紹介した作品
Apple TV「ラッキー」
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情報は2026年8月時点のものです。














